いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

子連れで困る!(東京篇)<乳児を抱えて外に出る>

「乳児を連れて仕事に行く」(長女4ヶ月)

 

困ったことがあった。

 

育児休暇も終わった頃、妻が時短勤務で職場に出るようになった。僕はフリーランスということもあり、できるだけ在宅での仕事をしていた。

 

育児と在宅ワークの両立は意外と難しい。子供の世話を定期的にしなければならないというのもあるけれども、乳幼児はいつでもイレギュラーな世話を要求するものだ。

 

乳児の場合、在宅で仕事なんてできるわけがない。あるときそう思った。

 

3時間おきのミルクとおむつ交換、泣き出したら抱っこ。静かにしていても、気になって様子を見てしまう。朝から夕方までこの調子だ。そしてそれが毎日続く。

 

妻の負担を減らすために、「僕に任せておけ」と言ったものの、すぐにへこたれてしまう。抱っこ紐に長女を入れて散歩したり買い物したりするのが気晴らしになったから、毎日のように外に出てみる。外に出るといっても、いつ異臭騒ぎになるか分からないので近場しかいけない。

 

ミルクをあげて、おむつも換えて、少し外に出てみるかと、抱っこ紐を装着して、数分後に神妙な顔つきをしている長女を確認して、お尻に手を当てると振動が伝わる。そして家に帰っておむつを変えたときには、もう外に出る気持ちはなくなっている。

 

たまには外に出たい。

 

妻は時短勤務だったので、週に一日か二日は在宅になる。しかし、数ヶ月後の渡米のことなどもあるから、それなりに忙しそうだ。そんな妻に気晴らしに外に出てもいいか聞くのは少し申し訳なかったけれども、午後の時間に子供も連れずに外出できるのは嬉しかった。

 

渡米前の一、二ヶ月は妻にしても僕にしても、しばらく会えなくなる人と会ったり、飲んだりすることもあり、育児があるとはいえ、ある程度はそれぞれの付き合いも優先して行っていこうということにしていた。たまの息抜きを挟んでいかないと育児は辛かったろうし、その後の渡米や、帰国後のコロナによる自粛を考えると、体力的にはたいへんだったかもしれないが、ああしたお付き合いをしておいてよかった気もしている。

 

ある日、僕が珍しく外の仕事が午後からあるため、妻に子供の世話をお願いすることになった。その日は、妻も友人たちと会う約束があった。すっかり忘れていた。

 

僕は仕事だし、妻は付き合いの用事だ。いつもの妻であれば、付き合いを断るか、付き合いの場に子供を連れて行ったのかもしれない。しかし、その日の用事は、長年の親友でもあり、わざわざ東京に来てくれた人で、言いにくそうだったのだけれども、子供がなかなかできずに悩んでいる人だということだった。

 

こういうのはとても難しい。

 

気を遣いすぎるとそれはそれで失礼だし、悩んでいるのを知っていながら気を遣わないのは無神経だ。SNSや年賀状で子供の写真などを載せるのを躊躇うのは、気遣いでもあるし、無闇に人を傷つけたくないというのがある。

 

僕が職場に子供を連れて行くことにした。

 

僕の職場にも子供が出来ないと言っていた人もいる。だけれども、長年の友人と二人で会う場に子供を連れていくよりも、大人数がいる職場の方が「連れてこざるを得ない」感じが出ると思ったし、そんなに嫌味なことにはならないだろうと思った。

 

職場に連れていった最初は、きゃっきゃと騒がれていたけれども、すかさず異臭を放った長女のオムツを手慣れた技で交換する僕の誇らしげな顔つきを褒めるものもいないくらい、騒ぎは最初だけだった。

 

いやな顔をしている人もいた。でもそれは「職場に子供を連れてきやがって」というような嫌がり方で、「仕事を舐めている」と思われたくらい。僕は普段から仕事を舐めていると言いますか、私生活の方が重要だと思っているので、僕が仕事を舐めていると思われるのは仕方ない。仕事をしながらミルクもあげておむつも換えた。

 

「赤ちゃんって、そんなにうんちするんだ」

 

と言われたので、育児と在宅ワークの両立がいかに困難か話して、僕の仕事の進み具合が遅いことの証明を長女にしてもらった。汚れたおむつが証明書だ。助かった。

 

仕事も終わって、行きつけだった飲み屋に抱っこ紐のまま顔を出した。よくないことかもしれないけれども、渡米したら二年間は顔を出せないということもあったので、あいさつによった。

 

あいさつだけで終わるわけもない。少し飲んで帰った。子供は抱っこ紐の中でよく寝ていた。

 

「0歳から居酒屋に連れてこられちゃうんだから、可哀想だなあ」

 

と仲の良い居酒屋の兄貴に笑いながら言われた。帰国したらまた来ますね、と言って店を出た。その店は、帰国後しばらくしたらコロナがきっかけだったようで閉店してしまって行けなかった。よくないことかもしれないが、あのときに子連れででも寄って良かったと思う。

 

子供を連れて居酒屋に行ったのは妻に叱られた。そういえば、子供の頃、よく父親や母親に連れられて居酒屋やスナックに行ったなあ、と思い出していた。さすがに0歳ではなかったけれども。