いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

送迎に困る!<下>(自閉症児篇)<家庭教師を探すことになった>

送迎に困る!<中>(自閉症児篇)の続きです。

 

名古屋での療育はとてもよかった。先生たちも熱心で、とても優しく、気遣いできる人たちばかりだった。僕にとっても療育の先生に長女の日々のことを話すのが楽しみになっていた。誰かに育児のことが共有できるだけでも救われると思った。療育の素晴らしい名古屋から出るのは少し残念ではあったけれども、それ以外ではつらいことの多い場所でもあったので、思い切って名古屋市から出ることにした。

 

困ったことがあった。

 

名古屋市から出て、転居先で療育を探してみると、なかなか見つからなかった。名古屋市から出てしまうと、車があることが前提になっているからか、遠い場所に点在していて、通うのは難しかった。また、小学生以上の療育ばかりで、長女が通えるようなところも少なかった。名古屋市役所とはいろいろと揉めたけれど、やはり、制度や施設、設備は名古屋市の方が充実している。

 

障害児を育てるときに悩んでしまうことがある。役所などの対応が差別的な名古屋市ではあるけれども、制度や施設はしっかりしている。しかし、整った制度があっても、それを回す人の問題は別の話。そして今度は、名古屋市から出てみると、現場の人たちはとても優しいし、ちょっと困ったなあと思ったら、柔軟に配慮してくれけれど、施設や制度は整っていない。どちらがいいのか僕にもまだ分からない。

 

療育センターに相談した。車での送迎サービスをやっているところはなかった。予算や人材の問題があるのだろう。自転車で30分以上かければ、通えなくもない。しかし、ここでもまた別園の問題がネックになっている。長女の療育を自転車送迎していると、次女三女のお迎えができない。次女三女の保育園は遠いので、次女三女の保育園への送迎にも自転車が欠かせない。つまり、長女を自転車に乗せたまま、次女三女も自転車に乗せなければならない。3人の子乗せ自転車となるとこれがなかなか難しい。トレーラーをつければどうにかなるかもしれないが、次女三女の保育園までは山のような大きな坂が三つもある。トレーラーでは難しい。そして、この坂はとても急なので、妻は次女三女を乗せた自転車で登れない。長女の療育の送迎を妻にやってもらうとしたら、妻には仕事を休んでもらわないといけなくなる。それにもう一台、子乗せ自転車を買わなければならない。

 

繰り返しの恨み言になるけれど、多胎児や多子世帯、そして障害児になんの配慮もしない保育園の入園決定はこういう問題を生んでしまう。平等性を重視した役所の決定は、公平性を欠いているということなんだけれども。この話はずっと繰り返すのかもしれない。名古屋市には、障害者差別解消法に抵触しているとか、その辺のことを繰り返し言い続けた。

 

送迎付き療育はない。そして別園。しかも二つの保育園は自宅を中心にすると逆方向で、道のりが困難。せめて次女三女の保育園が同じ方向にある保育園だったら、どうにかできたのにと、言っても仕方ないことをついついぼやいてしまうこともある。さて、どうしたらいいのだろう?

 

ダメ元で、長女が通っていたアート療育の先生たちに相談した。保育園が別園になってしまったことや、送迎付き療育がないということから、助成金補助金の対象じゃなくてもいいし、諸経費も支払うから、自宅まで出張してもらえないか、あるいは、家庭教師のように通ってくれる人はいないか、という相談。少し贅沢かもしれないが、行政サービスでどうにもならないのであれば、個人負担でどうにかするしかない。

 

その分の税金を返して欲しいとは思うけれど、税金だけは平等じゃなく、公平な基準で取るのだから不思議なものだ。行政サービスも公平にやってもらいたい。または、税金の金額を平等にして欲しいとか嫌味なことまで考えてしまった。こんな市に納税するのはバカらしいということで、名古屋市のときにもフルに利用したふるさと納税を積極的に利用しようと誓ったのは言うまでもない。

 

怒りで話が逸れてしまったから、戻すと、アート療育の先生たちが個人的なツテも含めて家庭教師を探してくれた。

 

長女の家庭教師が見つかった。こちらの事情も汲んでくださって、療育の活動をしている方を紹介してくれた。この方も素晴らしい方で、お会いして、僕も妻も一発でファンになってしまった。長女はまだ照れていたけれど、自分の書いた絵などを一生懸命見せて、絵の説明をしていた。親が聞いてもよく分からない長女の説明を家庭教師の先生が興味を持って聞いてくれたので、長女も喜んでいた。

 

障害児を育てるときには、周囲からの助けが必要だ。ダメ元でもなんでも相談してみた方がいいと思う。どうにかなることもある。

 

そういえば、少し多感になってきた長女にとっても、家庭教師であれば、なぜ自分だけ保育園の途中で療育に行くのだろう、という疑問も起こらないんじゃないかと思った。以前の保育園では、療育に行く長女に対して、何度説明しても、毎回理由を聞いてくるお友達がいた。余計なお世話かもしれないけれど、僕はそのお友達も療育が必要な子だと思っていたが、なかなか言えなかった。療育は早ければ早いほどいいというか、発達障害なども本人や保護者が困り果てる前に、どこかにつながっておいた方がいいと思うけれど、「こどもはこういうもの」という圧力が強い地域だとなかなか療育に通わせようとならないみたいだ。

 

長女の家庭教師が見つかってよかった。療育にも詳しい方だったので、僕らの相談にも乗ってくださるということだった。また、彼女が所属している団体だけでなく、関係団体にも長女のことで何かあれば手伝わせてくださいとも言ってくださった。ただ、その場所は車でも30分以上かかる場所だったりする。車を買うしかないのかもしれない。

 

車購入に対して、僕らが消極的なのは、2人とも運転が下手というのもあるし、ちょっとお土地柄の車の運転を見ていると怖くなるというのがある。幸い、引っ越してきた場所は普通の運転のようだけれども。このことはまた別に書こう。