いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

新築アパートメントに困る!<4>(ボストン篇)<新築の考え方がちょっと違うのかもしれない>

新築アパートメントに困る!<3>(ボストン篇)の続きになります。

 

ボストンに来ている駐在員たちの環境とても良いと思った。でなければ、新築のアパートメントになんか住めない。そんな待遇の良さから、ちょっとエリート意識やセレブ意識に勘違いして目覚めてしまう人もいるにはいるけれども、セレブなアパートメントに住んでいても、水圧が低かったり、故障続きだったりすることを直視すると、これはセレブとかエリートとかで浮かれる前に、生活者として地に足をつけよ、と浮かれた夫をたしなめる良妻もいたりする。

 

僕らは、そもそもボロいアパートメントに住んで、倹約生活をしながら、乳児の世話から妻の妊娠、そして双子の出産などもあり、浮かれる余裕もなかった。浮かれる駐在員のことをくさしているようだけれども、僕も、いつか、あんなふうに浮かれた一年を過ごしてみたいものだと思う。しかし、浮かれるのであれば、シャワーの水圧やエレベーターの故障などが気にならないところで浮かれてみたい。

 

困ったことがあった。

 

新築のアパートメントの問題は、新築だからこそ起こる問題らしい。これも日本での感覚とはちょっと違っていた。新築であるということは、まだ故障箇所が改善されていない建物、とボストンでは考えられるらしい。そのため、シャワーの水圧にしても、一年二年しか住まない人が文句を言ったところで改善されるわけもなく、長く住みながら交渉したりなんなりして、またはもっと大きな故障が起こってから改善されるらしい。

 

そんな新築事情など知る由もない、はじめてのアメリカ移住者にとっては、確かに、綺麗で設備も整いセキュリティーも万全な新築アパートメント、しかも、家賃がそもそも高いと言われるボストンの中でもさらに高い家賃の新築アパートメントに、水圧やエレベーターの故障の問題があろうとは予想することもできない。水圧やエレベーターの故障も、日本であれば、ボロいマンションやアパートで起こるトラブルなのだから、新築で起こるなんて、まあ、想像できない。

 

もちろん、どうせ住むといっても、一年や二年のことだし、家賃も会社などが負担してくれるというのであれば、水圧やエレベーターの故障があったとしても、プールがあったり、ジムがあったり、またはセキュリティーやアパート内の治安がいい場所の方がいいというのもあるし、僕も住めるものなら、水圧が低くても、そんなところに一年や二年住んでみたかったとも思う。ここで言いたいのは、日本の新築事情とはちょっと考え方が違うボストンに新築事情がある、ということくらいのことで、新築だからこそ抱える問題があるという話だ。

 

ボストンであった知り合いの家族が、ボストン郊外に家を買った。その家族は日本人家族ではない。彼らは、当初は中古の家を探していたらしい。中古の家をリフォームして住む予定だったらしいけれども、建売で手頃な物件があったので、建売の新築を買ったということだった。彼らの場合は、そもそも中古の家をリフォームする予定だったということもあり、家のメンテナンスに慣れているということもあって、不具合はいろいろとあったが、一年くらいかけて直したと言っていた。最初から、新築の家には不具合があると思っている人たちであれば、こういう家の買い方もあるんだなあ、と思った。アメリカの家で思うのは、とにかく家をリフォームというかいじるのが好きな人が多いということだった。それはきっと、新築では不完全な部分が多いというのがあるのかもしれない。

 

そういえば、僕らが住んでいたボロアパートだけれど、壁の色を塗り替えたりするくらいなら好きにやっていいとも言われていた。そもそも敷金なんてないし、破壊しなければいいよ、という感じだった。ボロいアパートや中古の家がなんだかんだと住みやすいのは、住む人がいいように変えていけばいい、という考えがあるからなのかもしれない。そして、多少の不具合は自分でなんとかしろ、というのがあるのだろう。

 

日本のように、ちょっといじるだけで敷金から引かれる賃貸文化で育ってきてしまうと、このあたりの違いに戸惑うのかもしれないし、日本であればボストンの新築は欠陥住宅まではいかないが、施工会社にクレームが入るレベルだけれど、それすらも、家は建てたからあとはお好きに、という感じなのだろう。新築アパートメントの不具合がなかなか直らないのも、新築なんだから不具合があるのは当たり前というのがあり、そしてその度に直すというよりも、個人が直すまで待っていたり、大規模に修繕が必要になるまで放置しておくというのがあるのかもしれない。

 

日本でもヤバい管理会社のマンションは似たところがあるが、まあ、アメリカの管理会社は、そういう意味で、日本の基準にしてしまうと、ヤバい管理会社が多いのかもしれない。いや、日本人が人任せすぎる、とアメリカの人には言われてしまうかもしれないけれども。