いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

書斎に困る!<2>(新築編)<本を集めてしまうタイプの本好きは大変だ>

書斎に困る!<1>(新築編)の続きです。

 

僕は、本を集めてしまうタイプの本好きだ。本の内容だけでなく、本そのものが好きというのもある。もちろん、本を頻繁に買う言い訳として、好きな出版社を応援するとか、個人で蔵書して後世に伝える義務がある、とか妙なうわ言じみたことを半ば本気で思っているけれども、何と言いますか、出版不況と言われる中で好みの本を出版してくれる出版社が変わり者と言われるように、読者の方も、それくらいの妄想がなければならないのではないかと思う。

 

本を集めると、本の置き場所に困る。本の置き場所にどれくらい困り、そして本に囲まれることでどれくらい楽しんだかはさておき、引越しや環境の変化とともに、本をどうするのかという悩みはその都度その都度変化していった。

 

困ったことがあった。

 

何度か引越して、離婚して、再婚して、渡米するときに、本はレンタル倉庫で保管した。3.5畳の倉庫は僕の本と妻の本で8割方、天井まで埋まった。倉庫の中で本棚を組み立ててできるだけ収納できるようにもした。本棚があるかないかで本の収納量が大幅に変わることは長年の本集収で学んだことである。そして手前にそもそもが少なかった家具を詰め込むと、もう誰も入ることができない状態になった。そして渡米した。

 

アメリカにはあまり本は持って行けなかった。といっても、二年間は本に困らないように、できるだけ読むのに時間がかかりそうな本を持って行った。分厚い本ばかり持って行った。育児の忙しさであまり読めないかと思ったら、予想に反してといおうか、予想通りをいおうか、分厚い本が読めていた。きっと、育児で他のことができない分、隙間時間に読書ができたのだろう。アメリカでは仕事をほぼ休んでいたというのも大きい。

 

帰国して、東京での仮住まいが決まると、倉庫から本を出すことにした。仮住まいといっても一年は住む。その間の倉庫代だって結構かかる。そして倉庫から本を出したり、漫画好きの友人に預かってもらっていた漫画本も戻ってみると、僕の仕事部屋の壁はすべて本棚にしたけれども収まらない量だった。乳児の部屋に埃っぽい本を置くことに抵抗はあったが、少しの間、乳児の部屋にも本を置いていた。そうそう、僕は漫画本もそこそこあった。しかし、漫画本は雑誌のように嵩張る。ここで僕は決断した。本を集収する際の言い訳でもある、小出版、小部数の本はそれだけで希少価値があるから手元においておくの原則から、漫画の場合は該当しないものが多い。大手出版から出ている大部数の漫画であれば、ブックオフなどにも溢れているし、電子書籍になっていることも多々ある。であれば、僕が持っている必要はないということから、漫画本の多くは売ることにした。これがそこそこいい値段になった。10万円以上になったと思うけれど、詳しくは覚えていない。保管スペースや時間的な余裕があれば、メルカリなどで売った方が良かったかもしれない。また、漫画本といえども、希少価値がそこそこある漫画本もある。ネットで検索しても見つからないような漫画は手元におくことにした。漫画本は100冊程度残った。漫画ではない本が10000冊近く(10年ほど前に数えたら7000冊を超えていたのでそれからは数えていない)あることを考えれば、もうないに等しい。ないは言いすぎた。いまでも本棚のすみっこに、漫画コーナーがある。

 

さて、問題はここからだ。

 

その後、名古屋に引越し、東京と同じ部屋の広さだった仕事部屋の壁は本棚になった。妻の本は妻の職場に運ぶことになったため、本を置く場所は少し余裕ができていた。汗牛充棟という言葉があるが、名古屋での僕の部屋は本棚によっては背が低いものもあり、天井まで埋まっていないことから、まだまだ余裕があると思えた。とはいえ、これも時間の問題だ。どれくらい長生きするかわからないが、もう20年もすれば天井まで埋め尽くすだろう。そんなときに、家を建てることになった。最初に考えるのは、もちろん、書斎のことだった。

 

三井ホームの営業さんと設計士さんに、作り付け本棚のことを聞いてみた。三井ホームで作る造作家具はとても高いらしい。代わりに造作家具までいかないにしても、棚をつけることはできるということだった。しかし、この棚、僕のような蔵書家にはちょっと使いにくい。第一、棚が少ないというのもあるけれども、長年、スライド式の本棚を愛用してきた僕からすると、本を二重にしたときに奥の本が見にくい。ただただ収納するのであれば、これもいいけれど、頻繁に本棚を見て、その背表紙から本の内容を思い出すことを趣味にしている僕からすれば、三井さんの棚はちょっと不向きに見えた。そうなると、作り付け家具は他に依頼するしかない。

 

書斎に困る!<3>(新築編)に続きます。