いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

凸凹発達に困る!<4>(自閉症児篇)<子どもにとって何がいいのかは分からない>

凸凹発達に困る!<3>(自閉症児篇)の続きになります。

 

名古屋市の保育園で、年少組だった長女は、1人だけ年長組にいることが多かった。保育園の運用についてあまり詳しくなかった当時は、なぜだろう? という疑問はあったけれども、保育園を信頼していたということもあって、特に何も言わないでいた。しかし、その保育園では、ちょっとそれまでの保育園では経験したこともないようなこともあり、身内や友人の保育士に聞いても、ちょっとおかしな保育園とも言われたこともあって、いろいろと調べるようになった。すると保育園の運用にはちょっと問題があることが分かった。実際に運用するのは、人なんだ。人はときに間違うし、誤解もする。とくに慣例と違うことに対しては、熱心に研修を受けている人じゃないとヘンテコなことをしてしまうというのは、何も保育園に限ったことでもない。ふと、コンプライアンスというのがしきりに言われるようになって、研修をちゃんと受けた人と、適当に受けた人で、その後の見解の相違があるようなものかもしれない。

 

しかし、この主任の制度的には問題がある長女への措置も、結果的には、長女にとっては良かった部分もあったような気もした。子どもにとって何がいいのか、それぞれの障害特性と環境を加味しながら、柔軟な考えを、保護者も含めて話し合うことの方が大事なんだと思った。

 

困ったことがあった。

 

長女は言葉が話せるようになったとはいえ、同じ年の子のようには話せないというより、意味がわかっていないことがたくさんあった。子供が大人の口真似をするように、子供の口真似をするようにして、長女の言葉は増えていったけれども、会話も、どこか子供同士の会話の真似をしているようなところがあった。しかし、発語ができなかったときよりも、言葉は急激に成長するようになった。

 

5歳にもなると、意味もはっきりしてきて、友達とのトラブルも減ってきたような感じがする。自分が何をしたいか、何がいやか、ということも言えるようになってきた。けれど、保育園の先生から「おうちの人に伝えてね」という感じで、年長組であれば当たり前のようにしている連絡事項が僕らに長女から伝わることはなかった。いまでも何のことか分からないことが多い。年長組から転園した保育園ということもあって、長女の障害特性を何度と説明し、大事なことは連絡ノートに書いて欲しいというお願いをした。長女なりに伝えようとしてくれているだけに少し切ないものがある。

 

次女三女も3歳にもなると、とてもよく話すようになった。長女は2人に追いつかれないように語数を増やしている。長女が妹たちと口論をして、言い負かされて泣いているというのを何度か見た。語数は増えても、言語認識や論理では追い越されてしまっているのかもしれない。いや、3歳児の論理なんてときに乱暴で、大人でも2人を説得することが難しいと思うことがあるのだから、長女の発達の問題だけじゃなく、双子が強すぎるということもある。多数決の強者だ。いま住んでいる市の論理も乱暴で抑圧的だから、3歳児みたいだと思うことがある。

 

3歳のときに、言語認識が1歳半遅れと診断された長女は、6歳を目前にして、今はどのくらいなのだろうか。小学校の進路をどうするのかということもあって、長女はいやがるけれども、療育センターにあらためて検査を受けに行くことになった。

 

結果は、やはり、言語認識は1歳半遅れ、ということだった。

 

3歳の頃から6歳目前まで、ずっと1歳半遅れをキープしている。長女の障害だとこうい遅れをキープしたままの発達になるのか、それとも、1歳半からアーリーインターベーションや、その後も療育に通い、現在でも家庭教師のように療育の専門家に通ってもらっているということもあって、その成果として、1歳半遅れをキープしているのかは分からない。3歳の頃の1歳半遅れは、大袈裟に言えば人生の半分を遅れているということでもあり、長女自身にもストレスがかかるような遅れだった。しかし、今は、1歳半遅れているとはいえ、それなりに物事を言語で捉えることができるようになっている。絵本も少しは読めるようになってきたし、アニメを見て説明をしてくれるようになった。最近は、ひらがなを練習している。ちなみに、僕は小学2年生くらいまでひらがなが書けなかった。幼児に多いと言われる鏡面文字が長く続いたというのがある。大人になってからも、たまにやらかす。

 

このまま1歳半遅れのままであるのなら、20歳になれば、18歳くらいということだし、30歳になれば28歳、40歳になれば38歳くらいということで、年が経てば経つほど誤差のような遅れになるような気もした。

 

療育センターでは、長女は、言語認識こそ1歳半遅れではあるが、生活面や情緒では遅れが見られないということだった。どちらかというと、周囲の子よりも発達が進んでいることもある。それに絵などの視覚的な認識は通常よりもはるかに進んでおり、小学生中学年の絵と比べても区別がつかないようなことがある。保育園でも長女の絵は、彩色の細かさなどは少し驚かれる。そういえば、長女が名古屋の保育園で年長さんに混じって絵を描いていると、周囲に人だかりができていた。長女の絵がかわいいと、よく年長の子たちから聞かされていた。保育士さんからも、長女の絵が素晴らしいと何度も言われていたけれども、軽度知的障害の長女を慰めているのかな、と親バカに顔が緩みそうになるのを抑えていた。実際、長女の絵は上手いと思う。言葉が巧みな双子も、よく長女のお絵かきを依頼している。

 

凸凹発達に困る!<5>(自閉症児篇)に続きます。