いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

迷子に困る!<二>(自閉症児篇)<慎重な性格だとしても、ときに大胆になる>

迷子に困る!<一>(自閉症児篇)の続きになります。

 

色々とできるようになってきた長女を見ていると、長女が障害児であるということを親ですら忘れてしまうことがある。5歳になって発語も増えて、自分も気持ちも伝えられるようになってきた長女に、僕らも少し安心してしまったのかもしれない。

 

困ったことがあった。

 

ときに慎重すぎる長女。信号が青でも車をきちんと見て、停車した車に「ありがとう」と挨拶しながら、手を挙げて横断歩道を渡る長女。自閉症などでよく聞く、ふいにいなくなってしまって迷子になるというようなことも一度もなかった長女。そんなことから僕らは、安全が確保されている場所では、長女から目を離すようになっていたのかもしれない。

 

僕は僕で心配性なところがあって、長女から目を離すことは滅多にない。自宅でも、次女三女の世話をしているときに、長女が僕の目の前から姿を消そうとしたときには、「どこいくの?」と聞いている。ちょっとやりすぎかもしれないと思うこともあるけれど、何かあったときに、長女がどこでなにをしているのか分かるようにしていたいというのもある。新しく建てた家では、玄関が開くと音が鳴るようにしている。これは長女が勝手に出ていったときに分かるようにしている。自閉症児対策は少しはしているつもりだった。

 

長女と次女三女が同じ部屋で寝ていて、僕ら夫婦と別の部屋と言うと、日本ではちょっと目を離し過ぎのように思われるかもしれない。これも壁一枚を隔ててはいえるけれど、何かあれば、長女は壁を叩くというルールがある。また木造なので、隣の部屋の物音はよく聞こえる。長女は何もなくても壁を叩いたり蹴ったりするので、その度に、深夜であっても子どもの部屋の様子を見に行っている。カメラをつけようか悩んだけれど、子供3人となるとなかなか把握できないような気がしたのでカメラはつけていない。

 

そんな感じで長女に何かあったら万全とは言えないまでも、できる範囲で対応できるようにしていた。

 

長女と次女三女の保育園は別々だ。しかし、次女三女の通う保育園は土曜保育の時間が短いということもあって、長女と同じ保育園に土曜日のみ通うことになっている。土曜日のみ同一園になるため、本来別園に通う次女三女の荷物は多い。別の保育園に行くのだからそうなってしまう。土曜保育は同じ保育園に通えることの便利さを感じながらも、そもそも別の保育園に通っていることからくる荷物の多さという不便さも感じる。ずっと同じ保育園であれば、荷物も半分くらいになるだろう。楽だけど大変、これが僕らの土曜保育だ。

 

その日は、僕の仕事が遅くなる日だった。帰宅予定は夜10時以降。自宅で仕事の準備をして、17時からの打ち合わせのために15時過ぎには家を出ていた。17時過ぎに、妻が保育園のお迎えに行った。相変わらずの次女三女の荷物の多さに降園の準備が手間取っていたらしい。とはいえ、これは毎回のことだ。いつも、ずっと同じ保育園なら荷物も減るのに、と軽い愚痴で済む話だった。

 

しかし今回は、ちょっとやばいことになってしまった。もはや愚痴どころではない。

 

妻が次女三女の荷物をまとめて、次女三女の準備も終えて、さっきまで保育園内にいたはずの長女の姿が見えなくなっていた、という。長女には慣れた保育園。帰りの準備も1人で出来るようになっている。これはこれで頼もしいけれど、次女三女はたまにしか来ない保育園でもあるので、準備に少し時間がかかる。あれはどここれはどこ、と月曜日に別の保育園に行く次女三女は忘れ物することもできない。一応、上履きは洗い替え用も含めて二足あるから忘れても平気だけれど、水筒の替えはない。水筒は水筒でストロー付きの水筒と、直飲みタイプの水筒を三姉妹は持っているが、次女三女の保育園はストロー付きの水筒が禁止されている。

 

 余談だけれども、もともと持っていたストロー付きの水筒が使用禁止ということで新しく直飲みタイプの水筒を買った。水筒も3000円くらいする。次女三女は2人だから6000円だ。で、次女三女だけ新しい水筒を買うということを長女が許すはずもない。長女にも新しい水筒を買わないと毎朝長女がぐずるのは目に見えている。そのため、直飲みタイプの水筒への仕様変更のため、9000円かかる。こんなことばかりだ。障害児と双子の組み合わせは、こういう出費も増える。せめて同じ保育園だったら、統一できるのにとも思う。

 

 育児はささいなことの積み重ねが大きな負担となる。一つ一つは大したことないが、それらが重なることで、育児が困難になることもある。市役所などは、一つ一つの問題しか見ない。「想定するのが市役所の仕事です」と言って、こちらの要望を、なんだかよく分からない想定で拒絶する割には、我が家のように、障害児と双子という想像力が少なめな人であっても簡単に育児の困難さが想定できるようなことに関しては、想定していないらしい。市役所が想定するのは、障害児への配慮をすると障害児ではない人から不公平だと批判されることとか、双子への配慮をすると年子の家庭から不公平だと批判されるということらしい。障害児にしても双子にしても、市役所の他の課では支援をしているのだから、これもなんだか論理的な想定ではないと思うし、僕らが移り住んだ市というのは、障害児や多胎児への配慮を不公平だと訴える市民が多いと想定されているということにもなる。これはいわゆる民度が低い市民が多いと市役所が思っているということなのだろう。もちろん、絶対的な平等を考える人を否定するつもりはないけれど、市役所の方針として、障害児や多胎児に対する支援をやっているのに、それに反対する市民が多いと危惧するのであれば、アンケートや統計などの具体的な根拠を示してほしいとは思う。根拠を示さずに一方的に拒絶するのは、市役所としてやっていいことではない。

 

また話が脱線してしまった。

 

迷子に困る!<三>(自閉症児篇)に続きます。