いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

書斎に困る!<3>(新築編)<作り付け本棚にすればよかった、とたまに思うこと>

書斎に困る!<2>(新築編)の続きになります。

 

本好きで読書と本収集が趣味である僕は、長年、本と本棚のことをたくさん考えてきた。本棚は、今まで、10台近く利用している。中でもスライド式の本棚がとても気に入っていた。収納量はもちろんだけれど、奥の本も簡単に見ることができるというのは、僕にとっての本棚革命だった。最初に、スライド式本棚を買って本棚に本を並べたときの喜びは20年近く経った今でも覚えている。

 

しかし、スライド式本棚で、かつ、奥行きがあまりない文庫本特化型、そして高さが230cmまでいける本棚というのは探しても見つからなかった。そうなると作り付け家具しかないということになった。三井ホームさんで作るととても高いらしいということから、家具屋さんなどに見積もりをお願いすることになった。

 

困ったことがあった。

 

三井さんの図面ができた頃に、作り付け家具をやっているところ三社に見積もりをとった。僕の書斎というか、書庫の片隅に机がおいてあるような部屋は、真ん中にも本棚の耐震性を高めるために壁をつけている。そのため、本棚が置ける場所は、大小合わせて、6面となっている。これら全てにスライド式棚をつけたいというのが僕の希望だ。天井までびっちりと本が隙間なく入るようになっているような本棚にしたいし、文庫だけの本棚は三重のスライドにしたい。そんな要望を込めて見積もりをとると、もう、莫大な金額になった。具体的にいくらだったかは、6面を3面にしたり、3重を2重にしたりと、細々と予算削減を考えたせいでちょっと分からなくなってしまったけれど、6面をスライド本棚にするのであれば、200万円、3面であっても100万円、一面を三重スライドにするというのでも80万円とかの金額だったと思う。詳しい金額は忘れてしまった。

 

作り付けの家具であれば、そのくらいかかるものだ、と多くの人が思うだろう。僕もそう思うのだけれど、当時は、家を建てているところ。家の予算もどんどん膨れ上がる中で、作り付け家具で200万円かかるとなったら、予算オーバーになる。それに、本棚の場合は、作り付けにしなくとも、組み立て家具でも、天井まで届くようなものにすれば、壁一面にしたとしても、作り付け家具の半額以下でつけることもできる。実際には、壁一面に組み立て式の本棚をつけることにして注文すると、一番大きな面をスライド式2台にしても、20万円を少し出たくらいの金額で済んだ。前面本棚にして10分の1の値段だ。もちろん、組み立ては僕が一人でやった。工賃をケチったのだ。それまで使っていた本棚は度重なる引越しなどによってもうボロボロになっていたので廃棄した。使えなくはないだろうが、230㎝の天井に対応できる本棚にした方が地震対策としても安全に思えたというのもある。

 

家を建てた人なら、誰しも、ああすればよかった、こうすればよかった、というのがあると思う。口に出してしまうとちょっと悔しいから口にしなかったり、毎日目にするものに対して後悔すると心が疲れるので、できるだけ満足しているように思い込むという、心健やかにする技を使っている人もいるとは思うけれども、家を建てて完全に満足するということはあまりない。そもそも、予算に限りがあるのだから、家を建てる段階で妥協もはじまっている。予算を気にせずに建てた人にはちょっと分からない話かもしれない。

 

僕の場合でいえば、本棚だ。本棚であれば、そう、確かに、いつでも作り付け家具の職人さんにお願いすればいいだけのことだから、家の悩みというか、取り返しがつかないことでもないから、些細な不満でしかない。しかし、そんな些細な不満であったとしても、すでに本棚に収まりきれなくなりつつある状態は、蔵書家としての不安を煽るものだ。

 

家を建てるときに、モデルハウスやハウスメーカーのカタログなどを参考する。書斎を作る上でも参考になるかと思って、いろいろと見てみたけれども、どうにも僕には参考にならなかった。それは、そもそも蔵書数が違うというのが大きい。カタログに「夢の書斎」みたいな写真が載っているけれど、その書斎にしたところで、僕の蔵書の三分の一も入らないだろう。また施工例みたいなもので書斎ができたという写真を見ても、高さのある画集や写真集の類だと本の大きさも違うから棚の数や奥行きでも参考にならないし、なぜか某有名漫画だけを並べている本棚を見ても、あまり参考にはならない。漫画本は一冊一冊が軽いので、棚がそんなに頑丈ではないものでも収納できる。つまり、棚が重さで撓むということがあまりない。それに、続きものの長編漫画であれば、スライドにしなくても、後段と前段に分かれたとしても同じシリーズものであれば、背表紙を見て内容を喚起するということも前面に出ているものさえ見えればいいのだから、そこまで問題にもならないだろう。

 

書斎に困る!<4>(新築編)に続きます。