いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

書斎に困る!<1>(新築編)<本好きは、本に困っている>

「本とともに生きる」

 

困ったことがあった。

 

僕はたくさん本を持っている。18歳の頃から少しずつ本を集め、趣味といえば読書くらいしかなかったのだから、本がたくさんあるのは仕方がない。古本屋に行って棚の上の方にある少々高めの本を手にいれるためにアルバイトを増やしたり、掛け持ちしたりして、高価といっても、そのときの僕には高価だった本を汗水垂らして買っていた。

 

そんな生活を何十年も続けると、当然のように、蔵書が増える。引越し先によっては本が入りきれなくなるので、もう本を買うのは控えようとか殊勝なことを思うこともあったけれども、唯一の趣味が読書なのだから、本を買うことをやめてしまうと、手持ち無沙汰もあったのか、今度は、酒ばかり飲むようになったりもした。肝機能も怪しくなったあたりで、やっぱり僕には本しかないということで、読書生活に戻ると肝機能も回復した。

 

読書が趣味というと、じゃあ、図書館で借りればいいじゃないか、という人もいる。それもそうだと思う。または読んだ本はすぐに売ればいいじゃないか、いう人もいる。それもそうだと思う。しかし、僕は本を買い、収集する。浪費癖や収集癖があるということを認めるのはやぶさかではないが、他にも理由がいくつかある。

 

僕が買うような本は、あまり売れない本であることが多い。大手の出版社の本も買うけれども、小出版の本がどうやら僕の好みを多く出してくれている。そんな小出版の本は僕のような本が趣味である人間が買わなければ、図書館や大学くらいしか買わない。であれば、少しでも出版社を応援するという理由もあって、本を買っている。また、小出版や小部数の本は、10年も経たずして、手に入りにくくなったりもする。国会図書館はもちろん、大きな図書館であればあるかもしれないが、小さい図書館だといちいち取り寄せなければならない。それに、図書館にしてもいつまでも借り手のいない本を収蔵しておけないので、たまに古本屋などにも出てくるような「図書館収蔵品」「図書館廃棄品」などのように、放出されてしまうこともある。このようにして、僕の好きな本が世の中から失われてしまうことを考えると、個人蔵書家が頑張らなければならないとか思ってしまう。

 

珍しい本というのがある。そういう本は、個人蔵書家が保管していたりする。すごい蔵書家だとこの世に数冊しかないみたいな本を持っているけれど、僕のような個人蔵書家は、そこまでの貴重な本は持っていない。珍しいといっても、稀覯本として、10万円、20万円程度の値がつく本などは数冊しか持っていない。今時は、小出版社や小部数などで品切れや絶版になっていたとしても、ネットで検索すれば、定価の数倍も出せば買えるのだから、わざわざ僕が個人的に収蔵する必要もないかもしれない。しかしだ、しかし、僕は本を集める。定価の数倍だせば買えると言われても、その数倍出すのが惜しい気もするし、品切れや絶版のあとに数倍の値段がついてしまうのは、出版されるときに需要と供給のバランスがおかしかったということから発生している。「こんな本、刷っても売れないだろう」と思われた本が、売れるかどうかはさておいて、とても欲しいと思う人がいた、あるいは、いまいて、出版当時よりも、重要視されている本ということでもある。

 

つまり、何が言いたいかということなんだけれど、小出版や小部数の本は、興味ある本だったら、たとえ今読まないにしても、買っておいた方がいいということだ。全集などの予約制の場合は、途中で刊行が中断しないように予約して毎回送ってもらえるようにするのもいい。ある全集を刊行している委員の人に会ったときに、予約申し込みをして、毎回の配本を楽しみにしていますと、伝えたところ、とても喜んでくれた。曰く「こんな全集を出して買ってくれる人がいるのか不安だったから、予約してくれる人がいると励みになる」ということだった。当時の僕はお金もなかったので、毎回の全集配本は地味に金銭的にきつかったけれども、それでも買っていた。

 

そんな僕の蔵書は引越しの度に僕を困らせたし、自分の部屋は基本的に本棚に囲まれるようになった。地震で本棚が倒れてきて潰されると忠告してくれる人もいた。3.11のときには、東京に住んでいたので、そこまで酷い揺れではなかったけれど、ちょうど、家で仕事をしていた僕は、本棚を押さえていた。本はあまり落ちてこなかった。どうでもいい豆知識だけれど、本は縦方向に収納していると少しの地震ではあまり崩れ落ちない。平積みのようにすると落ちてくる。そのため、本棚と天井の隙間に本を置く場合は、極力平積みではなく、縦に積んだ方がいい。このことは、古本屋さんの本棚を見て学んだことでもあった。そんなちょっとした観察が役に立つということもある。

 

書斎に困る!<2>(新築編)に続きます。