いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

タバコに困る!(東京篇)<タバコの吸い方も大事だと思う>

「妻が妊娠したらタバコをやめようと思ってはいた」(妻妊娠中)

 

困ったことがあった。

 

僕は喫煙者だ。公には20歳から吸っているということにしている。若い頃から喫煙をしている。ずっとタバコを吸っている。禁煙をしたこともない。夏目漱石だったか忘れてしまったけれども、「禁煙なんて簡単だ、私は何度もしている」という言葉を引用しては、禁煙を茶化していた。タバコが嫌いな人からしたら、僕は不倶戴天の敵である。

 

タバコはどんどん強くなった。22歳くらいから35歳くらいまでは、フィルターのない、いわゆる両切りのショートピースを吸っていた。タバコに慣れていない人が吸うと唇あたりにタバコの葉がついてしまったりする。

 

タバコの吸い方というのがある。フィルターのあるタバコだと歯でフィルターを噛むようにして吸う人や、唾液がフィルターに染み込むように吸うもいる。両切りのタバコでそんな吸い方をしたら死んでしまうかもしれない。唇に浅く挟むようにしてタバコを吸うと、両切りじゃなくても、フィルターも濡らさないので灰皿などを汚すこともない。人の吸い殻を片付けているときに、湿ったフィルターに触れてしまうのは気持ちが悪い。

 

吸い方で言えば他にもある。

 

灰皿の周りが灰で散らかっているような吸い方をするのは、タバコの吸い方が下手くそな証拠だと思っている。常に灰皿の周りを綺麗にしておくことが大事だ。きっと、そういう下手な吸い方の人は、家ではあまり吸わない人なのかもしれない。

 

飲み会などで手にタバコを持ったまま振り回している人を見ても驚いてしまう。灰皿だけじゃなく、料理や飲み物の中に灰を撒き散らすのだから勘弁して欲しい。学生のタバコ吸いにそういう人が多い気がした。親から何を教わってきたのだ、と意味不明なことを思ったこともあった。

 

灰皿を自分の目の前に置きたがる友人がいた。彼は笑ったりするときに鼻息で灰皿の灰を飛ばしてしまう。気になるから、灰皿を移動させても、また彼の前に灰皿があったりする。危険なので彼の周囲から料理をどかすようにした。

 

そんな感じでタバコ吸いにも、湿らせる人から灰を散らかす人などがいる。

 

そして煙の扱いだ。

 

タバコとは結局、煙だ。紫煙と戯れるなんて言うけれども、タバコから立ち上る紫色の煙は幻想的だ。お金がなくてお弁当を買うかタバコを買うかと迷ってタバコを買ってしまって、ワンルームの部屋で立ち上る紫煙を見ながら何をやっているんだろうと唐詩にでもありそうな気持ちに耽ったこともある。そんな煙との関係だけなら、タバコ吸いもそんなに嫌がられなかっただろう。

 

タバコの煙を人に吹きかけながら吸っている人がいる。なぜそんなことをするのか、喫煙者の僕でも分からない。タバコの煙は僕だけのもので、誰かに吹きかけるものじゃない。受動喫煙とかも言われるようになってからは、煙を吹きかけないでも同じ場所で吸ってしまったらダメということになってしまって、肩身が狭くなっていた。

 

妻はタバコが嫌いだ。飲み会などに参加すると体調が悪くなると言っていた。喫煙者と結婚するなんて思ってもみなかっただろう。

 

まだ妻と結婚していないときに、僕もそういう喫煙者が多くいる飲み会に出席していた。受動喫煙がどうとか言われていたけれども、多くの飲み屋では喫煙が可能な状態だった。僕もスパスパやっていた。

 

「タバコのせいで気持ちが悪い」

 

「ごめんね、隣で吸っちゃってたね」

 

「いや、あなたは煙を吹きかけてこないけど、他の人たちが...」

 

そんなことを言われた。確かに見てみると、喫煙している人たちは話す方向に煙を出していた。喫煙者の僕はあまり気がついていなかったというか、タバコを吸いながら話す場合は、煙を一度別方向に出してから話すのが当たり前だと思っていたし、煙を出しながら話したら喉が痛くなるから普通はしないと思い込んでいた。しかし、話しながら煙を相手に吐き出している人が少なからずいた。そういう人はよく咳き込みながらタバコを吸っている。

 

受動喫煙になるから全部ダメ! そう、それはそうなんだけれども、タバコにしても、灰皿にしても、煙にしても使い方というのがある。適切に使っていない人がいると喫煙者も肩身が狭くなる。それはまるで煽り運転をする車のせいで車が全部ダメってされてしまうような気にもなる。

 

とはいえ、受動喫煙の問題もある。いくら品よく吸ったところで迷惑は迷惑だ。

 

妻からはタバコをやめてとは言われなかった。僕の指に染み付いているヤニの匂いをほめてくれることもあった。でも、一緒にいるときには目の前で吸わなくなった。

 

妻が妊娠したときには禁煙しようと思った。できなかった。いや、してみた、してみたら、なんだかイライラした感じがしてしまった。百害あって一理なし、ニコチン中毒だ、禁煙を続ければイライラもなくなる、そう、本当にそうなんだろう。だけどできなかった。

 

換気扇の下で吸うことだって、喫煙していない人からすれば嫌なことなんだろう。それだって受動喫煙だ。外で吸っても吸い終わって5分はタバコの有害成分が喫煙者から出てくる、それもそうなんだろう。

 

喫煙者はいろいろと理由をつけてタバコをやめない。禁煙外来に行けばいいのだろう、でも行かない。

 

妻が妊娠しているというのに、僕は禁煙ができなかった。二間隔てたキッチンの換気扇の下や、外で吸っていた。

 

いまも吸い続けている。やめようやめようと思いながらも、育児のストレスだとかなんとか言いながら、20畳用の空気清浄機を5畳の仕事部屋で運転させながらタバコを吸っている。僕の一番わるい習慣はタバコだ。