いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

問題の共有に困る!<2>(自閉症児篇)<友達同士での物のトラブル>

問題の共有に困る!<1>(自閉症児篇)の続きです。

 

子供はみんなそう、と言えばそうなのかもしれないし、物のトラブルは大人にだってあることだ。まあ、大人になってから「あげた」「あげてない」などのトラブルや、人の物を執拗に欲しがるというのは、何かしらの障害があるんだろうと思う。実際、僕の周囲で人の物に対しておかしいなと思う人の特徴をネットで調べてみれば、すぐにADHDやパーソナリティ障害の項目がヒットする。そんな困った友人の中の1人は社会に出てトラブルが続き、鬱になり、心療内科に行ったらADHDと診断された。いい大人になっても、人の物を執拗に欲しがり強引に持っていってしまったり、飲み会などで珍味を瞬く間に食い尽くしてしまうような、いわゆる食い尽くし系の人たちは、なんらかの障害がある。障害があるからダメというのではなく、障害に対して無自覚であるが故に、人間関係のトラブルが増えて、本人が苦しむことになる。そんな友人が、そしてそんな友人たちは僕以外に友人がいないと言っているけれども、40歳を過ぎたあたりで孤独感が強くなるようだ。

話を子供に戻そう。

 

自閉症の長女と、自他の区別がつきにくい三女に起こる物のトラブルは、幼い子供同士のことでもあるし、そもそも姉妹間でのトラブルでもあることから、家族の中で対策を練ればいいことでもある。トラブルも幼い子供たちの経験となればそれはそれでいいと思っている。しかし、それが家族でない場合は、保護者同士のトラブルにもなりそうな気もする。保護者同士のトラブルの方がある意味で深刻かもしれない。保護者同士のトラブルにならないために、どうしたらいいのか、と考えることもある。

 

困ったことがあった。

 

長女の物のトラブルに関しては以前も書いた。以前通っていた保育園で、長女のお気に入りのヘアピンがなくなっていたことがあった。その頃の長女は発語もできるようになり、友達と若干だけれどお話しもできるようになっていた。もちろん、同世代のお友達と比べれば少し言葉が通じないことも多いらしかったけれども、それまでの返事すらできないという状態ではなかった。きっと、よく知らない人から見れば、普通の子供と同じように思えたかもしれない。

 

長女が仲良くしているお友達のお母さんから、長女のヘアピンが返却された。そのお母さんには長女が自閉症で軽度知的障害であることを話してもいたし、普段から、家族ぐるみで仲良くしていたということもあって、すぐに気がついたそうだ。そのときも、お友達が見慣れないヘアピンを持っていることに気がついて問いただすと、「長女ちゃんから貰った」と言っていたために、「もしかしたら、長女ちゃんはよく分からずにうちの子にヘアピンをくれたのかもしれない」と思ったそうだった。

 

実際には、長女はヘアピンがなくなっていることを僕に聞かれて、「あげた」とも「とられた」とも言えずに泣いてしまった。僕に何を聞かれているのか分からないから泣いたような感じだった。二度目に聞くと、ヘアピンのことを忘れたようになんの反応もしなくなった。このなんの反応もしないということは、姉妹同士での物のやり取りでもたまにある。どういうことなのか、こちらも分からないため、なかなか困る。しかし、長女が状況を説明できるわけもなく、そして本人は「あげて」たのか、「とられた」のかもよく分かっていない。ただ、お気に入りのヘアピンがなくなり、そしてその後、ヘアピンのことを考えなくなるという流れになっている。

 

当時は、事情を分かってくださるお友達のお母さんが察してくれたので、ヘアピンが戻ってきた。そしてそのお母さんからは、「長女ちゃんがくれると言ったらしいけれど、」という話があったので、保育士さんに相談しようということなった。きっとそういうトラブルがすでに起こっているか、これから起こるかもしれないと思ったからだった。

 

保育士さんはあまり気がついていないようだった。その保育士さんは僕らがとても信頼する保育士さんで、自閉症や軽度知的障害の園児についてかなり詳しい方でもあった。保育士さん曰く、「こういうことは、保育士よりも同じクラスのお友達に聞いてみた方が事実確認がしやすいんですよ」ということで、波風立たない程度に聞いてくれた。

 

以前にも書いたけれど、保育士さんの聞き込みによって真相が発覚した。どうやら、長女と一番仲がいいお友達は、長女が持っている物が欲しくなることが多く、よく「これちょうだい」と言うということだった。また、その子はとても賢いので、ただ「これちょうだい」というのではなく、「これは、保育園にもってきちゃいけないんだよ。だからちょうだい」というような感じで長女の物を譲り受けるそうだ。そのことを園児たちはよく見ていたということだった。ふだんは、保育園のオモチャなどでそういうやりとりをしていたんだと思う。

 

問題の共有に困る!<3>(自閉症児篇)に続きます。