いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

日焼けに困る!(ボストン篇)<帽子と日焼け止めは必須だった>

「日焼け止めなんてつけないぜ、とか言っちゃった」(長女1歳9ヶ月)

 

困ったことがあった。

 

ボストンの夏はそんなに暑くなさそうというイメージがある。たしかにそんなに暑くはない。暑いと思える日も2週間くらいで終わってしまう。暑い日でも日陰に入れば過ごしやすい。

 

しかし、日差しが強い。

 

僕は自分の能力を過信してしまって失敗することが多々ある。一つには自分が体力もあって、頑丈で、つまりはマッチョだと思っていることがある。実際にはガタイが大きいだけでマッチョでもない。

 

ボストンに来て一年目あたり。日差しが強いから日焼け止めを塗った方がいいと妻から言われた。日焼け止めなんて塗ったことがないし、皮膚に何かを塗るのはベタベタして苦手だから嫌だという感覚過敏みたいな理由なのに、なぜかそこはマッチョな感じで拒否してしまった。

 

「日焼け止めなんて、男たるもの、そんなものはいらねえぜ」

 

そんなことを言って外に出て、顔を真っ赤にして帰ってきた。とくに鼻の先がひどかった。

 

「日焼けってさ、火傷じゃん!」

 

と当たり前のことに気がついた。ヒリヒリしてとても痛い。日本でも日焼けで真っ赤になっていたことを思い出したけど、こんなにひどくはなかったから少し舐めていた。あと、妻の前でなんだか分からない格好をつけてしまったというのもある。

 

アロエジェルを塗った。アロエジェルを塗るのだって染みて痛かった。

 

そういうことがあってから、僕は日焼け止めを塗るようにしていた。虫刺されスプレーもベタベタするからやりたくなかったけど、日焼けの上に虫に刺されたら、痒いのか痛いのかも分からなくなりそうだから、虫除けスプレーもした。軟弱になったとかつぶやいていた。

 

よく考えてみれば、日本では半袖に短パンなんて格好であまり外を出歩かなかった。野外の労働は皮膚の露出は怪我もあるから、真夏だろうが、皮膚は覆われていたし、鼻の先や目の周りが赤くなることはあっても、火傷みたいになることはあまりなかった。

 

ボストンの日差しが強いのか、それとも僕の皮膚が弱いのかそれは分からない。

 

公園に行ってみると、無料の日焼け止めが入口に置いてある。調べていないから分からないけど、マサチューセッツ州では真夏に子供を野外で遊ばせるときに日焼け止めを塗らないのは虐待になるとか、そんな話も聞いた。

 

日本だとプールが汚れるからという理由で日焼け止めを塗ってはいけないらしい。日焼けによる火傷もそうだけど、皮膚癌の原因とか言われている日焼けを、プールが汚れるからという理由で日焼け止めによる防護も許さないというのは、いささか問題があると思うけど、日本ってだいたいこんな感じだ。公共の福祉がバグって個人の権利を侵害する。

 

僕の日本批判はさておき、公園に日焼け止めが常備されているくらい、ボストンの日差しは強いということかもしれない。

 

公園に入る子供たちが入口の日焼け止めを塗っている。僕が日焼け止めも塗らずに顔を赤くしていたのは彼らからすれば変人なのかもしれない。

 

ボストンに来て2回目の夏。長女を連れてちょくちょく公園に行った。水遊びができる公園が多いので、長女は水着でチャプチャプとして遊ぶ。あまりに暑すぎる日は行かなかったが、東京からすれば夏日程度の気温のときの午前とか午後は公園に行っていた。

 

夏に公園にいるとクラクラすることが多かった。妻は割と平気な顔をしていたので聞いてみた。

 

「公園に行くとクラクラするんだよね」

 

「あなただけ帽子かぶってないからだよ」

 

そうだ、僕は無帽だった。日焼け止めのあとは無帽。すぐに原因が分かった。

 

カウボーイみたいな帽子を買った。効果覿面で、それ以来クラクラしなくなった。帽子ってすごい! と娘が帽子を嫌がると無理にでもかぶせていた癖に、自分は帽子をかぶっていなかった。日焼け止めにしても虫除けスプレーにしても帽子にしても、自分を過信して無防備なまま夏の公園に繰り出していた。

 

もう完璧だ。

 

僕は帽子が苦手だった。それは頭が大きいので、帽子が似合わないというものあるけど、サイズが合う帽子が少なかったというのがある。いいなと思っても、僕には小さい。

 

まだ20歳くらいの頃、何かの集まりでシルクハットをかぶることになった。帽子屋さんに行くと、5000円くらいであった。仲間たちが買っていく中、僕は一番大きいサイズでもキツかった。被れなくはないけど、三蔵法師の猿のように頭が痛くなる。

 

「それより上のサイズは特注になるから値段は倍くらいしちゃう」

 

僕はきつい帽子を買った。そのときから僕は帽子が苦手だ。寒い冬だって無帽だったけど、ボストンの冬は寒すぎたのでニット帽を買った。ニット帽は頭のサイズが大きくてもきついということはない、網目が多少大きくなるだけだ。

 

アメリカであれば、大きいサイズの帽子もあるだろうと思った。あるにはあったけど、どうやら、アメリカでも僕の頭は大きいみたいだ。アメリカサイズの服ならMサイズや、場合によってはSサイズになって、日本のサイズの一つか二つ小さいサイズになる。なのに、アメリカで買った帽子は、XLと2XLだ。帽子はやっぱり僕には似合わない。サイズのバランスがおかしい。

 

しかし、バランスがおかしい帽子でも、カウボーイみたいなやつとか、探検家みたいなやつなら、コスプレ感があるのでサイズのおかしさより、全体のおかしさが勝つ。

 

面白くなって、帽子にハマった。夏は帽子がないと外に出ない。日本で被ると通りすぎる人が振り返っていることがある。似合うとかじゃなく、おかしい人っぽくなっているのは認める。