いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

UMAMIに困る!(ボストン篇)<UMAMIって出汁のことかな?>

「ボストンではラーメン屋が人気だった」(長女1歳)

 

困ったことがあった。

 

海外でちょくちょく日本料理屋さんを見かけると、海外にいるのにわざわざ日本料理なんて、とか思ってしまうこともある。

 

僕がはじめて行った海外は、フランスだった。その次はポーランドチェコ、ドイツは同じ旅程で回った。渡米する前に仕事で行ったのはデンマークだった。

 

フランスに行ったときに、焼き鳥屋さんがたくさんあると思った。もう20年近く前だから今はそんなこともないのかもしれない。フランスまで来て焼き鳥屋さんに入る気もなかったけど、外観だけ見てみた。「焼吉」と漢字で書いてあったけど、ローマ字では「YAKIOTI」って書いてあったと思う。

 

現地の知り合いに聞いてみると、最初に味噌汁が出てきて、味噌汁を飲み終えないと焼き鳥が出てこない、ということだった。焼き鳥屋さんがフレンチ化しているのだろう。

 

ポーランドに行ったときには、ちょっと長めの滞在だったということもあって、米が食べたくなった。ふらふらしていたら、日本料理屋さんがあったので入ってみることにした。寿司とかもやってるみたい。そこで、焼き肉丼を食べた。まだ糖尿病じゃなかった頃だ。

 

お店に入ると、「らっしゃい」と板前さんから声を掛けられたから、板前さんの方を見てみると、すぐにいなくなってしまった。ポーランドは日本人にあまり会わないから、なんだか気まずい感じがしたのかもしれない。

 

デンマークでは日本好きのデンマーク人に連れられて、日本料理に行った。彼曰く「日本人の君が食べてもおいしいと思えるのか教えて欲しい」ということだった。デンマークでは日本料理が人気で、うどん屋さんには多くの人が押しかけている。日本通の彼は、そのうどん屋も好きだけれども、そのうどん屋さんは現地に溶け込み過ぎて、日本料理という気がしないということだった。カリフォルニアロールみたいなうどんがあったのかもしれない。

 

ちなみに、デンマークは物価が高い。ケバブやそうでもないハンバーガーを一つ食べるにしても、1200円くらいする。うどん屋は2000円以上するらしい。そのときはまだコロナなどの影響による物価高とか円安でもなかったけど、そのくらいだった。そして、デンマーク人が言うには、デンマーク料理はまずいそうだ。彼が日本好きになったのは、日本料理のおいしさにやられたからだそう。彼の友人を日本に連れて行って、鍋を食べさせたらびっくりしていたらしい。デンマークに日本の鍋を持ち込んだら流行るに違いないということだった。

 

そんな日本通の友人に連れられて、日本料理屋さんに行ってみた。日本だったらちょっと良い定食屋さんみたいな感じのお店。値段もうどん屋よりは高いけど、うどんが2000円で、トンカツ定食が2500円なら、取り立ててこの店が高いというわけでもない。そして、この店のトンカツはおいしかった。店主も気さくな方だった。どうやら、この店は、現地の日本人たちも通うお店らしい。デンマークに来て一番おいしかったのは、この店だった。日本通の彼も、この店が一番おいしいと思っていたらしく嬉しそうだった。

 

ボストンに住んだ。

 

ボストンにも日本料理はたくさんある。SUSHIとかよく書いてある。ボストンの中心部にも日本食のお店があった。しゃぶしゃぶのお店?みたいなのがあって、人気がある。アメリカの友人に「しゃぶ」ってどういう意味だ?と聞かれた。言われてみるとよく分からない。肉をお湯の中でじゃぶじゃぶさせるから、転じて「しゃぶ」になったのかもしれない、つまりオノマトペだと思うと言ってから、あとは、覚醒剤のことをスラングで「しゃぶ」という話をしたら、大声で笑ってひーひー言っていた。アメリカ人のリアクションだった。

 

ボストン中心部から離れて、僕の住んでいるあたりにも、日本料理のお店があった。居酒屋が一つと、あとはラーメン屋だった。

 

アメリカの友人たちからは、何度もラーメン屋について聞かれた。みんなラーメンが好きだ。毎週通っているという人もいた。日本で見たようなラーメン屋もあった。行列ができていたりする。他にも、「夢を語れ」とかそんな名前のラーメン屋があると言われた。

 

僕は昔からラーメンがそんなに好きじゃない。猫舌だからだ。ラーメンは伸びてから食べる。だからおいしいと思えなかったのかもしれないけど、熱いラーメンは苦手だ。つけ麺が流行ってからはよく食べていた。つけ麺は好き。アメリカの友人からつけ麺のことを聞かれて困った。

 

ラーメンとつけ麺の違いをどう説明すればいいのか分からなかった。

 

もちろん、麺が冷たくて、別の皿にあることは説明できた。しかし、味の違いとかそんなのは、店によって変わるだろう。日本ではつけ麺は市民権を得ているから、説明不要だけど、ラーメンが最先端なボストンの麺事情の中でつけ麺はマイナーな存在だ。もしかしたら、未上陸だったかもしれない。

 

出汁とか旨味についても聞かれた。UMAMIは国際語らしく、アメリカの友人はUMAMIの本を買って、僕にクイズを出してきた。

 

「この食材のどれにUMAMIがあるか分かるか?」

 

日本で料理をしていた人なら当たり前に分かるようなクイズだった。僕はほとんど正解した。アメリカの友人はびっくりしていた。ちなみに、UMAMIの本はイギリスの本らしい。

 

出汁なんて、コンソメやらブイヨンやらと日本以外の料理にもあるんだから別におかしなことでもないだろうし、めずらしくもないだろうけど、彼には珍しいらしい。そして、ラーメンの出汁についてもいろいろと質問された。ラーメンに詳しくない僕は、鶏ガラとか豚骨とかそんな程度しか答えることができなかった。

 

そうそう、ラーメンがあまり得意じゃないと僕が思ったのは、学生時代にホープ軒や二郎に連れていかれたからだと思う。背脂でお腹を下した。ラーメンのあとはお腹の調子が悪くなる。学生たちはあの背脂が好きらしい。背脂抜きにして、麺が伸び切ったラーメンなら僕でも平気だったかもしれないけど、それっておいしいのか分からない代物だ。いくらUMAMIがあるとはいえども。