ポイントに困る!<上>(主夫篇)の続きです。
ポイントを集めることを、ポイ活とか言うらしいけれど、僕の場合は、普段は隠している部分が暴露されていくような気持ちになる。それでもなかなかやめられない、どうしても気になってしまう。
困ったことがあった。
2年間のアメリカ生活で染み付いてしまったメンバーズカード文化は、日本に帰るとそのままポイントカード文化へと変わった。ポイントとは淡白な関係を結んでいたはずなのに、僕はまたポイントを手にいれるためにガツガツやるようになった。
帰国したときには、何かと入り用だ。たくさん買わないといけない。楽天やらAmazon、それに家電量販店などで、どこが安いか、どこのポイントがお得かとかずっと考えていた。ポイントアップキャンペーンなんかもあるけれど、引越のときなどはキャンペーンを待ってられないこともある。それはそれで諦めるしかない。
僕は楽天やAmazonのポイントをたくさん手に入れた。そして、そのポイントは必要なのか必要じゃないのか分からないものを買うためになくなっていった。
ポイントカードはもう一段階変化していた。嵩張るカードをやめてアプリになっていた。お店にいくと、以前であればポイントカードを作るかどうか聞かれたものだけれども、今ではアプリをダウンロードしてくださいみたいなことを言われる。
長女が生まれたときに、近所にスギ薬局があったので、ミルクやオムツをたくさん買っていた。そのときにポイントカードを作っていたけれども、ポイントはいつまで経ってもたまらない。店員さんの後ろの棚に並んでいるドライヤーやら美顔器やらと交換するには10年以上かかるんじゃないか、とか思っていた。
そんなスギ薬局もアプリになっていて、お店にいるとちびまる子ちゃんたちにアプリだとかお得だとか煽られる。店員さんにもアプリを勧められたので、スギ薬局のアプリをダウンロードした。
こうなってくると、もう僕はポイントや割引の奴隷だ。スギ薬局には第二第四火曜日しか行けなくなってしまった。スギ友の日だからだ。この日は、8%オフとか15%オフとかやっているし、ポイントが貯まるクーポンなんかもある。ちなみに、ポイントはやっぱりあんまりたまらない。アプリをダウンロードしてから、まだ3000ポイントくらいしかない。割引クーポンは買い物のたびに300円から500円安くなっているのだから、月に2回スギ薬局に行く僕は、年間5000円以上は割り引かれている。ポイントやアプリはないよりもあった方がいい。しかし、月に2回しかスギ薬局に行けなくなってしまったことを考えれば、僕の選択肢を年間5000円で譲ってしまったような気もする。別にいいけど。
スギ薬局一つでこれだ。他にもいくつかポイントやアプリがある場所があるのだから、買い物ひとつとっても身動きが難しい。
そして、今度はまた例の大量にポイントをゲットすることになる引越だ。新居ということもあって、今回はたくさん買うことになる。ポイントがいいのか割引がいいのか、そのときどきで変わるけれど、何もない状態で買うわけには行かない。今回は少し日程に余裕もあった。ポイントが増える日を狙って買い物をすることにした。
楽天とAmazonを中心に買い物をした。ポイントアップキャンペーンだ。
ポイントばかり見ていると、楽天が良さそうに見える。ポイントアップキャンペーンのアップ率が買えば買うほど上がるというものだ。しかし、これには罠があった。上限があるらしい。現に、たくさん買ったにも関わらず、そもそものポイントとは別につくはずのポイントアップキャンペーンのポイントは7000ポイントと妙にキリが良かった。Amazonだとそういう上限はない。
とかなんとか、もやもやとポイントの奴隷になって、いくつも買ってしまった。そしてポイントはバカにならない額になった。
僕はポイントを集めることに熱中して、ポイントアップキャンペーン中は毎晩パソコンに向かっていた。そして手に入れたポイント。僕の労苦の結晶のような、主夫の欲深さが表れたポイントを妻に見せた。
ポイントで妻の服を買った。なんだろう、ポイントでプレゼントするというのは、ケチのように思われるかもしれないけれど、なんだか手編みのセーターを作ったような、野に咲く花を集めて花束を作ったような、そんな気持ちになった。集めたポイントで誰かにプレゼントするというのは、ポイントの正しい使い方なのかもしれない。