いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

確定申告に困る!<7>(新築篇)<僕は税務署が大好き>

確定申告に困る!<6>(新築篇)の続きです。

 

家を建てたいと妻が言い出したとき、僕はすぐに住宅ローンの種類を調べ、簡単審査をやり、各種助成金補助金、そして住宅ローン控除について調べた。土地やハウスメーカーなどを調べるのは、その後だった。

 

補助金は、こどもみらいなんとかが無事取れた。そして本命の住宅ローン控除となる。これに関しては、補助金助成金の類とは違って予算がなくなり次第終了ということでもない。年度によって変更があるにしても、住宅ローン控除が発表されている年度内に条件を満たせば、あとは手続きをして控除される。

 

住宅ローン控除の初年度のみ確定申告で住宅ローン控除の申請が必要となる。それが、今年度の確定申告だった。確定申告や税務署が嫌いという人が僕の周りには多かったけれど、僕は税務署が好きだし、その書類も苦にならない。綺麗に数字が埋まっていくのはそれだけで気持ちがいいものだ。それに、国税庁の人も、税務署の人も、相談したときには、明快な論理で教えてくれる。こどもや障害者関係では非論理的な説明ばかりの市役所でさえも、税金の部署は論理的なのだから、他の部署も税金関係並に論理的に処理して欲しいものだと思う。税金では、平等だけでなく公平性が考えられているのに、なぜ、他の部署では一律的な平等しか論理的に考えられないのか、全く不思議だ。まあ、愚痴はおいといて、僕は大好きな税務署に行くことになった。

 

困ったことがあった。

 

妻には、書類が全て揃ったから税務署に行くというと、「ありがとう」とか感謝される。僕からすれば、こちらこそ、この役割をさせてくれて「ありがとう」と言いたいくらいなのだが、感謝されて自分の趣味が行えるのは素晴らしいことでもある。そして、追加工事の書類が出てきてしまったことと、項目によっては関係ないこともあるから、この辺も税務署に聞かなければならない、という話をすると、「たいへんだね、おつかれさま」と労いの言葉までかけられた。僕はニヤニヤとしていた。

 

そんな心踊る税務署に自転車で向かった。そこそこ遠いけれども、その日は暖かい日だった。税務署の入り口で警備員さんが「いらっしゃいませ」と出迎えてくれた。税務署の出迎えに関しては、最初に税務署に行ったときから違和感があるにはあるけれど、僕にとっては「いらっしゃいませ」「ようこそ税務署へ」というテーマパーク感があるのだから、まあ、この出迎え方でもいいような気もする。

 

そしてそそくさと、通常の確定申告のルートではなく、その他相談的なところに向かった。ちなみに、税務署に行く前に、国税に電話して、追加工事のことや、住宅ローン控除などについてもちょっと疑問だったことを聞いていた。担当者はスラスラと、まさに立板に水というさわやかな論理性で明解に答えてくれたけれど、追加工事に関しては項目によっては関係するため、税務署で聞いてほしいということだった。税務関係の職員さんたちとの話は論理が一貫しているので話していて気持ちがいい。そういえば、日進市役所も税務関係の職員さんたちとは一切揉めることもなく、楽しく不動産取得税などの話ができた。僕は結局、損得よりも、論理的な話ができるのが好きなんだろう。

 

税務署の窓口で、「住宅ローン控除の件で」と言うと、窓口の担当者が変わった。痩せぎすでこざっぱりしている。おでこが少し広く、静かに、それでいてしっかりとした口調は、僕が理想とする税務官だ。僕の方の書類の説明と、そして追加工事の書類を提出し、それとともに説明もした。

 

「すでにe-taxで提出しているのですが、提出のときには追加工事の書類に気が付かず、追加工事の金額を合算せずに入力してしまいました。国税庁に電話で相談すると、追加工事に関しては関連するものとしないものがあるため、税務署で相談するように、ということでしたので、いま相談させていただいております」

 

できるだけ不明点がないように論理的に話した。

 

「住宅ローン控除で提出していただく書類はすべて受領しました。追加工事に関しても、この書類が必要になるかわかりませんが、こちらで精査させていただき、訂正が必要ということでしたら、改めてご連絡させていただきます。また、ご自身で訂正されたいということでしたら、すでに住宅ローン控除の確定申告は、提出済みの書類になっておりますので、栄のの方(名古屋の繁華街)にある特設会場で訂正ができますが、いかがなさいますか?」

 

僕としては、特設会場で訂正するなんて機会はそうあるわけでもないから、ぜひにとも、特設会場に行って訂正の手続きをやりたい気持ちではいたけれども、あいにく、この2月下旬から3月下旬まではちょっと忙しい時期だった。

 

「訂正が必要であれば、ご連絡いただけるということでしたら問題ありません。もし訂正が必要であれば、ご指示に従いますのでいつでもご連絡ください」

 

きっと、僕から訂正したい気持ちが漏れ出ていただろう。税務署の職員さんとは笑顔でお別れして、ルンルン気分で駐輪場に向かうと、年配の方が自転車の切り回しでちょっと苦労をしていたので、手伝った。「今日は暑いですね」とかそんな話をしながら、一緒に税務署を出た。

 

その後、税務署からはとくに訂正の連絡がなく、住宅ローン控除の金額を知らせるメールと、その後、税務署からくる例の黒いモザイクがかかった手紙がきた。住宅ローン控除の金額は思っていた金額よりも少しだけ高かった。きっと、税制の論理が細かく導き出した金額なのだろう。妻はその金額に喜んでいた。