水筒に困る!<中>(主夫篇)の続きになります。
水筒も起き始めた水切り。哺乳瓶の思い出は水切りとともに僕に刻まれていた。水切りラックはキッチンの主役とまではいかないかもしれないけれど、水切りラックがない人生なんて考えられない。しかし、それも乾燥機能付きの食洗機によって水切りラックもいらなくなる日が来るのかもしれない。
困ったことがあった。
名古屋では引越しのトラブルでツッパリタイプの水切りのネジが一本紛失してしまった。このネジが特殊なネジでホームセンターにも売っていなかった。引越し屋さんからは弁償すると言われ、新しいツッパリタイプの水切りを買ってもらった。新しい水切りは以前と同じメーカーで改訂版として出されたものだったのだけれども、ボトルホルダーがなくなっていた。メーカーはグラスホルダーと言っていたかもしれない。旧タイプの方が便利だと思っていたので、メーカーに電話して旧タイプが余っていたら買いたいと言ったら、もう発売していないということだった。引越しでネジが一本紛失してしまって、旧タイプが使えなくなってしまった、とてもいい水切りだった、哺乳瓶を乾かしていたこと、今はこども三人の水筒を乾かしていたとか、そんな話をした。
「そんなに気に入ってくださっていたんですね。ちょっと待ってください。たしか展示用のものがあったと思うんです。もう使わなくなっているので、ネジくらいならお送りできるかもしれません」
「いや、そんな悪いです。ネジはホームセンターで探してもなかったので、もしネジだけでも売っていただけるのであれば、それを買いますし、ネジの種類を教えてくれたら探して買いますから」
「あのネジはうちでつくった特注なので、他では売ってないものになります。探してみますので、また後日連絡します」
と、そんなやりとりがあった。そして後日連絡が来た。
「展示用で廃棄予定のものが見つかりました。本体は錆びついてしまって、お送りできるような状態ではありませんでしたが、綺麗なネジが一本だけありましたから、お送りします!」
感動のメーカーだ。最初は送料だけ負担してくれれば、と言っていたような気がするのだけれども、最終的には、封筒に入った可愛いネジがお礼のお手紙とともにあった。送料の請求はなかった。なんて素晴らしい会社なのだろう。お礼のお手紙に切手を入れて送った。水切りラックの世界は素晴らしい。
そして名古屋の家では水切りラックを二つ使うことになった。一つのラックは、こどもたちの日々増える食器と、水筒、コップが並べられた。完璧だった。
新居ができた。僕を悩ませたのは、こどもたちの水筒だ。新しい家は、この素晴らしい水切りラックが使えない。対面式だし、キッチンと天井の間は二メートルくらいある。さすがの突っ張り棒も二メートルは無理だ。あの素晴らしいメーカーに連絡したら二メートルの問題も解決してくれるかもしれないが、さすがに、新居の対面式キッチンにツッパリタイプの水切りは置けない。
しかし、問題ない。新居には食洗機がある。食洗機はただ洗うだけじゃない。乾燥もしてくれる優れものだ。そうなると、水筒も乾く。問題ない。
やっと本題になる。
こどもたちの水筒は、食洗機非対応だった。一度、ためしにやってみたら、長女が使っている水筒の柄が一部変色してしまった。黒い跡が少しついただけだけれど、長女はその黒い後を擦っていた。申し訳ないことをしてしまった。長女に謝罪した。許してくれた。
やはりツッパリタイプの水切りか?
ちなみに、名古屋でツッパリタイプの水切りを2台使っていたため、芝生タイプの水切りはいらなくなっていた。この芝生水切りの弱点は、芝生の裏が凸凹しているので洗いにくかったことだった。お役目ごめんということで、名古屋で捨ててしまった。まさか、芝生タイプの水切りがまた欲しくなる日が来るとは思っていなかった。
とはいえ、芝生タイプの水切りは哺乳瓶用。成長したこどもたちの大きな水筒はさすがにバランスがとれない。しかし、食洗機に置くこともできない。困ったと思っていたら、世の中、水筒に悩む人も多いらしく、ボトルホルダーなるものがたくさんあった。買った。
新しいボトルホルダーは水筒が四本置ける。三姉妹と妻の水筒が置ける。そうすると、僕の水筒が置けない。僕の水筒は食洗機対応だ。アメリカで買った水筒は食洗機が前提だ。こどもの水筒問題は、ここに終わった。毎日の手洗いはちょっと面倒だけれども、かっこいいボトルホルダーで乾かせるので満足はしている。僕の水切りの世界の旅も終わったようだ。