いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

問題の共有に困る!<5>(自閉症児篇)<新しいお友達との物のトラブル>

問題の共有に困る!<4>(自閉症児篇)の続きになります。

 

長女が転園した先の新しいお友達も、以前、長女と仲良くなったお友達とどこか似ていた。とてもハキハキしていて、サービス精神旺盛、口がうまくて、どこかませている。ちょっと話しただけで、頭の回転がいいのがわかる。これはうちの三女にも同様の性質を感じている。大人相手にもものおじせずに、きちんと話すことができる。多少の生意気な口調も、子供特有の愛らしさで大人たちの口元を緩ませる。好奇心旺盛でリーダーシップをとる。将来有望な感じがするお友達だ。

 

そんなお友達が遊びに来てくれて、長女はとても喜んだ。しかし、我が家は彼女に荒らされていた。入っちゃいけないという部屋に入り、机の上に登って、大人からしても高い位置にある棚を漁ったようだった。子供は危ないことをするのが好きだとはいえ、これまでそこに登っていたずらをした子はいなかった。そして棚の上から、僕が長女のためにとっておいたシールを見つけたようだった。

 

困ったことがあった。

 

その新しい友達は、シールを見つけただけにとどまらず、そのシールを自分の物だと宣言していた。そのことが分かったのは、長女と喧嘩になったからだった。喧嘩の仲裁に入った僕も最初は何がなんだか分からず、お友達が持ってきたシールを長女が欲しがっているのかと思った。長女にしては珍しいが、そんな子供らしいこともあるかもしれないと思って、長女に「人の物を欲しがらない」という見当違いな叱り方をしていた。しかし、よく見てみると、そのシールは長女のシールで、しかも、隠していたシールだった。もちろん、お友達のお母さんもその場にいたが、何も言わない。せめて、自分の子供が持ってきていないシールであることを言ってくれれば、この混乱にも収拾がつくのだけれども、何も言ってくれないものだから、お友達は「自分のシールである」とずっと主張しつづけ、長女は長女で、妻の仕事部屋にあったシールなのだから、「自分のシールである」と主張することになる。大岡裁きも難しい。

 

僕は、僕のシールであることを主張した。

 

大人気ないが、それしか解決方法がなかった。また、そのシールは僕が人から貰ったものなのだから、正確に説明すると、長女が欲しがったプリキュアの映画の前売り券についている非売品のアイテムが手に入らなかったため、メルカリで非売品のアイテムを購入したところ、出品者の方が良い方で、おまけでシールまでつけてくれた、というものだった。長女の物でもあるし、メルカリでの購入者の僕の物でもあった。

 

で、このシールを、他の子供たちをふくめて配るために、ハサミで切ってそれぞれに渡した。シール事件はこれで解決したけれど、僕の中では、なぜお友達のお母さんは何も言わなかったのだろう、という疑問は残った。自分の娘のシールじゃないことくらいすぐに分かっただろうに、と。

 

その日、お友達ともさよならをして、破損したヘアピンやら、いつも以上に荒れ果てた部屋を片付けていた。うちは子供部屋が屋根裏を合わせて4部屋あって、その部屋がいくら荒れてても問題ないのだけれど、妻の仕事部屋も僕の仕事部屋も侵入されており、家の見積書なども散乱していたのはびっくりした。子供たちに聞くと、どうやら、そのお友達やったようだった。とはいえ、子供のやることでもあるし、探索したくなったのだろう、次からは鍵をつけるなり、前もって入っちゃいけない場所をもう少し強く説明したりすればいいだろうと思っていた。

 

それから数日後、お友達のお母さんから、うちにあったオモチャと三女の洋服が返却された。お母さん曰く、「カバンの中に紛れ込んでたみたい」ということだった。この説明に、多少の違和感があった。紛れ込むなんてことがあるだろうか。全く別々の場所にあったオモチャと洋服だ。もし、これが僕の娘たちだったら、せめて「持ってきちゃったみたい」とかそんな説明をして謝罪して、娘たちには、人の物を持ってきちゃったら泥棒になっちゃうよ、くらいは言って、直接、謝罪させるだろう。厳しすぎるかもしれないけれど、人の物を持ってきちゃうことがいけないことだと教えるにはそのくらいは言わなければならないと思っている。子供のやることだから、ということである程度、お互いに大目にみるだろうし、こういう謝罪や叱責などによって人との関係というのを知っていくものだと思っている。何事も経験だ。失敗した経験は無駄にはならないし、幼い時期に経験できてよかった、と思うだろう。

 

しかし、お友達のお母さんはそんなふうにはあまり考えていないらしい。「紛れ込んでいた」ということは、持ってきたわけじゃない、と思っているということなのだろう。モヤモヤとしたけれど、他人の子供の躾に口出すわけにもいかないから、まあ、自分の子が人の物を取ってきてしまうとは思いたくないのだろうなあ、と思っていた。そして、僕はその子というよりも、そのお母さんの発言によって、ちょっとその子にはうちに遊びにきて欲しくないなあ、と思うようになった。

 

問題の共有に困る!<6>(自閉症児篇)に続きます。