いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

支援級に困る!<5>(自閉症児篇)<支援級と情緒級>

支援級に困る!<4>(自閉症児篇)の続きになります。

 

もし、幼稚園や保育園、または入学時に支援級が勧められたら、支援級がどういうところなのかという説明を聞いてみるといいと思う。あまり行かないお店でクレジットカード付きのポイントカードを勧められたときのように、即座に拒否する必要もない。そして、育児をしていて、言われてみれば確かにちょっと、と思い当たる節があったら、専門医による診察を受けるのもいいかもしれないし、児童発達センターや療育センターに相談するというのもいいと思う。孤独な育児が、急に多くの人に見守られる育児に変わるチャンスかもしれない、とポジティブに捉えることができるかもしれない。僕はそうだった。

 

困ったことがあった。

 

長女が通う小学校の支援級は三種類ある。軽度、中度、重度で大きくは分けられ、軽度の支援級は情緒級と言われるものに該当する。ただこの小学校では、情緒級という呼び方はあまりしておらず、三種類とも支援級としてそれぞれほのぼのとした名前が与えられている。

 

軽度知的や発達障害が通う情緒級では、普通級と同じ教科書が用いられ、通常級と同じ学習となる。また、交流級に指定されている通常級のクラスと音楽や体育などは合同で行っている。軽度知的や発達障害の場合、勉強などに問題がない子どもも多く、また少人数制にもなることから、学習は通常級よりも進むことも多いと言われている。長女の軽度知的に関しては、言語認識能力による判定基準によってなされているため、言語認識に関係のないことなどは自閉症児特有の集中力を発揮して通常よりも学習が早いこともある。このように、それぞれの障害特性に即して先生たちが対応することから、通常級であれば画一的な学習で落ちこぼれていたかもしれない子どもたちが、飛躍的に伸びることもあるらしい。IQで言えば高すぎる子も情緒級に入ることもある。こういったことを、小学校に入る前から保護者が知っているかどうかで、子どもの環境も変わってくると僕は思っている。

 

支援級あるいは情緒級にいる子どもの保護者たちで話すと、小学校一年生から支援級に進んだ子どもは意外と少ないことがわかる。どこかの統計では、だいたい8〜9%くらいが発達障害などがあるのではないかと言われている。そう考えると、1クラスあたり数人が情緒級に向いていることになる。長女の場合は、1年生の5月までの段階では長女を含めて2人だが、2年生のクラスでは8人いるそうだ。支援級の先生に聞くと、途中から増えることが多いということだった。途中から増えるということは、きっと、それまで発達障害などを指摘されることがなく、小学校になって担任などから指摘されて、はじめて知ったという保護者も多いということなのだろう。小学校入学前から障害が指摘されていながらも通常級を選んだ保護者が途中から支援級を選ぶことは少ないと思う。少なくとも、僕が知っているいくつかの事例では、小学校入学前に支援級をすすめられて通常級を選んだ保護者がのちに支援級に変更したという話は聞いたことがない。

 

長女のクラスメイトの保護者と話をする機会が自然と増えた。お互い支援級を選んだ保護者同士ということもあり、妙な連帯感があるので、多少踏み込んだ話をすることもある。クラスメイトの場合は、保育園の年長のときに担任から言われたということだった。それまではちょっと育て難い子かもと思っていたらしいけれども、担任から言われて、妙に納得したらしい。そして小学校は支援級を選んだということだった。僕には、保育園の年長で担任に指摘されて、そしてすぐに支援級に進む決断をするというのは、なかなかすごいことに思えた。僕らのようにずっと療育に通っていればまだしも、それまで療育にも通わず、発達障害などに対する認識もないまま、子どもの障害を受け入れることはそうそうできることではない。素敵な保護者だと思った。

 

僕らは、この小学校が目当てで、今の場所に引っ越してきた。支援級、情緒級だけでなく、そこに通う子どもたちが通常級に進みやすいように、また出戻りもしやすいような配慮がされているということで評判の小学校だったからだ。保育園のときに通っていた療育の方からも、「あそこの小学校はとてもいいですよ」と聞かされていた。実際に、支援級を長年担当してきた主任と話すと、とても話が早い。長女の一見、問題がない子に見えるような自閉症児のこともよく知っているようだった。「お父さん、お母さんが家庭でもやっている支援があったら教えてください」と、会ってすぐに言ってきたときには、プロだな、と思った。知的障害、自閉症児、発達障害と言っても、障害特性はもとより、個人差が大きいものであることを、知らない人は多い。教育関係でも、その手のことを勉強している人でないと全くといいほど知らない。知らないだけなら説明すればいいけれど、知ったような対応をする人には困らされる。

 

長女は友達の多い通常級に行きたいという気持ちももちろんある。しかし、支援級のおだやかな空間も気に入っている。音楽や体育で通常級と一緒になると、長女は支援級の方が好きと言っている。何が本人にとって適切な支援になるのか、それは僕も模索しているところだけれど、選択肢を保護者が減らすようなことはしたくはないと思う。本人が通常級に行きたいと強く願うのであれば、支援級や通常級の担任とよく相談して通常級にいくのもいいと思っている。それもこれも、すでに支援級の先生たちと長女を支援するチームが作れていると思うからだ。いずれにせよ、親の願いだけで、子どもの選択肢を狭めるようなことはしたくないと思っている。