いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

パンクに困る!<上>(主夫篇)<園児3人の別園はやっぱりきつい>

「別園の送迎はギリギリだ」

 

困ったことがあった。

 

うちには園児が3人いる。年長さん1人と年少さん2人の編成。そして年長さんと年少さんは別の保育園となっている。年長さんである長女は幸いにも歩いて行ける保育園に入ることができた。できれば年少さんの双子もこの保育園に入れればよかったのだけれども、倍率も高かったらしく、移転先の市では多胎児加点や障害児の兄弟に対する配慮もないため別の保育園になってしまった。この保育園に年少さんで入ることができたのは、提携保育園や年少未満のときにこの保育園に通っていた人たちくらいらしい。提携保育園に通っていれば調整加点が2点もつくのは大きい。就労のために保育園を利用していたから継続して保育園を利用したいというのは、他市から移り住んだ人も同じではあるけれど、前から住んでいた人が優遇されるという空気に逆らうこともできない。嫌なら来るなというメッセージが暗に隠されているとは、市役所の人も気が付かないと思う。東京や名古屋のように多胎児や他のことに対して加点が多い地域と違って、この市の場合はそもそもの加点が少ない。そのため提携保育園などの加点2点というのは事実上、決定的な加点となる。

 

加点のことは仕方ない。その加点をエクセルか何か知らないけれど、表計算機械的に見れば、多胎児や障害児がいようが、園児が3人以上いようが、そもそもの加点にないのだから、別園や待機児童になってしまう。こういうときにAIの方が公平な判断をしてくれるんじゃないかとかふと思うこともある。

 

とまあ、課題の多い保育園の加点問題だけれども、これはこれで市役所の人たちとはたくさん話した。今後はといっても、僕らにはあまり関係ないことになるけど、来年度再来年度は、国や周囲の自治体の子育て支援の方針を鑑みて、加点制度を見直していくという解答をもらっただけで、もうやるべきことはやったという気持ちになった。障害児や兄弟児、多胎児や三子以上の家庭に少しでも配慮がされる市になってくれれば、それでいいと思う。

 

そして僕らはといえば、最初に挙げたように、別園になっている。地図で見れば別園になった保育園はそんなに遠いわけじゃない。直線距離だけ見れば、徒歩30分もかからないようにも思える。ただ、その地図が山とか登るときに使うような地図じゃないような、つまり、標高などの高低差が書かれていない地図で見ればということで、実際に別園になった保育園まで行ってみると、道のりは園児にとっては過酷なものだった。

 

うちから保育園まで、小さな山を三つ登ることなる。なんでこんな地形なのかはブラタモリなんかで紹介されれば面白いのかもしれないけれど、愛知県というか名古屋においてタモリというのは不倶戴天の敵らしく、タモリが名古屋に現れることはないらしい。「蕎麦ときしめん」という本に、名古屋をディスるタモリ扱いされるということが面白おかしく書いてあった。この本は他所から名古屋に来た人にとってはあるあるの宝庫だ。名古屋の人は「そんなことない!」と言うことまで含めて書いてあるから面白い。そんな反応もあるあるだからついニヤニヤしてしまう。

 

ブラタモリで面白がられそうな地形は、住んでみると面白くないというか、結構、つらいと思うこともある。この山を登って降りて、そしてまた登って、降りて、もう一回登ったところに次女三女の保育園がある。僕はこの道のりを電動アシスト自転車に2人の子供を前と後ろに乗せて通っている。電動アシスト自転車ですら、力を入れないと登れないときもある。双子も成長してちょっと重くなってきた。子供の成長を喜ぶとともに、自身の老化を嘆いて、最近では筋トレをしようかと思っている。

 

双子の保育園への送迎は、そんな感じでギリギリだ。雨の日はキツイし、布団などの荷物が多いときや、風の強いときもなかなかしんどい。それに妻は自転車で双子の送迎ができない。遠回りすれば、山は一つになるけれど、その最後の山がもっとも勾配がきつい。自転車を降りて押せばいいのかもしれないが、ただでさえ重たい電動の子乗せ自転車に子供を2人乗せて、急な坂道を押すのは全身運動だ。昔のオロナミンCのCMを思い出すくらいだ。それに遠回りの道は、遠いだけじゃなく、歩道や車道が狭いため子供を乗せた自転車で通うのは、それはそれでテクニックがいる。自転車の運転が苦手な妻にはちょっと難しいだろう。そういえば、長女がまだ2歳のときでも妻は平坦な道を曲がろうとして長女を乗せたままコケてしまったことがある。

 

そんなことから、双子の送迎は僕しかやれない。きっと、市の人もそんな状況だとは思ってもないだろう。子供1人と子供2人の違い、自転車と自動車の違い、直線距離と高低差のある距離の違い、そんなことがきっと分からないのだと思う。市役所の人とは、その辺のことをいろいろと話したら、やっと理解してくれたようだったけれど、当初の決定が覆されるわけもなく、ただ申し訳なさそうにされるだけだった。

 

こうして僕らのギリギリの別園がはじまった。

 

パンクに困る!<中>(主夫篇)に続きます。