いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

雪に困る!(ボストン篇)<暑くなってきたのにボストンの雪を思い出す>

「雪に慣れている人を信じてはいけない」(長女1歳2ヶ月)

 

困ったことがあった。

 

ボストンは雪が多いことで知られている。僕らがボストンに住んだ年は積雪もそこそこ多かったようだけれども、3月に渡米したということもあって、そこまで雪に困るということもなかった。

 

翌年の雪のシーズン。ボストンの人たちは「今年は暖かい」と言っていた。はじめてのボストンで迎える冬が暖冬だったことになった。雪も少ない。「この時期に雨はめずらしい」と言われながら、ボストンの冬を迎えていた。

 

僕は北海道出身だ。しかし、出身というだけで3歳からは東京郊外で育っていた。雪に慣れてもいない。妻は関西出身で雪が多い地域でもなかったから、妻も雪に慣れていない。ボストンの雪は写真や映像などでしか見たことがなかった。

 

10年くらい前、ボストンで大雪があったらしい。そのときはマサチューセッツ州の緊急事態宣言が出て、外出も規制されたらしい。2週間ほどお店もしまって、食料が足りないことがあったと、ボストンの友人が言っていた。彼女は当時、学生だったということもあって、缶詰やらパンやらを齧って過ごしていたということだった。

 

妻と彼女は仲が良く、よく子連れ同士でお出かけをしていた。ボストンチルドレンズミュージアム(ボストン子ども博物館)は、妻と彼女の行きつけで、年間パスがお得ということもあって、夏も冬もベビーカーを押して出かけていた。

 

その日は少し雪が降っていた。「この程度の雪なら大丈夫」と言われて、妻と彼女は地下鉄に乗って子ども博物館に向かった。

 

帰りの時間になると雪が結構積もっていた。

 

僕も家の窓から外を覗いて、大丈夫かな? と思っていた。きっと迎えに行くことになるだろうなあと思いながらが、妻にメッセージしていた。

 

ボストンでは各家の歩道に雪が溜まっていたら、各自が雪かきをしなければならない。州法で決まっているらしい。違反するとどうなるのかは知らない。罰金とかだった気がする。雪かきの業者に頼んでいる人もいるらしい。賃貸の場合はオーナーがそういう業者に依頼していることも多いらしい。

 

何度か雪のボストンを経験していたので、雪かきをする家とそうでない家の区別もついてきた。戸建の家の前は雪かきする人とそうでない人の差が激しい。お店やアパートメントの前は業者や管理人さんが雪かきしていることも多い。

 

妻から連絡があった。うちの最寄駅は二つある。つまり、駅の中間あたりに住んでいるということもあって、どっちの駅で降りた方がいいか、ということだった。一つの駅は戸建の家の前を通ることも多く、歩道に雪が残りやすい。もう一つの方も似たり寄ったりではあるけど、小さい道を使わずに大通りだけでうちに着く。

 

「迎えに行くよ」

 

「大丈夫だよ」

 

子ども博物館のあたりは除雪作業がちゃんとされている道が多い。商業ビルなども多い都心部にある。しかし、うちの方になるとそうも行かない。都心の雪の中ならベビーカーを押していくのもそんなに大変じゃないだろう、友人も妻も日本ではあまり見かけないようなゴツいバギータイプのベビーカーだ。雪の中では役に立つ。

 

「かなりの雪になっているから迎えに行くよ」

 

駅まで迎えに行く道すがらルートを確認した。思ったより積雪もあって、雪かきもあまりされていない。やばいなあと思って駅に着いた。

 

「ごめんなさい、私がお誘いしちゃったから、こんな雪になると思ってなくて」

 

彼女は子供を2人連れている。彼女の方がたいへんだろうと思うけど、とにかくエネルギッシュな人だ、僕らと別れると、ぐんぐんと雪の中を子供2人乗せたベビーカーで去っていった。

 

見送りながら妻と笑い合った。そして、ルートの説明をした。

 

場所によっては30cm近く雪が積もったままで、さらに雪が降り続いている。駅の近くの喫茶店で時間を潰してもその分、帰りは困難になることが予想された。雪が降っている間は雪かきをしないという人も多いだろう。であれば、今しかない。

 

頑張って押した。押して押して、持ち上げて、ウィリーさせたり、引きずったりして、雪の中を進んだ。バギータイプのベビーカーを頼もしく感じた。車輪と車体の間に雪が詰まることもあったけれども、車高の高さのおかげで多少の雪なら乗り越えることができた。

 

いつもの倍以上の時間をかけて家に着いた。妻はクタクタで、僕も料理をする気力がなかった。我が家の緊急事態宣言ということで、近所の高級スーパー、ホールフーズでお惣菜を買った。ホールフーズのクラムチャウダーは美味しい。あと肉団子みたいなのも好き。

 

ボストンらしい1日だった。