いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

移住先に困る!<8>(自閉症児篇)<育児のしやすい市町村の見極め方>

移住先に困る!<7>(自閉症児篇)の続きになります。

 

とても長くなってしまった。この話はこれで終わりになります。これまでボストンで二つの市、東京で二つの市区、愛知に来て名古屋市で育児をした。とくに、ボストンでは自閉症児に対する市のケアが手厚かった。帰国後の東京郊外の市では、障害児はもとより多胎児に対しても保育園の優先利用だけでなく、定員を増やすなどの対応をしてもらっていた。名古屋市の場合は、行政としては障害児の受け入れは行い、双子をバラバラの園にしないという方針があった。名古屋の場合は、保育園の主任がちょっとやべえ奴だったため行政の問題というより、ちょっと変わった人に出会ってしまった問題なのかもしれない。そして、日進市の場合は、障害児や多胎児への支援というのはもちろんある、が、形式だけやっているという感じがいなめない。その証拠として、療育の受給日数が他の市町村と比べて格段に少なく、また保育園の優先利用などにおいても優先利用等の配慮もなく、幼児クラスの定員を一つ増やす程度のよく聞く配慮も行わない。育児は保護者の責任である、と強気に言いながら、よくもまあ「子育てしやすいまち」を目指すと厚顔無恥に言えるものだと、最近では、怒るよりも、ちょっとニヤニヤとしてしまっている。僕は僕で脳なのか、感情なのか、そのどちらかが壊れてしまったのかもしれない。

 

と、日進市が、障害児や多胎児にとって子育てがしにくいと言っているのは、あくまで、市役所の対応や施策内容についてであって、日進市で活動する育児に携わる現場の人たちはとても積極的だ。現場の人たちに日進市役所の話をすると、だいたいの人が、市役所のやり方に批判的でもある。日進市で3人の子育てをしたというおじさんが、「日進市は、なんでもかんでも市のルールに従えと言って何もしてくないし、聞く耳も持たない」と憤っていた。ああ、僕だけじゃないんだ、日進市役所の対応をおかしいと思っては、心が少し救われている。傷を舐め合っていると言われればそれまでだけれど、それでも孤立するよりはいい。

 

困ったことがあった。

 

市議会でも僕らの問題を相談していない市議からも、日進市のおかしな保育園の利用調整に対して今年だけで何度も質問がなされている。職員がちゃんと答えないものだから、中には3回も同質問がなされてもいる。最終的な答えは「近隣市町村などを参照して検討していく」みたいな答えだけれども、そもそも、僕が保育園の利用調整に対して質問したら「近隣市町村などを参照して決めている」という答えだったのだから、その数ヶ月後になされている市議会での返答もなんだかおかしい。これまで参照して決めていることになっている筈が、参照して決めたことが指摘されると、また参照して検討する、と答えている。しかも市議会で指摘された優先利用の項目は、近隣市町村で採用しているところは一つもない。また政府通知を見てみると、この指摘された優先利用の項目は、待機児童がない場合に行うものとされているにも関わらず、待機児童が多い日進市で採用しているのは、おかしい項目でもある。まあ、あまりにおかしいから市議も不公平を生んでいるとつっこんでいるわけなんだけれども。つまり、この答えは「何もしない」という20年ほど前によく言われた、役人の「前向きに善処します」は「何もしない」という意味だということにとても似ている。僕みたいな市民や市議だけでなく、こども家庭庁や愛知県庁の担当者からも「ちょっとおかしいですね」とされ、省庁、県庁からも市役所に連絡が入れられている。それでも頑なな日進市地方自治による裁量権というのは、ときに恐ろしいものだと痛感した。

 

僕が日進市に来て学んだのは、育児、特に、障害児や多胎児の育児という、比較的行政の助けが必要な状況にある人、親類縁者などの他に助けを求められる人がいないという人が、どんな市区町村に転入、移住すればいいのかということだ。このご時世、どこの市町村も少子化社会対策大綱の影響で「子育てしやすい」と言い、また障害者差別解消法という法律も今年からは民間も努力義務から義務になり、表面的には、障害者や多胎児に対する支援のための施策や、計画が掲げられている。しかし、実情はそうではないということがある。この実情を見破るにはどうしたらいいのか、ということで、一つのわかりやすい指針があった。それは、もっとも簡便で、財政的な問題が関係ない施策内容において、障害児、多胎児、多子に対する配慮がなされているか、ということ。

 

保育園に通わせる人はもちろんだけれど、保育園に通わせる必要のない人も、子どもが小学生になっている人も、転入、移住を考えている市町村の保育園入園申し込み案内を参照することで、その市が障害児、多胎児に対してどういう姿勢であるのかが分かる。この理由として、小学校や中学校などよりも、保育園は、市町村の裁量権が強いため、市町村の取り組みに大きな違いが出るというのがある。保育園の利用案内において、障害児多胎児多子に対して、他の優先利用と同じような点数加点がなされていない場合は、他の施策においても、育児は保護者の第一義的責任という前提によって、「何もしない」可能性が高いと思う。

 

ちなみに、日進市は、令和六年度からは、障害児、多胎児、多子に対して、「市独自の取り組み」として、同点数の場合は、これらを優先するという、なんともお粗末な配慮をするらしい。僕が騒いだからなのか、市議や省庁、県庁からも指摘され、政府方針を改めて読んで、どうしても優先利用をさせたくないけれども、政府方針を盾にいろいろ言われるから、近隣市町村であれば加点にしているところを、同点数の場合の優先という市独自の取り組みであれば、これまでに行なっていた施策がおかしいという指摘もされないし、効果は薄い配慮かもしれないが形式としては配慮しているのだから、文句が言われても、また市議会でのように、のらりくらりとかわせる、と思っているのかもしれない。ここにきてまた呆れる結果だった。

 

呆れてばかりではどうにもならないので、これから、名実共に「子育てしやすいまち」になってもらうために、僕は僕で、市行政をこれからも注視し、ことあるごとに意見をしていきたいと思う。もし、これを日進市の市民の方が読んでいたら、ともに良い市にするために市に意見がいえる様々な制度を使って、日進市を変えていきましょう! 前向きにならないときついんです。日進市に子育て移住を考えている人は、ちょっと覚悟を決めて、面倒くさいこともあるけれども、共に頑張る人がここに少なくとも一人はいると思って移住していただければと思います。他の市町村と迷っている方には、僕のような失敗をしないようにと思っています。日進市のお陰で、育児を取り巻く法律、政府通知や方針、市の計画、条例、議事録等に詳しくなれたというのは嫌味になるかもしれないけれど、ちょっと感謝もしている。いい市町村にいると、条例すらも読まないものです。