「食洗機の洗剤と息抜きについて」
困ったことがあった。
我が家では、食洗機を使っている。家を建ててから納入まで三ヶ月から半年かかると言われたボッシュの食洗機、そして一ヶ月待つ度に1万円値引きされるという食洗機で3年ほど待てば実質無料になる食洗機は、三ヶ月ほど待って納品された。そのときの僕は、食器洗いで月に1万円稼いでいたことになる。
僕と食洗機の付き合いは長いというのは前に書いた。16歳のときに割烹料理屋でバイトをしたときにはじめて食洗機を使い、その後も、食洗機のある飲食店でバイトした。僕は食洗機が好きでどの職場でも食洗機マスターとして頑張った。食洗機内の清掃もし、パーツも綺麗にし、排水溝もピカピカにするというのは食洗機マスターとしての嗜みだけれども、食洗機の基本であるところの食器を無駄なく、効率的に綺麗にするというのが腕の見せ所でもあった。
業務用の食洗機は、大きなポリタンクのような洗剤容器に洗剤が入っていて、そこからチューブを通して洗剤が食洗機に流れる仕組みになっている。よく見ると、チューブにある液体洗剤が動いている。このチューブの動きを見ているだけでも飽きないものだが、チューブの洗剤をときどき確認するのは、液体洗剤が十分にポリタンクに入ってるかを作業中に瞬時に見抜くために必要な行為でもあって、なにも、僕の趣味だけということでもない。もちろん、チューブ内の液体洗剤の水位が可愛らしく動くのだから、趣味として見ていても楽しいことを考えると、趣味と実益が合わさっているとも言える。
食洗機マスターたちからすれば、チューブを見ているなんて無駄だ、という意見もあるだろう。それはその通りで、チューブを見なくても、食洗機作業をするときにポリタンクに十分な洗剤が入っているのかを確認すればいいだけのことだから、作業の隙間にチューブにある液体洗剤の動きを見るなんてのは、素人仕事もいいところだ。つまり、チューブの動きを見るというのは、僕にとって仕事をしているフリというか、仕事中なのにちょっとした息抜きを見出して喜んでいるというだけのことであって、仕事や作業の一環のように振る舞っているように見せかけて遊んでいることでもあった。
なぜ、こんな話を書いているかというと、食洗機にとって洗剤は大事ということ書こうと思ったからだった。
当たり前の話だけれど、食洗機に洗剤を入れないと十分には綺麗にならない。油汚れなどはなかなか落ちない。洗剤があったからといって、こびりついたお米などは食洗機には大敵で、水で洗い流せないお米はそのあとの乾燥でカピカピになってお皿と同化してしまったのではないかというくらいにこびりつく。爪などを駆使して取り除くわけだけれども、そんなお米が爪と指の間に入ってしまってセルフ拷問みたいなことになることも何度かあった。
お米のことはおくとしても、洗剤の力で綺麗になる。そして業務用の食洗機であれば高熱にもなるので、食洗機から出てきたお皿は、キュッキュとした状態になる。食洗機から出てきたばかりのお皿は熱いので、しばらく放置する必要があるくらいだ。飲食店で忙しいときには、熱々のお皿だと危険なので、すぐに必要だと言われたときには水道水に一度くぐらせて、布で拭いて使ったりすることもあった。
業務用食洗機の威力は凄まじい。
さて、話を家庭用食洗機に戻してみよう。
家庭用食洗機といっても、種類もたくさんあるし、日々の発達も目覚ましい。卓上の食洗機は使ったことがないのでなんともいえないけれど、ビルトイン型の食洗機であれば、僕は4種類くらい使ってきた。
10年以上前に使ったのは、日本製で引き出し式のものだ。これは温風が出るタイプで、菜箸を入れていたら曲がったことがある。菜箸や竹製のものは曲がるということをそのとき学んだ。しかし、これにしても、温風付きのものの場合だろうし、そしてまた、いまは温風式のものでも菜箸が曲がらない、ということを知り合いから聞いた。
そのあとはアメリカで2台ほど使った。アメリカの食洗機は前開き式のもので、どちらも温風はない。日本で使っていた温風式のものであれば食洗機の終了とともに食洗機を開けたとして、業務用食洗機のように暑くて触れないというほどではないが、熱いは熱いけれど触ることができたし、食器は乾いていた。アメリカの食洗機は、洗い終わったらビチャビチャだ。
食洗機用洗剤に困る!<2>(主夫篇)に続きます。