いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

落とし物に困る!<上>(ボストン篇)<忘れ物とか落とし物が増えている気がする>

「オポチュニストが多い、と言われたけどよく分からなかった」(長女10ヶ月)

 

困ったことがあった。

 

ボストン生活も半年経って慣れてきた頃、長女をベビーカーに乗せて、妻とカフェのテラス席でコーヒーを飲んでいた。アメリカで買った大きいベビーカーで移動していると、普通のお店には入りにくい。ちょっとの段差なんかもあるし、店に入ったとしてもカフェなどの場合は狭いから身動きとるのも難しい。アメリカの場合は周りの人や店の人も、子連れにはとても優しいから、段差にしても、狭い通路にしても、多くの人が助けてくれるけれど、それでも、やっぱり外に席がある方がいい。

 

とはいえ、屋外の席は人気だ。冬が長いボストンの場合はとくに人気なのかもしれないし、夏場でも日陰になればそんなに暑くないから外でも過ごしやすい。8月でも野外のテラス席は大人気だ。そんな人気の席に座ろうと、どこかテラス席が空いている店はないかと大通りを歩きながら、席が空いたテラス席を見つけて一休みした。

 

日本のフードコートなんかでよくある光景だけれど、席に荷物を置いて、席を確保して注文しにいくというのがある。これは海外ではやっちゃいけないと、よく言われる。マナーが悪いからというより、荷物が盗まれるからということだ。席取り自体はやっちゃいけないというわけではないし、ボストンでもたまに荷物を置いて席を確保している人もいるから、日本特有のこととも思えないけれど、財布やスマホなどをドーンと置いて席を確保するのは日本でもやめた方がいいとは思う。

 

そういえば、先日、長女がシェイクを飲んでみたいと言ってきたので、ランドセルの見学がてらモスバーガーに入ることにした。長女はシェイクを飲んだことがない。モスバーガーに入ると席が混んでいた。シェイクだけ持ち帰って外で長女が飲むのを見ていればいいかなと思っていたら、お店の人から、席が空きましたと言われて、持ち帰りはやめて、シェイク以外にも長女が食べたいと言っていたポテトとナゲットを買って僕も菜摘バーガーを注文することにした。そして番号札みたいなものをもらって空いた席に行くと、そこにはハンドタオルみたいな物があった。店員さんに「拭き掃除の途中ですか?」とハンドタオルを手に取って渡そうとすると、「私が席を取っていたんです」と1人の女性から言われた。

 

「あっ、どうしましょう、店員さんに席が空いたからということで、注文してしまったんです」

 

その方はまだ注文していないようだった。僕らは僕らでこれからテイクアウトにしてもらおうかと思っていたら、その方はカウンターの席に空きがあることに気がついたらしく、そちらにハンドタオルを置きに行った。ありがとうとも、すみませんともつかないような会釈をして、長女とご飯を食べた。ちなみに、はじめてのシェイクは想像以上に冷たかったらしく、長女は途中で飲むのをやめてしまった。長女の残したシェイクを20年ぶりくらいに飲んでみたら、僕は僕で想像以上に甘くて飲みきれなかった。ナゲットを仲良く食べた。

 

席を取るならハンドタオルくらいがちょうどいいのか、それともハンドタオルだと席を取るにはちょっと荷が重いのか、その辺は分からない。話がずれてしまったけれども、ボストンで人気のテラス席に、妻と長女を残して僕が注文をしに行った。僕としては、注文をしてから席を取るべきだと普段から思って行動しているけれども、子供ができてからは、先に席を取ってしまうことがある。この間も先に子供たちを座らせて、フードコートのお店を二軒めぐってそれぞれが食べたがっている物を注文した。

 

子供ができてからというもの、僕自身に課している原則を曲げることが増えた。

 

そんなテラス席。気持ちのいい午後を過ごして、お酒を飲んだわけでもないのに、妙にリラックスしていた。コーヒーとスコーンで1時間以上ゆっくりしてしまった。ベビーカーの中で寝てしまった長女を見ながら、飲むコーヒーはとてもおいしかった。そろそろ帰ろうと食器を店の中に渡してきた。ベビーカーを押して家に向かった。

 

そんなとき、なんだか違和感を感じていた。何かがない。

 

落とし物に困る!<下>(ボストン篇)に続きます。