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家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

新築アパートメントに困る!<2>(ボストン篇)<新築アパートメントには個人の洗濯機がある>

新築アパートメントに困る!<1>(ボストン篇)の続きになります。

 

僕らはボストンでボロいアパートメントに住んでいた。住めば都というわけでもないが、汚さもボロさも次第に慣れていった。なにより、ボストンの高すぎる家賃を考えれば、僕らはボロいアパートですらもギリギリというか、ちょっときついくらいの家賃だった。

 

僕らと同じような環境で、同じようにボロいアパートメントに住んでいる妻の同僚もいた。その家族のアパートメントの見た目は僕らのアパートメントよりもボロくはないけれど、暖房設備が壊れているということからも、ボロアパートメントの称号に相応しいと思う。アパートメント自体は僕らのアパートメントと比べられないくらいに小綺麗だったけれど、いや、僕らのアパートメントが汚いだけなんだけれども、と、ボロさの比較はこれくらいにしておいて、ボロいアパートメントですら、どこが、何がボロいのかという違いが出てくるものだ。

 

困ったことがあった。

 

ボロいアパートメントはボロいアパートメントの問題を抱えている。見た目にボロくても、温水暖房さえちゃんとしていれば、ボストンの冬は乗り越えられるから、安くてボロいアパートメントを探すにしても、温水暖房みたいなアパートメント全体を温めてくれる設備があるところにした方がいいと思った。日本での慣例とボストンでの慣例は少し違っていることも含めて、家賃だけではなく、光熱費も含めて考える方がいいと思う。

 

さて、そんなボロいアパートメント仲間とのボロい話をしていると、企業や省庁から派遣されてきた人たちが住んでいる綺麗なアパートメントが眩しく見える。しかし、綺麗なピカピカなアパートメントには別の問題があるようだった。

 

企業などから派遣されてくる、つまり、駐在員ということになるのか詳しくは知らないけれど、彼、彼女たちの住む場所は、綺麗なアパートメントであることが多い。それは贅沢をしているとかそんなことでもなく、日本の企業から来る人たちを仲介するのが、日本の企業のエイブルだったりするので、エイブルが紹介する物件が、綺麗で素敵なところが多いというだけかもしれない。どのくらい変わるかというと、僕らのボロいアパートメントと、エイブルさんが紹介する綺麗なアパートメントでは同じような部屋数でも日本円で10万円くらい変わるくらい違っていると言えば、伝わるかもしれない。円安の今なら、もっと大きな差額になるだろう。

 

エイブルさんから紹介される物件は、新しく、そして綺麗というだけでなく、日本人であれば最低限欲しいという設備がついている。とくにファミリーであれば欲しがるものだ。それは室内の洗濯機。ボストンあたりの古いアパートメントでは室内に洗濯機がないのが普通で、廊下の踊り場や、地下に共同の洗濯機がある。室内に個人の洗濯機があること自体が、アパートメントとしては豪華なアパートメントに分類される。しかし、日本で生活していると、室内に個人の洗濯機があるのは当たり前だから、ボストンにおける贅沢と日本の普通が混じり合う。

 

僕だって室内に個人の洗濯機があれば便利だと思うし、とくに乳幼児を育てていると、洗剤ひとつとっても気を遣っているのだから、誰がどう使っているのか分からない共有の洗濯機は遠慮したい気持ちも分かるし、土曜日や日曜日になると、何台もの洗濯機を占有して一週間分か二週間分の洗濯をする方と、洗濯機の奪い合いをするハメにもなる。あと、洗濯や乾燥が終わっているのに、なかなか取りに来てくれない人もいる。僕の家の周囲では、大きなコインランドリーがあるので、土日になると、そこに洗濯物を抱えて通う人たちもよく見た。話に聞けば、僕らのアパートメントはフロアごとに洗濯機があるからまだマシで、場所によっては洗濯機もっと少なかったり、シェアハウスで過ごす人も多いから、そういう人たちはコインランドリーを使うしかない、ということだった。

 

僕も学生時代はアパートに洗濯機なんてなかったから、大体、二週間に一度くらいコインランドリーに行って洗濯していた。そういえば、コインランドリーが階下にあるという理由で住んだボロマンションもあった。当時からボロかったから、いまはないだろう。シェアして住んでいたからだけれども、新宿区で家賃4万円は安かった。トイレは和式だったけれども。

 

ボストン、とくに、僕が住んでいた地域は、大学が多いというのもあって、学生も多く住んでいた。学生といっても、学部生だけじゃなく、ボストンのあの辺というのは、世界中から研究員なり、企業の派遣なり、博士課程なりと、若い人ばかりじゃなく、ファミリーで海外から来る人も多い。だけれど、学生街のような生活環境になっているのか、洗濯の環境は学生時代を思い起こさせる。学生1人で住むならいいけれども、家族で住むとなると、それなりに不便な気もする。

 

新築アパートメントに困る!<3>(ボストン篇)に続きます。