いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

予算に困る!<下>(新築篇)<見直す設備と必要な設備、そして土地改良工事>

予算に困る!<中>(新築篇)の続きです。

 

僕らにとって快適な家を立てるために、必要なものは残し、そうでないものはできるだけ削って予算を超えないように頑張っていた。そんな僕らの努力を消し飛ばすようなことが出てきてしまった。

 

困ったことがあった。

 

僕らの戦いをにこやかに見守っていた営業の紳士のSさんが、あるときとてもすまなそうに言ってきた。

 

「予算でご苦労されているところ、とても言いにくいことがありまして」

 

僕は、ふと思った。きっと何かが値上げだ、と。

 

「土地を調べたところ、半分くらいは固いいい土地だったんですけど、北側あたりに柔らかいところが出てきてしまったようで、改良工事が必要になってしまいました」

 

こればっかりは仕方ない。地中深くまで調べてみたら、柔らかい地盤が出てきてしまったのだから、僕らにどうこうできるわけでもないし、三井さんが悪いわけでもない、こればっかりはもはや運だ。ちなみに、僕らが買ったあたりは地盤がいいということで、この辺で改良工事はしたことがないと以前、Sさんから聞いていた。そんなこともあったから、Sさんは申し訳ないと思っているらしい。土地を買うときにハザードマップなどは確認したけれど、液状化しやすいかどうかくらいは分かっても、地中の深くになると掘ってみないと分からない。そういえば、東京で土地を買ったときは遺跡が出てきてしまう可能性があると言われた。地盤はいいみたいだけど、これはこれでもし遺跡が出てきてしまったら大変なことになる。

 

「いやあ、こればっかりは仕方ないですもんね。で、気になるお値段は?」

 

「90万円くらいです」

 

ちまちまと色々と削った僕らの苦労が一気に吹き飛ぶ金額だった。50万円削るためにどれだけ悩んだろう。いや、でも、50万円削ってなければ、そこにさらに90万円の土地改良費がかかったわけだから、地道に削ったことは無駄ではない。

 

「高いですけれど、子供みらい給付金が相殺されたと思うことにします」

 

と、気を取り直して、また予算と睨めっこをしていった。削ってはまた、保険だなんだと費用が増える。これ大丈夫なのか、と思って見積もりを見てみると、諸経費の欄にいろんな経費がすでに書かれていたりした。見積書は、建物の本体とオプションだけじゃなく、諸経費にいろいろなものがすでに書き込まれているのを忘れていた。ネットなどで坪単価だけを調べてしまうと危険なのはここかもしれない。諸経費にどれだけのものが入っているか、またオプションにどれだけのものが入っているかで、最終的な金額が違っている。本体価格だけを坪数で割るのか、それとも諸経費込みを坪数で割るのかで坪単価は変わる。

 

500万円増やした予算を大幅に超えてしまったらどうしようと思ってビクビクして、改めて予算や諸経費などの相談をSさんにした。住宅ローンで借りた金額でも足りないような気がしたというのもある。これ以上手持ちの現金を出してしまうと、引越し費用はまあどうにかなるにしても、家具やら何やらが買えなくなってしまうかもしれないと焦ったからだ。

 

「住宅ローンとは別にすでに入れていただいている頭金もありますから、さらに持ち出すということはないですよ。十分足りています」

 

僕は結構抜けている。頭金で払ったお金のことを忘れていた。急に、余裕ができた気がした。とはいえ、なんでもかんでもできるわけでもない。削る部分はもう十分削った、つけたいものはもう十分つけた。家を計画していたときの予算からは500万円以上増えてしまったけれど、計画が甘かったというか、そもそも計画していた予算は僕が少なく見積もりすぎていたというか、かなり余力を残す計画だったというのもある。35坪から42坪にした時点で予算組みをやり直して、いまの予算になった。いまの予算の方が適切な予算なのだろう。

 

そういえば、家を建てようと計画しはじめたときに、いくつかのハウスメーカーに予算を言うと、きびしいですね、と言われたものだった。そのたびに、「まだ考え始めたばかりなので、予算はなんとなくって段階なんです」と言っていた。予算を立てる前に、もっと調査をしていれば、最初から今くらいの予算にしていたのだろう。