いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

問題の共有に困る!<7>(自閉症児篇)<長女の障害特性と、三女のADHD傾向>

問題の共有に困る!<6>(自閉症児篇)の続きになります。

 

長女と物の関係は、姉妹間のトラブルや、友人間のトラブルよりも、トラブルが起きたときの長女の様子がおかしいということを気づかせてくれた。怒るわけでも、泣くわけでもなく、悲しむこともなく、無反応、無関心になってしまって、お気に入りのスカートであっても、はじめからなかったかのような反応になっている。これはどういうことなのだろう、と今もずっと気になっている。そういえば、長女が帰国した2歳の頃、お気に入りのぬいぐるみを甥に貸した直後、目の前で破かれたときにも、泣きもせず、怒りもせず、無表情、無反応になっていた。

 

困ったことがあった。

 

療育センターに行く用事があったので、長女のこのことを聞いてみた。「うーん、自他の区別がつかないとかですかねえ」と言われた。もちろん、長女は自他の区別に関しての発達が遅れているのは否めないのだけれど、なんだかそれだけとは言えないような気がした。僕からみると、自他の区別というよりも、もっと切ない症状に思える。それこそ、自閉症の字面が示すような、自分の殻に閉じこもっているような、自分の中のゾーンに入り込んでいるような感じがした。

 

発語ができるようになってからの長女の発達は目覚ましいものがある。いろいろなことが話せるようになった。もちろん、コミュニケーションとしては微妙なところはある。一方通行の会話になることが多い。それでも、以前のように黙って癇癪を起こしたり、泣き続けていた頃よりもずいぶんとやりやすくなっているし、意味不明な音を連呼している状態ではなくなった。それにゾーンに入ることも少なくなっている。しかし、それは単に発語があるから、僕らにとってマシに見えているだけであって、本当のところは、長女は、つらいことがあるときなどに、無反応、無関心になって、癇癪とはまた別の発露をしているだけなのかもしれないと思った。

 

一つ乗り越えたと思ったら、また別の壁がある。以前、行方不明になったことが一度あるけれど、そのときも、僕ら両親は、長女の状態が安定していると思っていたときだった。心配性で多少過保護のきらいがある僕より、少し長女を信頼して自主性を重んじる妻が長女といるときに起こったことだったということもあって、妻は今でも行方不明になったことを思い出すと、つらいようだ。何かができるようになった分、また別のことが起こる。友達との関係も、以前より、ハタから見ると良好のようだけれども、そして仲良くしているように見えるけれども、当人同士ではどこか妙な関係になっているのかもしれない。元に、以前、長女の物がなくなっても何も言えなかったように、今の長女も何も言えないことは変わらない。

 

ちなみに、たぶん、長女のスカートと思われるスカートを履いているお友達からも、その保護者からも何も言われていない。もしかしたら、賢いお友達のことだから、保育園に長女のスカートをしまっているのかもしれない。もしかしたら、長女とお友達の中では、保育園で一緒に履こうという約束をしているのかもしれない。そのあたりのことは、僕には分からない。

 

先日、長女ではない、三女の方にも事件があった。もともと、長女や次女の物を勝手に取ってしまう三女で、その度に、注意していたが、口達者な三女は、次女から責められてもいつでも誤魔化していた。長女は口喧嘩では勝てないので、三女に物が取られても気にしないことが多く、三女にオモチャや洋服が取られても、ニコニコとするようになっていた。三女は保育園のおもちゃを持って帰ってきてしまうこともあったので、そのことも注意し、保育士さんにも謝罪していた。そんな三女も連れて長女の別のお友達の家に遊びに行った。

 

帰宅すると、三女はお友達のポーチを持ち帰っていた。気がついた妻が三女を叱った。人の物を持って帰ってきちゃいけません、泥棒さんになりますよ、と行った。ちなみに、三女はパン泥棒が好きなので、泥棒と言ってもニヤニヤしてしまう。ニヤニヤする三女にもう少し真顔で怒ると、いけないことをした、と理解したようだった。ごめんなさい、と謝った舌の根の乾かぬうちに、お友達のポーチの中を開けて、ポーチの中身を自分の物にしようとした。そしてさらに叱ることになった。

 

お友達の保護者にすぐに謝罪の連絡をした。翌日、お友達の家に三女と一緒に盗んだ物を持って謝りに行った。その夜、長女から、三女は他にもお友達が作ったレゴなどを破壊していたことなども聞いた。お友達の家に着くと、すぐに、「おもちゃに触るときには、触っていいですか」「貸してください」と言うように、と僕は伝えたけれど、三女だけは勝手に出して勝手に破壊したようだった。次女も三女がやっているからという理由で便乗した、と自己申告して泣いていた。次女は悪いことをしたと思っている。三女は何が悪いのか分からないようだった。

 

相手の保護者も長女と同じ年のお友達も、小さい子のやることだからと笑って許してくれたけれども、もし、僕らの知らないところで、三女がいろいろとやらかしていたらどうしようと心配になった。僕ら保護者にできることは、子供を躾けることも大事だけれども、三女が見慣れない物を持っていたら見逃さないようにすることと、お友達の家に遊びに行ったら、定期的に観察することも必要に思えた。それと、なにより、まず保護者同士できちんと問題が共有できることが大事なのだろう。