「妻のパンツ」
困ったことがあった。
妻のパンツがヘタってきている。パンツなんだからフニャフニャなのは着心地がいいだろうし、昔のパンツみたいにゴムがビローンと伸びているわけでもない。でもなんだか、ヘタってきた気がする。
妻のパンツを買おう。
娘のパンツは西松屋で一緒に選んだ。娘のパンツを買うときには他の衣類やおもちゃを買うときと大して気持ちの変化はなかった。
でも、妻のパンツを買おうとすると、何かひっかかる。
「僕のじゃないんです!」って言わないといけないような気がしている。
女性が男性用のパンツを買うときにも同じような気掛かりがあるのだろうか? 女性が男性用のパンツを履いても、きっと変な目で見られないような気がする。おうちにいるときに楽だからとか、そんな感じで男性用パンツを履く女性もいるだろうし、テレビとかでもそんなのを見た気がする。
いまどき、男性用女性用を気にするのがおかしいんだ。だから、男性が女性用パンツを履いたっておかしくない、おかしく思う方がおかしいんだ! って、そういう気持ちで、妻のパンツを買うのはなんかずれている気もする。
だって、妻のパンツだし、僕のパンツじゃない。妻のパンツは前が開いてないし、僕には小さい、また妻のパンツを履く方向で考えてしまった。
主夫が妻のパンツを買うハードルは意外と高い。
女装がダメとかじゃなくて、女装していない僕が女性用のパンツを買うとき、女装が趣味なのかと思われるかもしれないし、女性用パンツを集めている人かと思われるかもしれない。どちらも誰に迷惑をかけているわけでもないから別にいいんだけど、自分の趣味じゃないことを自分の趣味だとされてしまうのは嫌だったりする。
女装を趣味にすれば解決する。これがひらめきというやつかもしれない。好みの女性用下着を探してそれを履けばいいんだ。肌触りにはこだわりたい。つるつるしたやつがいい。でもスースーするのはいやだから、ピチッとしたのがいい。そうなると男性用のボクサータイプが好みに合う。男性用のパンツを履く女性もいるんだから、女装を趣味にした僕が男性用のボクサーパンツを履いても女装を広く考えればOKな気もする。柔軟な思考に憧れる僕は、男性用ボクサーパンツを買うことにした。
男性用ボクサーパンツを買った。
妻のパンツを買い忘れた。
「ごめんね。パンツは自分で買ってね。」って妻に言ったら、笑ってくれた。ブログにでも書いたらって言われたから、主夫ブログを書くことにした。
妻のパンツを買おうとしたら、ブログを書くことになりました。