システムキッチンに困る!<上>(新築篇)の続きになります。
家を建てるということは、どんなキッチンにするのかを考えるということでもあった。あまりキッチンのことを考えずに家を建てようとしていたものだから、キッチンをどうするかで頭がぐるぐるしてしまった。
困ったことがった。
三井ホームさんのモデルハウスで宿泊体験をした。そこのキッチンには前開きの食洗機が付いていた。ミーレかボッシュか忘れてしまったけれど、どちらかだった。これをつけたいと思ってしまった。前開きに慣れてしまうと、前開きの食洗機の良さが忘れられない。しかし、食洗機だけというわけにもいかない。そのキッチンの神々しさはなんということだろうと思った。
「これ、Kitchen houseとかいうところのキッチンで、300万円もするらしいよ、キッチンに300万円ってあり得ないよねえ」
とか妻と笑いながら話していた。僕らは2人とも、有名なキッチンハウスのことも知らなかった。
キッチンハウスについて調べてみた。オーダーメイドのキッチンで有名なところで、300万円なんて序の口で天井知らずみたいな値段がついていた。そういえば、スミリンさんのモデルルームのキッチンもすごかったから、キッチンハウスだったのかもしれない。
キッチンハウス、調べれば調べるほどいいと思ってしまった。しかし、300万円。良いと思った程度では出せない、高額オプションにもほどがあるだろう、とこの時はまだ自制心が作用していた。
三井さんとの契約前に、できるだけ見積もりを正確にしたいので、値段の変動が大きくなる住宅設備の希望を言って欲しいと言われて、三井さんのショールームに行った。キッチンハウスにしたら300万円なのだから、見積もりは大きく変わる。30坪の家だったら、キッチンハウスにしただけで坪単価が10万円変わるのだから、坪単価ばかりで調べがちな契約前はとくに大事なことのように思った。
「キッチンは標準で、深型にしたいと思っています」
「標準も二種類ありまして、どちらになさいますか?」
と紳士の営業Sさん。二つとも綺麗だった。選びかねていたところに、ふとモデルハウスのキッチンのことを聞いてみたくなった。
「モデルハウスのキッチンは素敵でしたけど、300万円はさすがに高いですよね」
「キッチンハウスさんのキッチンはお値段は高くなりますが、とても人気なんですよ。こちらの標準のキッチンが150万円ほどなので、150万円は高くなってしまいますけれども」
僕は三井さんの計算方法がわかっていなかった。標準が150万円で、キッチンハウスだと300万円ということか、つまり、キッチンハウスにしなくても150万円かかるわけだから、もう150万円出せば、キッチンハウスになるということか、と頭がぐるぐるしはじめて、結果、150万円得したみたいな気持ちになってしまった。人間というのは不思議なことを考えてしまうようだ。150万円得しているわけではないのに、そんなふうに思ってしまう。
150万円あれば何ができる? 子供の頃は100万円あればなんでもできると思っていたし、想像できる大金は100万円が限度額だった。大人になったから100万円を端金だと思えるかというと、そんなことない、やっぱり100万円は大金だ。それに150万円だ。100万円より多いのはもちろんだ。こうしてぐるぐると悩んでいた。
「とりあえず、あとで標準にするかもしれませんが、キッチンハウスで見積もりを出しておいてください」
ということで、僕らはキッチンハウスで見積もりをお願いした。キッチンの天板と同じ材質のダイニングテーブルも作れるということで、これもお願いした。そして、キッチンハウスさんだと、ミーレやボッシュの食洗機もつけることができる。ミーレは品切れが続いているらしいから、ボッシュの食洗機一択だった。吊り戸棚やカップボードもお願いした。もうどうとでもなれという気持ちにもなった。
また家に帰ってキッチンハウスさんを調べていた。丈夫で長持ち、そしてカッコいい。また、三井さんはキッチンハウスと提携をしているというのもあった。三井さんで建てるなら、キッチンハウスを採用すべきなんじゃないか、でも150万円以上高くなる。悩んだけれども、決めた。三井さんで契約するのであれば、キッチンハウスも採用しよう。
そして、僕らは三井さんと契約をした。キッチンハウスのキッチンに、LED吊り戸棚、キッチンについている収納と、ボッシュの食洗機に、ダイニングテーブル。最初はこれで決めた。また後日、キッチンハウスさんのショールームでオプションが増えることになるのだけれども、それはまた次に書くことにします。