いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

移住先に困る!<4>(自閉症児篇)<障害児や多胎児に対する各市町村の配慮や対応>

移住先に困る!<3>(自閉症児篇)の続きになります。

 

現在の移住先、愛知県日進市で障害児や多胎児の育児をすることはあまりおすすめできない。障害者手帳があったとしても療育を受けられる日にちは東京や名古屋では20日以上だったのに、日進市では5日となる。このことは僕らと同様に日進市に転入、移転してきた保護者たちも驚き、そして怒ったという。まだ先日の市議会でも一般質問の項目にそのままズバリで書いてあった。多胎児に対しても外出サポート的な支援があるにはあるけれども、それでとても助かったという人もそんなにいないだろう。最低限の支援をする、という方針だ。もちろん、市の財源などもあるのだから、できることもあればできないこともある。ただ、財源も必要なく、他の市町村などではやれていることを、行なっていないとしたならば、その市町村は、障害児や多胎児を育てるにあたり困難な市町村だと思われるだろう。

 

困ったことがあった。

 

前回は、東京とボストンでの配慮や支援のことを書いた。帰国後に住んだ東京郊外の市では、双子が入る保育園に空きが一つしかないにも関わらず、双子だからという理由で定員を1名増やしてくれた。特別な多胎児のための施策というより、すでにある施策の中で配慮をしてくれた。つまり、こういう市が、障害児や多胎児にとって、「子育てのしやすいまち」になると思う。

 

いま考えてみると、乳児だと保育士の配置人数の問題も幼児クラスよりもシビアになる。乳児1人の定員を増やすのは簡単なことじゃない。市役所は、政府通知にある「やむを得ない事情」という項目を参照して定員を増やしたのだろうと思う。この市役所はいつも頼もしくて、何かあるとすぐに相談に乗ってくれて解決もしてくれた。そういえば社会福祉協議会の人も力強い人で「すこしでもおかしいことや不便だと思うことがあったらすぐに言ってください、市役所ともすぐに話し合います」と言ってくれた。双子や通う保育園の園長が少し曲者でたまに変なルールを言ってきたことがあったけれど、それも市役所に聞いてみたら、すぐに是正された。たしか、この市は、取り立てて「子育てしやすいまち」などというような目標は掲げてなかったと思うけれど、一市民として「子育てしやすいまち」だった。こんなことを書きながら、市の職員さんの顔や電話の声を思い出した。障害児や多胎児を支援する施策は大事だけれども、それ以上に、障害児や多胎児を配慮しようという気持ちが強い市というのは心強い。そういえば、この市でも保育園利用案内などの調整加点に多胎児や障害児があったと思う。当時は当たり前のことだと思っていたし、他の保護者からも、障害児、多胎児加点が不公平だという話は聞いたこともない。隣の市に住む多胎児の情報通のお母さんが言うには、僕らが住んでいた市は、「遅れている」とのことだった。それでもいま考えれば十分だった。

 

そのあと名古屋に引っ越した。名古屋でも保育園を利用したかったけれど、障害児だけなのか他の人もそうなのか忘れてしまったが、遠方からの申し込みはできないということだったので、妻が長女を連れて見学と面接と申し込みを行った。名古屋はちょっと面白いところで、保育園の自立性を重んじるのか、園長の権限が強く、園長の判断で障害児の入園に対して他の園児と違う措置が行われていた。延長保育という15時あたりから18時くらいまでの保育制度があるけれども、障害児は延長保育ができないというものだった。たぶん、この措置は障害者差別解消法に抵触するか、ギリギリの措置のように思う。延長保育ができないなら、保育園という就労を目的とする施設において、就労が制限されるため、実質、入園拒否に近い措置になる。これはこれで問題だと思ったけれど、自宅から最も近い保育園ではそんなことは言われなかったので、無事、保育園に入ることができた。また、保育園の入園を管轄する区役所からは、「長女(障害児)と双子ちゃんを離れ離れにすることは絶対にありませんので安心してください」とも言われた。同時に、「障害児だから延長保育ができないというのは聞いたこともありません」とも言われたけれども、保育園運営の実情と市や区の認識のズレがあることをどうしたらいいのか分からなかった。

 

名古屋に関していえば、障害児や多胎児に対する配慮は、市役所や区役所では行われている。保育園の利用申込みは、障害児の優先利用に関して明記はないが、応相談ということだった。しかし、名古屋の場合はまた特殊で、保育園の園長の権限が強く、まあ、名古屋だけでなく他の市町村においても保育園の利用時間などを決めることは園長の権限だから名古屋だけが強いわけではないのだけれども、名古屋で感じたのは、園長の権限が強く出ることが多いということなんだろう。そのため、それまでの保育園や、今の日進市の保育園からは言われたことがないような保育時間のことや、他の障害児を育てる方からも、名古屋の保育園から入園拒否されたという話をいくつも聞いた。これは名古屋人の独立心、自立心の高さ故なのかもしれないが、障害を理由に入園を拒否するというのは、これまた法令違反の可能性が高い。市役所や区役所に聞いても「まさかそんなこと」というような感じだったので、市や区も把握できずにいるのだろう。園長の個性や独自性では済ましてはいけないことだと思う。

 

移住先に困る!<5>(自閉症児篇)に続きます。