いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

風邪に困る!(主夫篇)<人の世話をすることは幸福なことかもしれない>

「おちおち寝てられない」

 

困ったことがあった。

 

主婦(主夫)には休みがないとか言われるけれども、たしかに家事や育児に休日はない。とはいえ、二人体制で行なっていれば、それぞれの分担を肩代わりなどをして、休日とまではいかないけれども、休日に近い状態を作ることはできる。

 

正月にふと思った。正月に実家でもなく、温泉とか旅行とかに行くってどういうことなんだろう? 正月は家でのんびり過ごしたいと思っていた僕には分からなかった。

 

この数年、正月というか年末年始にゆっくり過ごせたことなんてない。家にいるのに。どこにも出掛けてないのに、ゆっくり過ごせない。寝正月すらない。年末の夜ふかしを回復することができないまま年始になる。はやく仕事はじまれ、保育園はじまれ、と祈るような気持ちになっている。

 

4歳と2歳の双子がいる正月なのだから仕方ないことかもしれない。

 

正月はへとへとになりながらも乗り切った。今年は正月休みが短くて助かった。妻のストレスが限界だったので、妻一人で外出する日を年末年始に二日作ったのは褒められた。

 

僕はヘトヘトだった。そこにきて、また成人式で連休が来る。連休はきつい。次女が鼻水をすすりはじめた。熱は連休中に下がった。

 

妻の仕事が忙しくなったため、ワンオペの日も出てきた。体が限界のようだった。

 

次女の風邪は妻にうつったようだった。日曜日に妻がダウンした。家でゆっくり寝て欲しかったけれども、子供三人は容赦ない。三人同時に外に連れていくことは難しいので、まずは長女を外に連れていき、そのあと、双子を別に外に連れて行った。

 

次の日、僕も風邪をひいたようで、鼻水に頭痛にだるさがひどくなった。その日の夜、子供たちを寝かせて、家事を全て終わらせると、倒れるかと思った。

 

主夫は風邪をひいても休めない、というのは、風邪をひくときは、だいたい、家族の誰かも体調を崩していて、家族内の家事育児パワーが落ちているというのもあるし、育児も子供の体調不良で負担が増える。このようなとき、仕事であれば、風邪や体調不良で休めるけれども、主夫や主婦は休むことができない。

 

うちの場合は、妻の方が仕事が多いので、家事の多くは僕がやることになっているということもあり、熱が出てようがふらふらだろうが、ゴミ捨て、洗濯、買い物、料理を僕がやらなければならない。子供が大きければ、勝手に食べてー、とかできるだろうし、夫婦二人だけであれば、できあいのものを食べながらお互い仲良く寝たりすることもできる。

 

成人式で思い出していた。僕の成人式は欠席をした。行く気まんまんだったのだけれども、地元から離れた場所で一人暮らしをしていて、その日は風邪をひいた。熱が出ていても、20歳男子の一人暮らし、体温計もあるわけもない。風邪薬もなければ、水枕があるわけでもない、食糧だって蓄えがないし、布団もせんべい布団に毛布があるくらい。水道水ばかり飲んでいるわけにもいかないから、近所のコンビニに頑張って行った。

 

「いらっしゃいませ」とか「ありがとうございました」とか言われたかった。人と触れ合いたくてコンビニに行ったのを覚えている。弁当は高いから買わずに菓子パンのようなものを買ったと思う。そして、一人で震えて寝たのが、僕の成人式だった。寂しい20歳だけれども、風邪のときには一人でゆっくり眠れた。

 

そう考えると、風邪なのに育児も家事も休めないとか、子供の世話でゆっくり寝てられないというのは、困ったことではあるのだけれども、20歳のときに味わった孤独はない。誰かの世話をすることは骨が折れることでもあるし、自分のことができない、という不満もあるだろうが、妻や子供の世話をする以上に大事なことがあるとは思えない。

 

20歳のときの僕にこんな話をしても通じないだろう。彼は孤独であっても、自分のことだけをしたいだろうし、誰の世話もしたくないと思うだろうし、そういう経験があったからこそ、人の世話をする喜びを後に知るのかもしれない。