問題の共有に困る!<2>(自閉症児篇)の続きになります。
以前、通っていた保育園で仲の良いお友達とも、長女が物のトラブルがあった。長女は長女でとくに気にしていない様子には見えるけれども、親としては、その物自体の金額的な価値というより、その物自体を気に入っていた長女の笑顔とか大切にしていた振る舞いなどを思い出してしまうから、たかが物と言っても、長女の思い出の一つがなくなったような気持ちになってしまうものだ。逆に言えば、長女があまり気に入っていないオモチャなどは新品に近い状態でも欲しい人がいたらあげてしまう。僕らも、そんな感じで友人家族から「気に入らなかったオモチャ」をもらうこともあった。物のトラブルで悲しいのは、お気に入りの物がなくなったとき、あるいはお気に入りの物を持ってきてしまったときなのかもしれない。
困ったことがあった。
保育園から、長女と、そのお友達の話を
聞いた時、意外と言う気持ちはなかった。なぜなら、長女がその保育園に来たばかりの3歳の頃に、長女が履いていったスカートの柄について、その同じ友達が「それはなになにちゃんのマークだよ」と言って、長女がそのスカートを履いていることを責めているのを妻が見ていたというのもある。そのときの長女は発語がなかったため、ただ茫然として、翌日以降、お気に入りのスカートを履かなくなったということがあった。
ちなみに、このお友達に関しては、僕はADHDなんじゃないかと思って、それとなくご両親に話してみたことがあるけれど、発達障害などに対してあまり関心がないようで、そのあたりのことは伝わらなかった。このお友達の振る舞いと、うちの三女の振る舞いはとても似ている。まあ、ADHDに関してはもう少し成長するまでは子供らしい振る舞いの一種でもあるため判断は難しい。妙な賢さがあるだけかもしれない。
このヘアピン事件のとき、子供同士のあげたあげてない、とったとられた、ということよりも、僕が考えさせられたのが、長女がなくなった物に対して無関心になってしまう、ということだった。まるではじめからなかったようになってしまう。ヘアピンが返却され、長女に見せると、「これ好き」と言って喜んでいた。なくなっていたことも忘れているような感じだった。一応、お友達に返してもらったことなどを説明したけれど、よく分からないようだった。それと、大事な物なら友達にあげちゃダメだよ、と言っても「うん」とは返事をするけれど、よく分かっていないようだった。
このお友達とは引っ越しをしてからも仲良くしている。ご両親も長女の障害について理解してくださっているので、とくに物のトラブルに関しては慎重に対処してくれていて、僕らも助かるし、安心できる。
違う保育園に転園してから、長女に友達ができた。新しい友達と、前の友達の共通点は、なぜか2人とも、僕にやたらと懐いてくるということだった。長女よりも、僕に対してのアッピールが激しい、その辺が似ている。そして2人とも弁が立つ。新しい友達が家に遊びにくることになった。そして、物のトラブルが発生した。
新しいお友達のご両親にも、長女の障害については伝えていた。物のトラブルが起きること、長女が「あげる」といっても、よく分かっていないことが多いことなど、実例をあげてお話もさせてもらっていた。そうそう、新しい保育園でも以前の保育園であったことなどは話をさせてもらっている。あと、これは当たり前のことだけど、保育園に余分な物は持ってかないようにし、ヘアピンなどでも大事な物は持っていかないようにしている。
そして新しいお友達がうちに来た。はじめて人の家にお呼ばれしたそうだ。とても嬉しそうにしていたので、僕らもなんだか嬉しくなった。そういえば、前のお友達も保育園の友達の家に遊びに行くのははじめてと言っていた。2人とも保育園では活発そうなのに、親密になる友達がいないのも共通点かもしれない。
問題の共有に困る!<4>(自閉症児篇)に続きます。