いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

スズメバチに困る!(再東京篇)<妻は虫を殺せと言う>

「戻ってきた地元は虫が多い」(長女2歳8ヶ月、双子7ヶ月)

 

困ったことがあった。

 

18歳まで育った地元に戻ってくると、こんなにも自然が多かったのかと改めて驚くことがあった。自称、田舎育ちの妻でも、僕の地元の虫の量に少しビビっている。

 

「東京育ちって言ってたけど、ここって東京になるの?」

 

東京だ。東京は23区だけじゃない。山とか川とか森とかがある東京もある。

 

「自分たちの水源を確保するというのが、国づくりの基本にあってさ、東京の場合はそれが多摩地区とか奥多摩になるわけなんだよね」

 

話がでかい方向に行ってしまった。そして僕は中国の話とかを話して、いつの間にか、塩鉄論とか話しはじめる。妻の興味なさそうな顔に気がついたのは、三国志には誰もが興味があるだろうと思って、諸葛孔明の塩鉄に対する管理について熱心に話をしていたときだった。妻は三国志に興味がないことを思い出した。

 

言いたいことはたくさんあったけど、ここはグッと我慢した。

 

「まあ、この辺は虫が多いんだよね。忘れてた」

 

虫については、このブログでも何度も書いている。馴染みのある虫ばかりだし、今回も馴染みのある虫だ。スズメバチ

 

妻が子供を連れて玄関から出ようとするとスズメバチがいたそうだ。僕もベランダで洗濯物を干しているとスズメバチがいた。

 

スズメバチに出会ったら刺激してはならないと言われる。止まって相手がいなくなるのを待つか、ゆっくり動いて逃げる。早く動くのは相手を挑発してしまう、というのは聞いたことがある。また、黒髪も襲われる。黒髪が襲われるのは、スズメバチは熊を攻撃するからで、熊と間違えるからとか子供のときに聞いたことがある。つまり、白熊はスズメバチには襲われない。パンダはどうだろう?

 

スズメバチに出会ったら、そんなことを考えてみる。するといつの間にかいなくなっている。しかし、この場合のスズメバチは、一匹か二匹でいるスズメバチだ。彼らは先遣隊というか斥候というか、周囲の様子を見るために派遣されているらしい。彼らがスズメバチの巣に適したところを見つけると、そこに巣が作られる。

 

人間が動いていたり、物が入れ替わったりしていれば、スズメバチは巣を作ることは少ないだろう。そんなことから、洗濯をしていたり、玄関から出入りして遭遇したことは、巣を作る環境じゃないと教えているかもしれないので、しばらくは様子見に来るけれども、そのうち来なくなる。だから無理に駆除することもない。

 

そんなことを妻に話した。

 

「子供が刺されるかもしれない」

 

妻からそう言われた。確かにその可能性はある。僕はできることなら生きているものは殺したくないと思っている。死んでいるものであれば食べることもある。ただ、自分の手で殺したくないというだけで、肉食はするし、革製品も使う。1人のときは蚊すらあまり殺さない。子供ができてからは、子供を守るためということで、蚊もダニもハエも南京虫もとにかくたくさん殺している。必要以上に殺しているような気もしている。

 

生きているものを殺したくないという気持ちと裏腹に、害虫駆除の仕事がしたいと思ったこともある。僕はだいたい矛盾している。

 

ワイドショーなどで害虫駆除の特集をやっているとついつい見入ってしまう。害虫駆除の花形はなんと言ってもスズメバチだろう。防護服も着ないで梯子を登って殺虫剤をかける駆除の人はすごいというかちょっと引くからそういう人じゃなく、完全装備をしてスズメバチの巣を取り除く仕事人になりたいと思った。

 

殺虫剤で思い出したけれど、小さい頃、何かあると狭い空間に閉じこもりたくなっていた僕は、あるとき、トイレに閉じこもるようになった。とても狭い部屋に一家四人が住んでいたので、閉じこもれる場所は、押し入れと風呂(蓋をする)とトイレしかなかった。

 

小学校低学年のある日、母と衝突してしまって、トイレに閉じこもった。母もトイレに行きたくなったのだろう。母は逆上して、トイレの外の窓やドアの隙間から殺虫剤を噴射してきた。僕はたまらずトイレの外に出た。ザムザ。

 

スーパーマーケットでスズメバチ用の殺虫剤を探した。いまはすごいのがある。バズーカとか書いてある。10m以上離れているスズメバチにも届くらしい。とんだ殺虫兵器だ。これがあのときになくてよかった。キンチョールの匂いは結構好きだった。

 

スズメバチの斥候は、だいたい同じような時間に来る。ベランダのスズメバチは殺虫剤を買う前に3回ほど遭遇していたが、殺虫兵器を買ったあとはもう来なくなっていた。

 

玄関に来るスズメバチは二匹に増えていたが、場所はエレベーター前にいることが多い。子供たちを保育園に送る時間に彼らはいることが多い。

 

保育園に子供たちを送って、エレベーターから降りると、スズメバチが二匹いた。二匹で戯れているような感じがした。うちの次女三女のようだ。

 

エレベーターホールに黒いベビーカーをおいた。きっと熊みたいな感じがするだろうとか思って、罠のつもりで置いて、僕だけそっと玄関に向かった。玄関に殺虫兵器は置いてある。用意周到というやつだ。素早く手に取り、エレベーターホールに行くと二匹は戯れている。

 

アメリカ映画のようにぶっぱなした。

 

すごい勢いで殺虫剤が噴霧され、1秒くらいトリガーを引いただけでスズメバチ二匹が落ちるのが目視にて確認できた。近くによるとピクリともしていなかった。強力すぎる。

 

その後、スズメバチが来ることはなかった。無駄に殺生をしなくて済むように、エレベーターホールや玄関の近く、そしてベランダには定期的にスズメバチ用の殺虫剤を噴霧していたからなのかは分からない。