いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

パニック行動に困る!<下>(自閉症児篇)<長女のストレス対策なのだろうか?>

パニック行動に困る!<上>(自閉症児篇)の続きなります。

 

長女が定期的に、かつ、よくやるようになった行動を巡って、これは一体なんだろうか、パニック行動なのかどうか、あれこれ考えました。

 

困ったことがあった。

 

考えてみると、次女三女との関係で長女は、癇癪を起こし、泣いていた。しかし、このところ、長女が癇癪を起こしているのを見なくなっている。その代わりに、「アムーケシケシ」をよくやっている。そして、そのうち、どこかに移動するとか、何かの切り替えが必要なときには必ずと言っていいほど「アムーケシケシ」と言っている。療育の帰りに自転車に乗せ、後ろから「アムーケシケシ」が聞こえたりもする。

 

心配になったので、療育の先生に聞いてみた。療育は、保護者の些細な心配にも真剣に相談に乗ってくれるので頼もしい味方でもある。

 

「それは心配ですね。うちでも注意して見てみます。ストレスなどからきていることが可能性としてはありますね」

 

そうだった。

 

10月末に妻が1週間ほど入院した。これが長女にはとてもストレスだったようだ。このとき、普段からいる想像上の友達は1人から3人に増えた。そして、「アムーケシケシ」は妻が退院してきたあたりからやりはじめていた。想像上の友達の増加も療育の先生からは、ストレスが原因で起こることがあると言われていた。

 

自閉症児は、それぞれ独特な方法で自らの負荷を解決しようとしている。言葉で説明するこが難しい長女は絵で示すことが多いというのもあるし、「アムーケシケシ」のような、ちょっと意味の分からない行動で示すこともある。「アムーケシケシ」を分析してみると、ペンと消しゴムは長女が何かを示したり、取り消したりする際に、言葉よりも容易に操ることができる道具でもある。実際、長女の絵はとても上手だ。細かいし、色彩が豊かで、構図もしっかりとしている。保育園で長女がお絵かきをすると周囲に人だかりができる。言葉がうまくでない長女にとって、絵がもっとも自分の気持ちなどを表現しやすいのだろう。

 

そんな長女にとって、「ペン」と「消しゴム」を模した行動は、言葉で説明するくらい本人を落ち着かせるのかもしれない。

 

となると、パニック行動とはちょっと違うのかもしれない。

 

長女から教わることはとても多いけれど、今回の「アムーケシケシ」は自閉症の秘密に触れたような気もした。

 

長女は寝言でも「アムーケシケシ」と言ったことがある。それと、寝相が悪いので布団からはみ出してしまって、抱きかかえて移動させようと持ち上げると、「アムー」とそれなりに大きな声で言ったことがあった。長女の「アムーケシケシ」という行動を可愛いとか、おかしいとか思わずに、彼女なりの大切な行動だと思おうとしたけれども、持ち上げたときに「アムー」と言ったときには、かわいいとかおかしいとか思ってしまった。

 

長女が持つ非言語的世界からもたらされる言葉は魅力的だ。このまま、非言語的世界でのびのびと育ってほしいと思う気持ちもあるけれども、言語的世界に支配されている社会の中で長女が生きるためには、やっぱり言語的世界に適応できるように配慮しなければとも思う。それは親のエゴなのかなんなのか分からない。

 

きっと、自閉症児を育てている親は、子供の世界を守りたいという気持ちと、子供が世界に適応してほしいという気持ちに悩まされているのかもしれない。