いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

アルコールIDに困る!<上>(ボストン篇)<ビールが好きなら、アメリカも好きになる>

「アルコールIDは作らなかった」(長女6ヶ月)

 

困ったことがあった。

 

僕はビールが好きだ。もちろん、子どものころはビールの匂いを嗅いだだけでも嫌な気持ちになった。そういえば、小学生くらいのとき、町内会か何かの集まりが団地街にある集会所で開かれていた。その集会所で忘年会のようなことが二、三回開かれたのを覚えている。その数回で終わってしまったのは、きっと集会所で飲み会をやっちゃいけないとかそんなお達しがあったからだろう。

 

昭和の大人たちはいい歳しても、たまにルールから逸脱していた。そんな禁止された宴会が他にもいくつかあった。いま考えてみれば、ボストンのアパートメントの施設や庭でBBQをやっている感覚だったんだろう。ボストンのアパートメントの場合のBBQの場合は、備え付けのセットがあり、許可制だったりするけど、団地の場合は自分たちで不法占拠的に利用している。団地で、宴会やBBQはやっちゃいけないことだった。

 

そんな集会所での飲み会に子どもたちが駆り出されるのは、より小さい子どもたちの相手や、お使いなどの雑用係だった。日頃飲めないジュースも飲めるし、お菓子も食べられる、そしてお使いに行けばお釣りももらえる、お祭りの翌早朝くらいに稼げるのが、集会所の宴会だった。これは不確かというかぼんやりとした記憶なんだけれども、当時、1リットルとかそのくらいのサイズのスプライトやコーラの瓶があった。その蓋の裏にペリッと剥ける部分があって、そこに50円とか100円とか、お金じゃなかったかもしれないけれども、何かお金に類するものと交換できるキャンペーンをやっていたような気がするけれども、記憶違いかもしれない。空き瓶を持って行って換金していただけかもしれない。詳しいことは忘れてしまったけれども、酒臭い集会所は好きだった。

 

ビールをはじめて舐めたのはこの集会所だった。キリンだったと思うけれど、大きな缶があって、注ぎ口にキリンの頭みたいなものをつけると、キリンの口からビールが注がれるというものだった。このキリンの頭ももちろん集めていたので、空き缶を片付けながら、注ぎ口のキリンを収集していた。

 

注ぎ口にはビールが少しついている。大人たちが喜んで飲んでいるビール。きっと、コーラみたいな味がすると思った。色から考えれば、ベッコウ飴みたいな味かもしれない。そんな予想を立てて舐めてみた。あまりよく分からなかった。

 

僕は潔癖症気味だったので、誰かが口をつけたグラスに残っているビールを飲むのはいやだった。しかし、ビールの味はもう少し舐めてみないと分からない。どうにかならないかと自分で洗った空きグラスを手に持って、酔っ払っている父親に近づいてビールをせがんだ。周囲の大人たちに笑われながら、少しだけビールをもらって、舐めた。よく分からない。一口飲んだ。周囲の期待通りに、苦いといって口の中にティッシュを入れた。

 

このとき、ビールなんて一生飲まないぞと誓った。誓いとは破られるものらしい。

 

そんなよくある子供時代のエピソードはさておき、僕はビールが大好きな大人になった。飲みに行けばずっとビールを飲む。ビール飲み放題だとお店の人に勘弁してくださいと言われるくらいずっとビールを飲み続ける。ビールだけ飲んでいれば幸せだ。しかし、ビールは高い、どんどん高くなる。ビールの値段を気にしながら飲むなんていやだ、そんな人はアメリカに行くといい。

 

アメリカのビールは安くて濃い。IPAビールがみんな大好きだ。6パックが鞄に入るかどうかが、鞄を買う基準になるくらいだ。ビールが楽しめる国、それがアメリカ。値段も1本1ドルちょっとだったから、日本よりも圧倒的に安い。こんな国で禁酒法があったのかと思うと、法律って一体なんだろうという気もする。

 

アルコールIDに困る!<中>(ボストン篇)に続きます。