「ポイントが気になりすぎる」
困ったことがあった。
ポイントカードというものが出回ったのはいつからだろうか? 最初にポイントカードを作ったのは家電量販店やドラッグストアだったと思うけれど、買い物をしてポイントカードを提示すれば、ポイントというものがついて、次に何か買うときにポイントを使用して値引きされるシステムに、なんてお得なんだろうと驚いたものだ。
お店がポイントカードみたいなものをやることに対して、とくに違和感もなかった。ただ喜んでいた。何回か通うとコーヒーがもらえたり、500円引きになったりするようなカードもあった。
そんなポイントカード生活をしていたら、財布がポイントカードでパンパンになっていった。レシートではち切れんばかりになっている財布はその人のだらしなさを示すとか言われるけれど、ポイントカードでパンパンな財布も同じなのだろうか。得したいという気持ちが表れ過ぎているのだろうか?
そんな得したい気持ちがみなぎった財布が嫌になって、あるときポイントカードを減らすことにした。家電量販店やドラッグストアもポイントカードを1枚だけにして、大型書店も一つにした。ポイントカードを持っていないチェーン店には行かなくなった。それはそれで僕としては不便になるけれど、お店としては当初の囲い込みに成功したわけだから、個人のポイントカードがこんな感じになることを予期して、うまいこと選択の自由を管理しているのかもしれない。
数を減らしたポイントカードを使っていると、ポイントカード欲も減ってきて、だんだんとポイントカードを使わない店で買い物することに損したとか思わなくなり、新しくカードを作るか聞かれても、作らないと言うようになってきた。ポイント好きからしたらポイントをドブに捨てているようなものだ、と叱られるかもしれない。
ポイントとの関係はどうにかバランスがとれてきたような気がした。自分の行動に対してポイントを気にしなくなった。僕は好きなところで買い物をするんだ!って気持ちになっていた。財布のポイントカードも減り、必要最低限のカード類だけになっていくのは気持ちよかった。紙幣もあまり入っていないペラペラな財布がなんだかかっこいいような気もしていた。このままいけば、マネークリップとか使い始めちゃうんじゃないかと、小学生のときに財布に憧れたように、マネークリップに憧れはじめた。
ポイントカードは減った。しかし、ポイントは終わらなかった。
クレジットカードにもポイントがつく。クレジットカードばかり使うようになると、財布は薄いままで、ポイントが稼げるようになってしまった。もうカードしか使いたくないみたいな気持ちになる。またはじまってしまった、僕の貪欲なポイント生活が。
クレジットカードのポイントといってもそんなにたまるわけじゃない。1年間で貯めれば確かに、欲しい靴の一つも買えるくらいにはなる。それはそれで大きいかもしれないけれど、なんでもかんでも同じクレジットカードで支払っていると、他にもっとポイントがお得なクレジットカードがないかなとかネットで調べたりしてしまう。別に悪いことじゃないけど、クレジットカードはポイントカードとは違うからあまりにたくさんのクレジットカードを作ってしまうのも問題だ。
そういえば、僕のポイントカード熱が再燃したのは、クレジットカードよりも、アメリカ生活で欠くことができないと言われる、メンバーズカードを使うようになってからだ。
アメリカの店では、メンバーズカードがあるかどうかで、ポイントというよりも、その場での会計での支払い金額が大きく変わることがある。値段の横に、with cardと書いてある場合はメンバーズカードを持っている場合の値段だったりする。またメンバーズカードを持っていると、日本人からすれば異常な割引に思えるようなクーポンがもらえたりする。
僕はアメリカ生活でメンバーズカードを作りまくった。スーパーマーケットはもちろん、ドラッグストアや、ボストンに本拠地があるということでニューバランスなんかでもメンバーズカードを作った。ちなみに、メンバーズカードはソーシャルセキュリティーナンバーがないと作れない店もあるから要注意だ。僕らはソーシャルセキュリティーナンバーがあったので、基本、どこの店でも作ることができた。そして、メンバーズカードによる割引やらクーポンで節約したり、余分に買ったりしていた。
ポイントに困る!<下>(主夫篇)に続きます。