いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

問題の共有に困る!<6>(自閉症児篇)<物のトラブルがうまく解決しないこともある>

問題の共有に困る!<5>(自閉症児篇)の続きになります。

 

長女の新しいお友達がうちに遊びに来て、想像以上に荒らし周り、物を壊し、長女のオモチャと三女の服を持って帰ってしまった。それくらいであれば、まだいいし、これくらいであれば、子供のやることだから、という範囲でもある。しかし、そういうことが起こったときに、保護者がどういう対応をするかによって、その後の付き合いのしやすさというのは変わる。僕や妻は、子供たちがいたずらをしてしまったときには謝罪し、また、うちの子たちが何かをしたとき、たとえば、冷蔵庫を開けてしまったり、勝手に食べ物をとって食べようとしたときには、叱って欲しいと、最初にお願いしている。子供のやることだから、と寛容に思ってくれる方もいるかもしれないけれど、人の家で勝手なことをしてはならない、ということを覚える機会だと思うというのもあって、仲良くしてくださる方には、そんなお願いもしている。とはいえ、僕の家庭の方針と、他の家庭の方針が同じというわけでもない。子供に対する向き合い方の方向が大きくずれてしまうと、子供同士が仲良くても、徐々に疎遠になってしまうのも仕方ないことだとは思う。

 

困ったことがあった。

 

うちには、長女の友達がよく遊びにくる。イタズラする子もいるし、もちろん、おもちゃの奪い合いみたいになる子もいる。物を壊してしまう子もいるけれども、それは所詮子供のやることだからと思っている。僕が気にするのは、子供というよりも、そういうことがあったときに、保護者同士が気持ちのよいやりとりができるか、ということだと思っている。

 

あるとき、長女がスカートを履いて保育園に行きたいと言い出した。3歳の頃にスカートを履いて行ってお友達に指摘されてからというもの、長女はスカートを履いて保育園には行かなくなっていた。療育などにはスカートを履いていくけれど、保育園にはイベントなどがあるとき以外は履いて行かなくなっていた。そんな長女が珍しく何もない平日にスカートを履いていくと言い出した。そして履いていくスカートも指定してきた。そのスカートは娘にとっては大事なスカートで、普通の洋服のように見えるけれど、蝶々のコスチュームに付属していたスカートだ。ヒラヒラしていて可愛いものだから、長女はお休みの日や、お友達がうちに遊びに来てくれるときだけ履いているスカートだった。

 

なぜそのスカートが履きたいのか、聞いてみた。いつも、保育園にスカートは履いて行かないよね? と、僕が聞くと、どうやら、その遊びに来たちょっと問題のあるお友達から、スカートで保育園に来て欲しいと言われたということだった。女の子同士のことだから、そうやってお互いの洋服を見せ合ったりするのかもしれないと思って、長女の言う通りに、スカートを出した。翌日、長女はお気に入りのスカートを履いて行った。

 

長女をお迎えに行くと、とても笑顔だった。そしていつものように帰り支度をしていると、下はタイツしか履いていなかった。スカートはどうしたのかな? と思って聞いてみると、何も言わずにニコニコしている。長女のことだから遊んでいるときに脱いでしまったのか、それとも、朝、妻が送るときになってスカートを脱いで家にあるのかもしれないと思って、そのまま帰った。僕は呑気に、「タイツのときは、スカートも履こうね」と言っていた。長女は何も言わずにニコニコしていた。

 

それから数日、僕はスカートのことを忘れていた。長女もスカートを履いて保育園に行くとは言わず、いつものパンツ姿で登園していた。いつもの長女だった。

 

あるお迎えのとき、例のお友達が、長女と同じスカートを履いていた。そのスカートはユニクロH&Mなどのいわゆる同じ服になるものでもないスカート、というのは前述したけれど、衣装の一部となるスカートなので、滅多に同じスカートを見ることはないのだけれど、そのお友達は、長女が履いていたスカートを履いていた。その場で、お友達に聞いて僕の誤解だったら申し訳ないので、家に帰ってから、そのスカートを探した。見つからなかった。長女に聞いてみると、例によって、はじめからそのスカートがなかったような感じで何も教えてくれない。長女がそのスカートを履いて写っている写真もあったので、見せても無反応だった。前のヘアピンのときと同じだ。お気に入りのスカートだった筈なのに、そのスカートがなくなっても、何の反応もない。もう一つ、踏み込んで、お友達が同じスカートを履いてたよね? と聞くと、いつもであればお友達がお揃いの洋服や靴下の場合は大喜びして僕に教えてくれるのに、そのときは、やっぱり無反応だった。

 

これは何か長女の障害特性なのかもしれない、ただ、これがどういうものか分からない。親としては、なんだか切なくなる障害特性で、大切なものがなくなったときに長女ははじめからなかったと思うようにしているのか、それとも悲しまないようにするために意識を抑圧しているのか、そんな感じなっているのかもしれないと思った。そういえば、長女は妹たちにオモチャや自分で作った創作物が壊されたときにも、これと同様の無反応という反応をする。自閉症の一つの特性なのだろうか。
 
問題の共有に困る!<7>(自閉症児篇)に続きます。