いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

凸凹発達に困る!<2>(自閉症児篇)<言葉の遅れと言語認識能力>

凸凹発達に困る!<1>(自閉症児篇)の続きになります。

 

長女の発達がちょっと遅れているのかも? と気がついたのは、1歳を過ぎたあたりだった。そのくらいのときに、発達のことを気にしていると、「気にし過ぎ」「他の子の発達と比べない方がいい」などと言われるものだ。きっと言う方にしても、心配になっている人を慰めるくらいの気持ちなのだろうけれども、これはこれで「人から言われることを気にする」ことになってしまう。子供の発達に関しては、母子手帳の成長の目安や、育児書などを参考にして、ちょっと違っているな、と思ったら専門家に見てもらう方がいいと思う。周囲から「心配しすぎ」と言われて、小学校に入るときに、発達障害や知的障害を指摘されて愕然としたという話も結構聞く、というか、保育士をしている義妹もそうやって自分の子供の発達に対して「気にし過ぎ」「個性の一つ」と割り切って、何もしないでいて、小学校の入学前に発達障害を診断されたときに、これまでケアをしなかったことを今でも後悔している。普段から子供に触れている仕事をしている人ですら、判断を誤るのだから、周囲の「気に過ぎ」とか「うちの子も」とかの意見に左右されずに、堂々と、専門家に相談した方がいいと思う。ちなみに、義妹は、自分の子供の経験があったからか、その後は、保育園でも保護者からの発達の相談に対して具体的な提案をするようになったそうだ。育児の相談で必要なのは慰めや気休めだけではないものもある。

 

困ったことがあった。

 

長女は3歳になったけれども、まだ発語はほとんどなかった。アンパンマンのことを「アンパンパン」と言っていたり、ドキンちゃんのことを「コッキン!」と言って喜んでいた。たしか、アンパンパンの方が「ママ」というより先だった気もするけれども、忘れてしまった。長女の言葉を日付入りで全てメモしていた妻なら正確にわかると思う。二語分はほとんどなく、三語文になると一つもなかったと思う。こちらの言っている言葉もあまり分からないようで、何か言われると動きが止まって、その後、しばらく経ってから癇癪を起こし、1時間以上泣き止まなかったりしていた。基本的に視覚支援を用いて説明していた。

 

東京から名古屋に引っ越し、新しい保育園に通うことになった。年少ともなるとお友達たちはたくさん喋る。1歳を超えた双子たちが話すようになり、長女の語数に追いつきそうになると、長女も危機感があるのか、語数が増え、二語分が出てきて差を見せつけた。そんなときに、療育センターに行って、また検査を行った。療育センターに行った日は長女が荒れる。

 

療育センターでは、長女は、1歳半の遅れがあると言われた。主に、言語認識の遅れで、言われてみると、1歳11ヶ月年下の次女三女の言語に追いつかれそうになりながら、引き離すという言語レースをしている長女を見ていると、確かに1歳半くらい遅れているのかもしれないと思えた。もちろん、周囲のお友達とは言葉でコミュニケーションは取れず、また、保育士さんからの言語による指示が理解できずに、よく癇癪も起こしていた。トイレも行けず、トイトレもできず、好きな服を着てもお友達から何か言われて泣き出してしまったりしていた。そういえば、保育園では、なぜか長女1人だけ、年長さんのクラスにいることがあった。

 

子供1人だけ別のクラスに移動させることは禁止されている。当時、長女の通っていた名古屋の保育園の主任がクセの強い方で、独自のルールで保育園を運用していた。主任の運用には一つの基準があり、それは、保育士の負担を減らすためなら、子供の扱いも保育園都合にするし、保護者の負担が増えてもいいという基準だった。そのため、預かり拒否傾向の強い保育園になっており、発熱や嘔吐がない状態でも、ちょっと元気がなさそう、と保育士の1人が判断したら、すぐに保護者を呼び出して引き取らせるという方針だった。虐待保育とまではいかないけれども、なかなかな保育園だった。

 

長女が1人だけ別のクラス、二つ年齢が上の年長のクラスに行っていたことが分かったのは、次女三女のどちらかが元気がないと言われて呼び出されたり、次女三女の予防接種でお迎えに行ったときなどに、決まって、長女だけ別のクラスでお絵かきをしている姿を見たからだった。毎回、年長クラスにいた。

 

不審に思ったので、担任に聞いてみると、長女が他のクラスに行きたがったということだった。しかし、長女は自分の意思を言葉で伝えることができない。担任はどうのようにして、長女の意思を汲み取ったのか、と聞いてみると、目が泳いだ。その後、ちくちくと聞いてみると、どうやら、主任の意向によるものだったことが判明した。長女は、加配保育を申請していた。主任の考えでは、加配担当は保育園全体をフォローをするというものだった。統合保育の拡大解釈だ。名古屋市の方針だと主任が主張するものだから、名古屋市役所に問い合わせると、統合保育は市の方針であるが、実際の運用は各保育園に任せているという回答だった。つまり、実際の運用は名古屋市の方針というわけではない。名古屋市としては実情が分からないため調査をするということだった。

 

現地調査の日は、お盆休みに近い時期で児童が少ない日を園長から指定されたようで、集団保育をしている保育園に調査に行ったという。もちろん、集団保育中なのだから、実際の運用とは違っているのは考えなくても分かるけれども、僕に指摘されるまで、ピンと来なかったらしい。なんとも間の抜けた話だし、保育園側が何かを誤魔化そうとしていたんだと思う。そのことを園長に追求したけれども、誤魔化すなんて、みたいな感じでのらりくらりとかわされ、あまりのいい加減さに腹が立った僕が、声を荒げてしまったら、声を荒げた僕のことを他の保護者がアンケートで非難していた。少し前に話題になったトーンポリシングというやつだ。

 

凸凹発達に困る!<3>(自閉症児篇)に続きます。