いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

特典に困る!<中>(主夫篇)<特別感を求める子どもたち>

特典に困る!<上>(主夫篇)の続きになります。

 

初回限定やなんとか特典など、別に対してものじゃないけれど、なんだか特別な気持ちになるものがある。そんなのに興味ないという人がいる反面、そういうことに何かしら見出している人がいるから、特典なるものはあるのだろう。子どものDVDや本、映画のチケットにそういう特典が多いのも、自分だけは特別にしてもらえた、ということが子どもの喜びになるのかもしれない。不公平不平等を覚えてしまうから教育によくない、という人がいるかもしれないけれども、そこはなんだろう、なんか上手く言えません。

 

困ったことがあった。

 

子どもたちは本屋さんが好きだ。僕も本屋さんが好きだ。僕は子ども時代に絵本の類はほとんど読んだことがなくて、「はらぺこあおむし」ですら、長女が生まれてから知ったようなタイプで、「グリとグラ」は表紙を見たことがある程度だったし、昨今の絵本ブームというか、いろんな絵本があることなども知らなかった。

 

長女は絵本がそんなに好きじゃない。付録付きの児童雑誌が好きだ。彼女は1歳の頃からカタログばかり見ていた。いまもカタログやスーパーやドラッグストアのチラシが好きみたいだ。次女と三女は絵本が好きで、本屋に行くたびに絵本を買って欲しいと言う。

 

友人から新築祝いで図書カード一万円分もらった。子どもたちへのプレゼントだった。図書カードを持って、今日はなんでも買ってやるぞ、と言うと、長女がすみっコぐらしが欲しいということだった。すみっコぐらしの飛び出す絵本みたいなのがあった。値段は見なかったけれど、一万円の図書カードがあれば足りると思った。次女と三女はキティちゃんのピアノがついている本が欲しいということだった。1人1台欲しがっていたけれど、同じのが二つあっても後々困る。1人は別のやつにしてみたら?と提案しても、喧嘩がはじまるだけだった。

 

「2人で1つなら買ってあげるよ」

 

それでいいらしかった。最適解がどこにあるのかなかなか分からない。2人で嬉しそうにキティちゃんのピアノをカゴに入れた。ちなみに、このピアノは2人で共有するということがよくわかっているらしく、1ヶ月以上経っても喧嘩もせず仲良く順番で演奏したり、1人が操作をして1人が歌うという保育園ごっこになっていたりする。ほほえましい。

 

問題は長女のすみっコぐらしの飛び出す絵本だった。

 

この絵本は豪華本で特別感があった。値段も7000円近くした。キティちゃんのピアノと合わせると10000円の図書カードじゃ足りない。引越しのときに出てきた貰い物の図書カードも持ってきていたので、それで不足分を払うことにした。

 

すみっコぐらしの絵本が包装されているビニールには、初回特典付き、レジにて特典をお渡しします。と書いてあった。長女からなんて書いてあるの?と聞かれたので、レジでピッてしてもらうと、プレゼントがあるんだって、と説明した。こうなったら、もう買うしかなくなる。特別なプレゼントがもらえるということに長女は興奮してしまった。すみっコぐらしの豪華本よりも、きっとそうでもない、大したことないだろう特典の方が気になってしまったらしく、特典目当てで買うことになってしまった。特典にがっかりしなければいいなあと思っていた。

 

レジに行った。普通に会計して、何事もなく、ありがとうございました、の流れになった。

 

「あの、こちらのすみっコぐらしの本は、レジにて特典がもらえるということでしたが、何もないんですか?」

 

「ちょっと担当の者に確認しますね」

 

と言って、担当の方が来た。そのあと、担当の方が特典を探してくれたのか、特典担当?みたいな人がいるのか分からないけれども聞いているようだった。

 

「申し訳ありません。こちら、特典の期限が切れているようで、お買い求めいただいても特典はないようです。担当の者がポップを外し忘れていたようで、申し訳ありません」

 

「何ももらえないということですか?」

 

「申し訳ありません。今後、このようなことがないように気をつけます」

 

「いや、これ、僕のというか、大人だったら、その対応でいいと思うんですけど、で、僕だったら、特典といっても、子供騙しみたいなものなのはわかっているので、気にしないというか、気にするなら、いま返品すればいいだけのことなんですが、うーん」

 

僕の返事もなんだかゴニョゴニョしてしまった。

 

「申し訳ありません。以後、気をつけます」

 

長女は、呆然としていた。ちょっとやな予感がした。

 

特典に困る!<下>(主夫篇)に続きます。