いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

冷蔵庫に困る!<下>(主夫篇)<しつけが必要なのか、それとも理解が必要なのか>

冷蔵庫に困る!<中>(主夫篇)の続きになります。

 

好奇心旺盛なのはいいことだ。それに我が道を行くスタイルもかっこいいとされている。それがその人の人生であれば、好きにしたらいいと思うし、そういう人は尊敬されることも多いと思う。しかし、よそ様の家で好奇心旺盛だとちょっと難しいことになる。探検家や冒険家に対して、秘境もそんな気持ちになるのかもしれない。もしかしたら、エベレストにしても、ゴミばかり捨てていく冒険家に、ちょっとなあ、とか思っているかもしれない。

 

僕が家に呼んでちょっと困ったなあ、と思う友人は、大人になっても、子供っぽい人、つまり、ADHDと診断されている人だった。そう、普段、外で会っている分には面白い人なんだけれども、家に呼ぶと面白さが、ちょっと迷惑だったりもする。こうして人に話すネタになることを考えると、やっぱり面白い人なのかもしれない。

 

困ったことがあった。

 

マナーやしつけを知らないだけの子供と、ADHDの子供の違いというのは、少し気をつけた方がいいような気がする。ADHDの子には、教えたり叱ったりすればなんとなくマナーやしつけを覚えていくという理屈がなりたたない場合がある。

 

我が家にお招きして、なかなかなことをやりおるわい、という子がいる。そのうち、すでにADHDの診断がある子もいた。保護者は療育に通わせている。そのせいか、その子がなかなかなことをやっても、僕にしても、妻にしても、そしてその保護者にしても対応はしやすい。遊びに来てもらうときには、普通の片付けよりもより高く、より奥に、大切なものはしまうし、これが大事なんだけれども、やっちゃだめなことをしていたら、何度でもやっちゃだめと言うという約束が保護者同士でできている。

 

ちなみに、甥もADHDと診断されていたというのもあって、甥が冒険家になってしまうことは、弟夫婦も知っているものだから、僕がちょっと叱ってもニコニコしている。

 

しかし、保護者が自分の子供がADHDだと気がついていない場合は、扱いが難しい。僕のいままでの経験だと、ADHDの子は、大人になると子供っぽいけれど、子供の頃は大人っぽいというか、頭の回転が速い子が多い気がする。そのため、巧妙にいたずらをするし、他の子供を巻き込めるように悪いことをしている。なかなかなものだ。

 

それゆえに、保護者に認識があるかどうか分かれ道になる。自分の子がADHDだと分かっている保護者は、なにややらかしたときに、それがどこまで自分の子がやったことなのかという判断ができるようになっていることが多い。子供の誤魔化しに対しても状況を見ながら判断している。冷蔵庫を開けた子供が叱られたときに「喉が渇いたから」と言っても、分っている親は「喉が渇いたことと冷蔵庫を開けたことは違う」ということを指摘する。水筒があるじゃないか、というわけだ。それと、物を壊したときや、自分のカバンに入れてしまったときの対応もちゃんとしている。帰る前に鞄をチャックし、子供が「もらった」と言っったとしても一度確認してくれる。何かが壊れたとしても弁償する必要なんてあまりなくて、壊しちゃったことを教えてくれたらそれでいい。「次から気をつけようね」となるだけだ。

 

しかし、子供がADHDだと気がついていない保護者の場合は、子供の言い訳をそのまま信じてしまう。それに、他の保護者が叱っても、嫌な顔をしたりしてしまう。子供はそういうものだという信念があるのか、他の子が冷蔵庫のドアを開けていなくても、冷蔵庫のドアを開けることは子供らしい行動としてしまうし、人の物をとっても「紛れ込んだ」くらいにしか思わない。自他の区別がつかないというのは子供に多いけれども、行き過ぎると、それは何かになってしまう。

 

発達障害が悪いわけじゃない。ただ、それを最も近くにいる人が認識しておくことが大事だと思う。そうすれば、余分なトラブルは避けることができる。

 

うちの長女は自閉症だ。そのため、すこし変なことをしてしまう。あれ?と思われることもある。長女のせいじゃないし、脳の問題でもあるのだから、マナーとかしつけの問題ではない。子供の症状がわかっていれば対処できることはたくさんあると思う。

 

ADHDの子供たちをみながら、三姉妹に聞いてみた。

 

「人の家の冷蔵庫は開けちゃダメだよ」

 

「あけない」「あけてないよ」「パパはビールとってた」

 

「いや、パパは冷蔵庫開けて、取ってくださいって言われたから冷蔵庫を開けたんだよ」

 

なかなか難しい。僕がビールを飲むペースがはやいものだから、よそさまも呆れて、勝手にビールくらいとってくれ、って気持ちになってしまうのかもしれない。僕は僕で問題がある。