いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

入院に困る!<上>(主夫篇)<妻が入院してしまったこと>

「つまり、ワンオペだ」

 

困ったことがあった。

 

妻はしばらく前から腰が痛いと言っていた。

 

「ぎっくりかも」

 

育児をしていると腰痛になることが多いので、夫婦の会話でよくでるのが「ぎっくり」とか「腰痛」とか「腰が痛い」というものだ。

 

長女が生まれたばかりの頃、湯の入っているベビーバスを持ち上げてぎっくり腰になった。そのときは断りきれずに引き受けた仕事もあったけれども、立ち上がれないということで仕事を休む連絡をした。

 

「またまた大袈裟だなあ」

 

そんな反応だった。そもそも、子供が生まれたばかりだからということで何度も断った仕事だし、それでもフォローもするからやってほしいと言われてしぶしぶ引き受けた仕事だった。それにも関わらず、フォローなんてものはなく、仕事仲間からは育児の困難さを理由にへばっている僕を追い詰めるようなことが言われ、ぎっくり腰になって仕事を休んだら、大袈裟だと言われる始末。僕はプロ意識に欠けるらしい。

 

そんな目にあって、その人たちとは仕事をしないと決めた。もう何度頼まれたってしてやるもんかと思った。たまにFBなんかでその人たちがいい人っぽい投稿をしているのも嫌な気持ちだったので、どんどん友達解除していった。SNSの投稿なんかじゃ、その人が他者にどんなことをしているのかなんて分からない。

 

話がずれてしまったけれども、妻が入院した話だった。

 

育児をしていてよくある体の故障が腰痛だ。だから、腰痛くらいでは育児や仕事を休むことは滅多にない。立ち上がれないようなときに仕事を1日休んだとしても、育児の方はできることはしようとしてしまう。風邪にしても風邪をひいてゆっくり1日寝て休んだなんて子供が生まれてからは経験していない。コロナになったときにも、なんだかんだと家事をしていた。

 

妻の腰痛もいつもの腰痛のように思えていた。立ち上がれないわけでもないし、少しずつよくなっている気がすると言っていた。

 

痛みが一番激しかった次の日は土曜日だったけれども、妻の職場ではなんかのイベントだったらしく朝から晩まで仕事をしていた。次の週は会議がたくさんあったみたいで、夜遅くまで会議の日もあった。僕は僕で、土曜も日曜も、そして平日の夜も妻の仕事があったので、ワンオペが多い期間だった。ちょっと僕も疲れていた。

 

なかなか腰痛が良くならない妻に、病院に行けば? と言った。1週間で2回言った。あまり言い過ぎるとモラハラっぽくなっちゃうかもしれないとか思いながら、2回言った。

 

妻は僕より病院のお世話になることが多い。病院嫌いな僕に「病院に行けば?」というのは妻の役割だった。妻は「ちょっと腰が痛いだけだから大丈夫だよ」と言いながら、仕事に残業にイベントにと頑張っていた。

 

妻の忙しい期間が終わった。終わった次の日に、妻は立てなくなった。寝返りすらできなくなった。気持ち悪いらしい。これは只事じゃないということで救急車を呼んだ。

 

子供たち3人がうろうろする中、救急隊員のおじさんが3人やってきた。子供たちは妻が運ばれていくのを静かに見守っていた。僕はきっと入院になると思ったので、荷物を準備して救急車まで荷物を運んだ。本来なら同乗すべきなんだろうけれども、小さい子供が3人いるということもあるし、妻は身動きできないけれども、意識はちゃんとしているということもあって、1人で救急車に乗ることになった。

 

「アリさんもね、葉っぱを運ぶんだよ」

 

と長女が言っていた。ちゃんとした担架が部屋に入れないので、緑色の分厚いビニールみたいな簡易担架みたいなものに妻が乗ったのを、葉っぱに見立てたんだろう。おじさん3人がアリさんなら、妻はなんだろう。食べ物なのかもしれない。

 

そうして妻は入院になった。そして僕の完全ワンオペの日々がはじまった。ブログの更新もできないくらい疲れ果てた。

 

妻の入院の日、僕にも仕事があった。ちょっと現場に行かないといけない仕事だったけれども、妻が入院して、子供の面倒を見ないといけないから仕事には行けないという連絡をした。

 

こういうときの返事の温度ってあると思う。反応は僕が嘘を言っているんじゃないか、というような反応だった。あるいは、また育児をネタにして仕事を休むのかみたいな雰囲気。

 

そういう雰囲気には慣れた。きっと僕も子供がいない頃にはそんな雰囲気を出していただろう。それに、妻はなぜか僕の用事のある日に体調を崩しやすい。僕でさえ妻の仮病を疑うことがある。妻は僕に専業主夫になってほしいと思っていて、できれば軟禁したいくらいみたいなことをたまに口に出す、自分のことを昭和の親父みたいな価値観って言うこともある。長女が僕のことをラプンツェルと呼んだことがある。長女と妻で何を話していたのか想像がついた。長女はラプンツェルと言うことができないので、パツンチェルと言っていたけれども。

 

そんな妻との育児環境の僕なので、仕事を断る理由の大半が育児や家事だったりもする。そして僕の周囲は独身が多いので、そんな僕の断りに「またまたー」みたいになる人も多い。でも本気というか、子供3人いると育児と家事をメインでしたら、仕事なんてちょっとしか、しかも自分のタイミングでしかできなかったりもする。仕事側の人たちからすれば、偉い人と同じような仕事の仕方をする人とみなされる。仕方ない。

 

仕事の方はまだいい。育児を理由になくなる仕事ならそれはそれまでだと思っている。

 

少し長くなってしまったので、入院に困る!<下>(主夫篇)に続きます。