いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

汚さに困る!(ボストン篇)<清潔の基準は文化によって異なるんだろう>

「リフォーム済みは清掃済みではない」(長女8ヶ月)

 

困ったことがあった。

 

すったもんだの賃貸契約を終えて、入居することになった。妻の提案で、たぶん清掃が必要になるから、入居日から二日ほど遅らせて引越にした方がいいとのことだった。

 

リフォーム物件なのに、神経質だなあ、と思ったけれども、妻に従った。

 

部屋に入ると、妻の正しさが証明されていた。見た目は綺麗だが、靴を脱いで靴下で少し歩くと、靴下が汚れた。持ってきた掃除機が小型だったのが悔やまれた。

 

水拭きやら乾拭きやらやった。用意した清掃用具だけじゃ足りなかったので、近所のドラッグストアでも水拭き用の何かを買った。とても水っぽくてビチャビチャするワイパーみたいなものもあった。こんなにビチャビチャなのをどうやって使うんだろう?

 

アメリカ人というか、日本以外の人はキッチンペーパーが好きだ。ちょっとこぼすとキッチンペーパーだ。日本人はすぐにティッシュを使う。飲み物をこぼしたときにティッシュを使うと驚かれることもあった。

 

子供の頃、水戸黄門を見ていたら、町人だかどこかの家に佇む黄門様が、鼻水が出たので、その辺に積んである紙を使って鼻をかんだ。戻ってきた町人だかなにかが怒った。鼻くらい手鼻でやりやがれ、紙は高えんだぞ、みたいなことを言っていた。

 

日本だとティッシュはそんなに高い印象がない。では、アメリカでは目玉が出るほど高かったか? と言われれば、少しは高かったけど、驚くほどでもなかった。主に安売りのときに買っていたというのもあるけど、日本より少し高いくらいだと思った。日本でもいいティッシュならそれなりに高い。

 

ティッシュのことはあまり気にしなくてもいいのかもしれない。とはいえ、僕もアメリカ生活でキッチンペーパーをよく使うようになった。常備していなければ不安だ。

 

僕たちは懸命に掃除した。キッチンペーパーをたくさん使い、ビチャビチャのワイパーは一度で使わなくなって、いつか使うだろうと、トイレの物置の奥に入れたまま、帰国まで使わなかった。小さい掃除機もフル活用して掃除した。

 

エアコンのようなものがついていた。冷房だけで暖房はない。暖房は建物全体に暖かいお湯を循環させて温めるため、暖房はいらない。冷房装置が壁に穴あけてついている。それがとっても汚い。どれくらい掃除をしなければここまで埃を被るのか分からないくらいに汚かった。

 

ボストンは壁の一部をレンガにする。ボストンの代表的なインテリアというか、レンガ剥き出しがボストン流らしい。これが困った。レンガの間に埃が溜まっている。子供の手に触れそうなところだけ吹いた。あとは掃除機を軽くかけるだけにした。

 

結局、掃除に二日かかった。

 

そういや、不動産屋の担当者に、掃除が必要になるか聞いたときに、「リフォームしたあとなんだから、掃除なんていらないよ」と言われたのを思い出した。きっと、彼女は、このままで平気なのだろう。

 

靴を履いたまま家の中で過ごす人と、靴を脱いで過ごす人の違いだ。

 

僕も妻もいくら綺麗に見えても、芝生にそのまま寝転がるのは好きじゃない。でも、友人のアメリカ人は全く気にしない。そう考えれば、この部屋の汚さは平気で寝転がれる汚さ、いや、綺麗さだったのだろう。

 

アメリカでも土禁が増えているらしい。育児をしている家はだいたい土禁だった。もしかしたらだけれども、日本的な綺麗を求めるアメリカ人は増えているかもしれない。

 

僕が清掃業をやっていたら、アメリカで清掃会社を作りたいと思った。日本の清掃のクオリティの高さは異常だ。きっと引っ張りだこになるだろう。