いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

新築アパートメントに困る!<1>(ボストン篇)<ボストンのボロいアパートメント>

「僕らが困った話ではないけれど、お国柄を感じたこと」

 

困ったことがあった。

 

いや、僕らが困ったわけではないため、正しくは、友人たちに困ったことがあった、というべきかもしれない。何に困っていたのかというと、新築アパートメントについて困っている友人が何人かいた、ということになる。

 

僕らがボストンで二年近く住んだアパートメントは、古びたところで、階段のタイルは剥がれ、廊下のカーペットもところどころとれている。部屋の中も掃除はしているけれども、何回も重ね塗りされた壁や、年季の入った冷房(ボストンで冷房を使うことはあまりない。一年を通して二週間あるかないかの使用だった)、ちょっと危険な臭いのするベランダ、駐車場は穴だらけで水たまりも多くあった。良く言えば味わいがあり、普通に言えばボロかった。

 

そんなボロアパートではあるけれども、エレベーターも故障せず、シャワーの水圧もそれなりに強かった。隙間風はボストンでは当たり前のようなので、窓を塞ぐアイテムもAmazonで売っていた。引っ越してすぐに洗面台とトイレが詰まったことがあったけれど、最初は、僕らがヘンテコなものを流したに違いないと、疑っていた管理人さんも、パイプ詰まりの原因を見てみると、昨日今日のつまりじゃないことに気がついたらしく、僕らが変なものを流したというよりも、それまでに住んでいた人が、洗面台でいろんなものを洗っていた結果、詰まっていたことが分かったみたいで、マナーの悪い住民の悪口を言って去って行った。管理人さんも、呼べば、早くて翌日、遅くても数日以内に来た。

 

洗面台とトイレの詰まりは、この住み始めた最初以外には起きなかった。いろいろボロいアパートで、いつまでたってもインターホンはつながったりつながらなかったり、冬前に管理人がボイラーをつけないまま休暇に入ってしまったため、アパート中で寒いコールが起こっていたけれども、そもそもボロいアパートだし、その分、家賃も安いということもあって、なんだかんだと、全体的には満足していた。家賃は安いとはいえ、家賃が高いことで有名なボストンだ。安い安いと言われながらも、2000ドルだった。光熱費込みだけれど。

 

日本から来ている人たちと知り合いになって、アパートメントや家のことなどを話す機会があった。みな、一様に、我が家の家の広さと家賃の安さに驚いていたけれども、ボロアパートに住む人たちがあまりいなかった。妻と同じ仕事でボストンに来ていた家族も、うちと同じような台所事情(会社等から家賃が払ってもらえない)だったので、住む地域や家賃についてよく話した。

 

妻の友人というか、同僚の類になる、その家族が住んでいたアパートメントは、日本人が多く住む地域にあった。家賃は僕らより少し安かったけれども、僕らのアパートメントより一部屋少なかった。また、ボストンでは、アパート中に温水の配管を通してアパート全体を暖かくするという暖房があるのだけれども、この配管が故障したらしく、全住民で費用負担するか、故障はそのままにして、各自冷暖房を自分たちで行うか、という二択になったらしい。で、そのアパートでは各自で行うということにしたということだった。

 

ボストンの冬はなかなか過酷だ。僕らが住んでいたボロアパートですら、温水がアパート全体を通っているから、どうにか温かくできている。隙間風があったとしても、窓などからの隙間風であれば塞げばいいけれど、壁や廊下から伝わる冷気を塞ぐのは困難にも思える。しかし、友人たちが住むアパートメントでは、暖房は個人で行うという決定をしてしまった。冬場に遊びに行くと、部屋の至るところに電気ストーブが設置されていた。乾燥を防ぐために加湿機能のあるもので、そういえば、僕が団地に住んでいた頃、昭和の昔には、このタイプの電気ストーブがたくさんあった気がした。また、友人たちが住むアパートでは、暖房を個人で行うということから、電気代も個人が払うということになったらしい。

 

電気代を個人で払うというのは、日本に住んでいたら当たり前に思えることだけれど、僕らが住んでいたようなボロいアパートメントなどでは、電気ガス水道代が家賃に含まれている。そんなアパートメントの場合には、ホットウォーターとかそんなことが書いてあったりする。しかし、友人たちのアパートメントは、温水の暖房設備が壊れたことをきっかけに、家賃は下げるけれども、他は別途請求というやり方になったみたいだ。どっちがいいのか、判断は難しい。夏場だけであれば、別途請求の方がいいとは思う。しかし、ボストンの夏は短い。冬場の光熱費は結構な値段になる。

 

新築アパートメントに困る!<2>に続きます。