いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

冷蔵庫に困る!<中>(主夫篇)<大人のADHDは本人もつらい>

冷蔵庫に困る!<上>(主夫篇)の続きになります。

 

人の家にお呼ばれしたり、人をお呼ばれすることがある。そんなとき、大人ならやらないようなことを子供がしてしまうということがある。そんなとき、自分の家の子供になら注意をしたり、叱ったりできるけれども、弟家族ですら少し気をつかってしまう。また、うちの子たちがよそ様の家にお呼ばれしたときに、変なことをしていないとも限らない。お呼ばれしたときには、一応、子供たちには「冷蔵庫は開けません。物を勝手にとってはいけません。しまっているドアは開けません」と言い聞かしてはいるけれども、ちゃんとやっているのかは、分からない。

 

困ったことがあった。

 

そういえば、今の家に引っ越す前に、50歳の友人が遊びにきた。外はあいにくの雨で、友人を家までの道を案内する間に、友人の傘が僕の頭に何度も刺さっていた。避けても避けても追いかけてくるホーミングタイプの傘だった。

 

そんな友人を家に案内した。玄関ドアを開けて、妻に、友人が来た旨を知らせた。玄関ドアの近くに傘立てがあったから、ここにホーミングタイプの傘を立ててもらおうとしたら、友人は傘を立てながら、傘立てを倒してしまった。友人を玄関に招きいれていたこともあって、僕が傘立てを直していた。その間、子供たちが騒いでいたので、妻が子供の世話をして、「いらっしゃい」とか言っていた。傘立てを直して玄関を見ると廊下がびしょ濡れだ。友人が着ていたコートもない。まさかと思って、リビングを見ると、びしょ濡れのコートに、スニーカーだったものだから、ぐっしょりと濡れた靴下のまま、友人は嬉しそうに立っていた。

 

「ちょっと! 濡れたまま入ってこないでください」

 

と妻が怒っていた。嬉しそうに立っていた友人の顔が曇り、玄関に戻ってきたので、コートを預かり、靴下を脱いでもらって、僕の靴下をあげた。そのあと、食事をして友人が帰っていった。

 

「50歳の友人相手に、親の顔が見てみたいって思っちゃった」

 

なかなか難しいものだ。彼にはあまり友人がいない。人の家にお呼ばれされることもあまりないらしい。僕は一人暮らしの頃から彼を家に呼んだりしていたけれど、冷蔵庫を開けたりはしないが、たしかに、普通の人よりも気遣いができないタイプでもあった。もしかしたら、これは人の家にお呼ばれされた経験によるものなのかもしれないとも思った。とはいえ、50歳にもなってびしょびしょのコートのままで部屋に上がることは、お店だとしてもありえないとは思う。そういえば、彼ははじめてのお店にも一人で行けないタイプだった。至れり尽くせりの旅館やホテルは一人でも行けるらしい。

 

こうなってくると、お呼ばれ先での振る舞いというのはとても難しいようにも思える。子供だから大人だからというものでもない。僕のように出がいやしく、世間知らずからやってしまったというのは、単にマナーを知らない、しつけがなっていない、ということになるのかもしれないけれど、50歳すぎてもちょっとおかしいとなると、これはマナーやしつけの問題とはちょっと違ってくるような気がした。

 

大人になっても人の家で変なことをしてしまう人には共通点があった。そう、彼らは大人になってからADHDと診断されているという共通点だ。社会的な統計ではなく、あくまで僕の友人の中という狭い中での統計になる。3人ほど変な振る舞いをする中で、その3人がたまたまADHDなだけかもしれない。そのうち2人は冷蔵庫を開けたくて仕方ないらしいし、ドアも閉まっているところを開けたくなる。理由を聞くと、隠されている感じがして落ち着かないというものだった。びしょ濡れの友人は冷蔵庫を開けない。

 彼らの行動を良い方で捉えれば、好奇心旺盛だったり、自分の道を行くタイプだったりする。ただ、それは、人の家ではやっちゃダメというだけだ。彼らの資質は、お呼ばれと相性が悪いということなのかもしれない。冒険家になっていればきっと楽しいルポや美しい写真を撮ってきてくれたかもしれないが、人の家の中で冒険はしちゃだめというだけだ。

 

友人たちのような大人のADHDは、いい歳しても冒険家みたいな振る舞いが多いことから、ある年齢になると子供っぽい人と思われやすい。冒険家の本を読んでいると、子供っぽいみたいな話が出るのだから、なんかそういう共通点があるのかもしれない。

 20代には少年の心を忘れない人みたいに好意的に思ってくれた人たちも、腹が出て加齢臭のする少年にはあまり優しくはしてくれない。そのため、彼らはうつ病などになってしまって病院に行き、ADHDと診断されたという流れがある。大人で子供っぽい人がADHDだと思われてしまうのであれば、子供の場合はどうなのだろう。そもそも子供なのだから、子供っぽい子供は、それは子供でしかないのだから、子供なら問題ないとなるのだろうか。

 

冷蔵庫に困る!<下>(主夫篇)に続きます。