いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

アドバイスに困る!(東京篇)<イクメンの育児ってなんだろう>

「大丈夫です。僕もそうしてます」(長女3ヶ月)

 

困ったことがあった。

 

なぜだから知らないけれども、昔から友人たちに相談されやすい。子供の頃から今に至るまでカウンセラーでもなんでもないのに相談を受けることがある。

 

育児に忙しくなると、そんな友人たちからの相談も断るようになった。「育児で忙しいからさ、長電話したいだけなら、他の人にしてよ」とか言って断ると、「最後の砦だったのにー」とか意味不明なことを言われる。

 

妻の妊娠中に、高校時代の親友の家に一緒に遊びにいった。僕からすれば、親友は2人の子供を可愛がるイクメンで、男ばかりの仲間内で話していると「パパ業が忙しい」みたいなことを言ったり、連絡すると「娘と公園にいる」とか返事が来たりして、育児を頑張っているようにも見えていた。

 

妻が妊娠して育児について不安になっているときに、親友は先輩ヅラしながらもなんかあったら助けるみたいに言ってくれたし、実際、子供が生まれたときには細々といろいろなものをくれた。そういえば、仕事がなくなったらいつでも雇ってやる、と昔から言ってくれている。頼もしい親友だ。

 

そんな親友の元に妻と尋ねた。親友の奥さんは僕も昔から知っているけど、妻が会うのははじめてだった。

 

もちろん育児の話になった。イクメンだと思っていた親友がボロクソに言われていた。3人目が欲しいという親友に対して、「3人目が欲しいなら、沖縄あたりに移住して、お手伝いさんとシッターさんを雇ってくれ」と言っている。「この人、なんもしてくれないから」と言っていた。親友はごめんと謝って、子供2人と水遊びをしに行った。

 

これはどういうことなんだろうと思った。僕からすれば、日曜日になると親友はいつも子供と遊んでいるし、僕と話していても仕事と家庭の話が半々くらいになるくらい家庭を大事にしている。彼がバリバリ働くのも家庭と仕事を両立できるように自社ビルを建てたいというのがあるからなのも家族思いなことだと思っていた。そんなことは奥さんは百も承知だし、親友が苦境にいるときは奥さんの献身的な支えのお陰で会社が立ち直った。仕事をしすぎるのが不満なのかな?とか思っていた。

 

「子供と遊べば育児していると思ってるんだよね」

 

そのときも彼は子供と遊んでいた。男性の多くはきっとこれだろう。僕だって子供と遊んでいることは子供の世話をしていることと同じ意味だと思っていた。しかし、一緒に遊ぶことと世話をすることは違う、いまなら分かる。

 

その日のことは教訓になった。奥さんは常に子供の安全や健康、発育にも気をつけていることが会話の中からうかがえた。仕事帰りに酔っ払って帰ってくる親友の姿が仕事とはいえ腹が立つ気持ちも分かってきた。酔って帰ってくることは日曜日の数時間の遊びでチャラになるわけじゃない。奥さんは子供の世話を任せて外出すると子供の横で仕事をしてベッドから子供が落ちたことをずっと引きずっている。産後に睡眠がとれなくてつらかったことを忘れていない。

 

「産後はね、母体はダメージを受けているから、あなたがいくら疲れていても寝ないで子供の世話をして、家事をして、母体を休ませないとダメだからね。奥さんと連絡先交換したからいつでもあなたの文句を言ってもらうようにするから」

 

妻には強力な味方ができた。

 

産後、僕は親友の奥さんの教えを守るために母体のケアを優先させた。妻の睡眠時間を1日8時間以上とれるようにするというのが目標だった。10時間だっていい。どうしても断れない仕事が入ってしまったときでも妻の睡眠時間だけは確保しようとしていた。そのときはちょっと負担をかけてしまって今でもあのときの2週間弱は恨まれている。親友のように反論せずにただ謝るしかない。

 

帰国して親友とオンラインで話した。親友の奥さんからはお褒めの言葉をいただいていた。何かの試験に合格した気分だった。

 

そして、昨年、別の友人に子供が生まれた。友人からは育児の相談を受けた。僕は親友の奥さんに言われたように、母体のケアを優先させるため1日8時間以上は奥さんが眠れるようにしないといけない、というアドバイスをした。

 

「大丈夫です。それはやっています!」

 

その友人は、相談してくるわりにはだいたい「大丈夫です。僕もそうしてます」というタイプの人だ。仕事の部下にいると後で困るタイプ。彼が僕から聞きたかったのは、育児グッズのことだったらしい。育児の心構えや母体のケアに対するアドバイスは求めていない。彼はイクメン志願だし、家庭を優先させる今時のお父さんを自認している。たぶん僕よりもそういうことに対して意識も高いだろうし、ネットなどで情報も集めている。育児に対する話も頼もしい感じだった。藤井聡太くんが遊んでいたというおもちゃも買ったらしい。

 

3ヶ月ほど経って、友人の奥さんからメッセージが来た。出産祝いのお礼の中に、「やっと連続5時間眠れるようになりました」とあった。

 

男の話はアテにならない。