いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

双子の靴に困る!(主夫篇)<おさがりは一点もの>

「靴はいい物を履かせたいだけど、安くすませたい」

 

困ったことがあった。

 

次女と三女は双子だ。女の子2人で胎児のときには胎盤を共有するMDと言われる双子だった。双子というと、一卵性か二卵性か聞かれることがあるが、一卵性か二卵性かはあまり厳密には分からない。胎盤を共有し、羊膜も一緒だと一卵性の可能性が高く、胎盤だけ一緒でも一卵性の可能性がある。胎盤と羊膜が別だとしてもそれだから二卵性というわけでもないらしい、このあたりはよく分からない。なので、一卵性か二卵性かと聞かれても、よく分からないけれども、胎盤が一緒で性別も同じなので一卵性なのかな、と思っていると答えている。

 

双子なのに似てない。やっぱり双子は似てる。どっちも言われる。親としては似ているときもあるし違って見えることもある。見た目は似ているけれども、性格も好みも違っている。たまに同じ物が好きだったりもする。

 

次女はのんびりと話す。自分の名前も間伸びしたように言っている。いつも上機嫌だけれども、どこか頑固なところがある。三女は早口だ。「ティクツクトゥクツク」などとよく分からない音を早口で言っていることがある。主張も激しいし、感情の起伏も大きいけれども、とても優しいところがあって、泣いている子供がいると頭をなでなでしに行く。人の世話をするのが好きみたいだ。

 

双子と言ってもこんな感じで違っている。

 

2歳くらいから、それぞれにお気に入りのオモチャやアニメのキャラクターが出てきた。最初は、オモチャの取り合いにならないために、それぞれに譲り合って好きなキャラを分けているのかもとか思っていた。

 

次女はおさるのジョージが好きで、ペッパピッグやセサミのエルモも好き、アンパンマンも好きで、最近は長女の影響でプリキュアに興味がある。

 

三女はキティちゃんが好きで、ドキンちゃん、コキンちゃんが好き。あとはペネロペが大好きだ。

 

三女はなかなか着替えてくれなかった。そんな三女のためにキティちゃんのTシャツやトレーナーを買っていた。次女はそこまでキティちゃんが好きというわけでもなかったけれども、お揃いのキティちゃんは気に入っていたみたいだった。

 

服は基本的に同じものにしていた。同じにしないと喧嘩になることもあるからだった。

 

2歳を超えてくると、それぞれに好きなものが出てくるようで、保育園に行くときも、帰ってくるときも違う服を着ていることが増えてきた。特に次女は自分の着ている服を僕に見せてきて、これが自分のお気に入りだと示してくることが増えた。

 

そろそろ自分たちの好みが出てきたのか、それとも双子同士で個性を出そうとしているのか、別々の物を欲しがる傾向が強くなってきた。あと、2人とも長女のことが好きなので、長女のお下がりは、違う柄やデザインでも着てくれる。

 

問題は靴だった。

 

長女のお下がりの靴はある。ただ、同じ物が二足あるわけじゃない。お気に入りとそうでない靴の差が激しかった長女は、靴屋さんで買ったのに2回も履いてくれなかった新品に近い靴もあれば、毎日のように履きすぎてボロボロの靴もある。しかし、なんで高い靴ほどほとんど履かないままになってしまうのだろう。長女が履かなかった靴は、帰国したばかりの頃、靴屋さんに行って長女が気にいって店内では手放してくれなかった靴だ。5500円した。それなのに2回しか履いてくれなかった。

 

そんな感じで、長女の靴には状態のいい靴からボロボロの靴。5500円の靴から1000円以下で買った靴もある。

 

次女三女に長女のお下がりを渡していた。サイズによっては長女のお下がりともう一足買い足さなければならないものもあった。

 

こんな感じで順調にお下がりを履いていた。僕は長女のお下がりの順番を並べて、次はこうしようとか計画を立てていたけれども、計画というのは思わぬところで破綻する。

 

双子だけれども、靴のサイズが少し違うようだ。

 

次女と三女は同じ学年の子供たちと比べてもひと回りくらい小さい。保育園でみると、ちっこいの2人という感じ。だけど、僅かに次女の方が大きい。服であれば多少小さいものであってもそんなに問題はないが、靴で小さいと痛くなる。

 

「痛い」

 

次女が靴を履こうとすると痛がるようになった。本人の履き方が悪いのかと思って、僕が履かせてみると、痛くない、ということだったけれど、また痛いというようになった。つま先を触ってみるとちょうどいいサイズに思えるけれど、幅がきついのかもしれない。同じサイズの三女の爪先にはまだゆとりがあった。

 

お下がりのスケジュールが崩れてしまうけれども、次女だけ靴を交換した。

 

次女は「痛くない」と喜んで履いていた。すると、三女が次女だけ新しいといってもお下がりだけれども、見たことのない靴を履き出したのが気に入らなかったらしく、自分の靴を履かなくなってしまった。

 

次女の履いている靴は少し大きいくらいのサイズで、たまに脱げてしまうことがあるくらいだった。まだまだ履けるし、長女のお下がりの中でも状態が良くて、そこそこのお値段のものだったから、親としてはどうにか履いて欲しい。けれど、三女は履かない。次女はこれ見よがしに、新しいお下がりを三女に見せている。このお下がりは、長女だけでなく、アメリカにいたときの友人の娘さんのお下がりでもあるから、お下がりのお下がり、新品でもないし、それなりに使い込んだ感じのある靴。けれども、次女は嬉しいし、三女は悔しい。

 

お下がりコントロールを諦めた。

 

まだまだ履けるお下がりはある。しかし、次女と三女は同じタイミングで新しい(新品じゃなくても)靴をおろさないとどちらかが拗ねてしまうのは学習済みだ。2人を靴屋さんに連れていって新品を買うのもいいかもしれないけれども、長女のときのようにその場では気にいっても、のちに履かないということもある。それに、長女のときにはお下がりにすればいいと思ったけれども、さすがに双子のあとにお下がりの四女五女あるいは長男次男が欲しいとも思えないことからも、できるだけ、ケチりたい、いや倹約したい。倹約したいけれど、安い靴より少し高い靴の方がいいんじゃないかとか思った。

 

僕は子供の頃、ずっと安い靴を履かされていた。戦隊モノのプリントがある靴で、昭和な感じの靴。あんな靴を履いている子供ばかりだった。あのとき綺麗な靴を履いている子に憧れた。

 

安く済ませたいけれども安い靴はいやだ。すぐにサイズアウトして履けなくなるかもしれないから高い靴もいやだ。

 

そんな感じでメルカリを利用する。

 

どうにか定価の半額以下で、二足確保した。試着のみ新品みたいなものだ。しかし問題があった。三女にはキティちゃんがあった。次女は難しい。アンパンマンが好きとはいえ、いま気に入って履いているのはピンクのスニーカーだ。そうなるとピンクがいいのかも、と思うと、ピンクのアンパンマンドキンちゃんになってしまう。ドキンちゃんといえば三女だ。

 

二つの靴を見せて選んでもらった。次女はドキンちゃんの靴をすぐに選んだ「アンパンマン」と言っていた。よくみると、アンパンマンが散りばめられていた。三女はキティちゃんを選んだ。平和だった。

 

しかし、翌日から次女はキティちゃんが羨ましくなった。数日ほど靴を履くときに揉めていた。あるとき、三女が「どうぞ」と言って、次女にキティちゃんの靴を譲っていた。三女は「ドキンちゃん」と言って喜んでいた。好きな物が多い三女の懐の深さなのか分からないけど、こうやって2人は成長していくのかもしれない。