いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

双子出産に困る!<4>(ボストン篇)<出産は不安がいっぱい、そして海外出産>

双子出産に困る!<3>(ボストン篇)の続きになります。

 

妻の計画通りに、1人目は渡米前に出産した。妻の計画では子供は5人欲しいということだったけれど、子供5人は現実的ではないということから、妻の計画は子供3人となったが、これも現実的ではないという話し合いで2人になった。そして妻の計画通りにアメリカ在住中に2人目を妊娠した、と思ったら、双子だった。妻の希望通り、子供は3人、そして予定通りアメリカ在住中の出産となった。なぜ、こうも妻の思い通りになるのだろうか。異国の地での妊娠、出産という難事を前に僕はバタバタとしていた。病院では男たちの友情が芽生えつつあった。

 

困ったことがあった。

 

アメリカの病院で芽生えた男たちの友情はさておき、僕は僕で気になることがあった。そう、言語の問題だ。日常生活の英語くらいはさすがに通じるようになっていたけれど、病院で使われる言葉は分からないことが多々あった。そんな不安から、出産のときには自前の翻訳機を使いたいと思っていた。

 

「病院で認められていない翻訳機を使用することはできません。通訳者とオンラインで繋げますので、通訳のことは気にしないでください」

 

ということだった。しかし、ここはアメリカ。きっとトラブルがあるだろう。病院の通訳システムは使ったことがある。僕がアメリカに来たばかりの頃、糖尿病の治療のために2回ほど通訳サービスを利用した。最初の通訳さんはまさにプロフェッショナルという感じで澱みなく、見事に通訳してくれた。しかし、2回目に利用したときには、僕でも分かるようなミスもあったりして、担当者による当たり外れが大きいと思った。ちなみに、糖尿病治療のときの通訳サービスに関しては、2回目の通訳のひどさは担当医も感じたようで、次からは通訳はいらないんじゃないか、と言われた。以降は通訳を介さずに、難しい単語だけはグーグル翻訳などを担当医が使って教えてくれることになった。まあ、最初の問診が大変なだけで、通っていればそれなりに何をどうするのかは分かるから、それで問題はなかった。

 

問題は、出産だ。出産は何があるのか分からない。最初の出産のときに読んだ産婦人科漫画の悪い影響のせいもあって、僕は出産に関して、妻より不安になる。日本語でも何を言っているのか分からないことがある病院だ。今度は英語となると、何かあったときにどうしよう、なんだか分からない契約書を書かされたらどうなるのだろうか、と不安になっていた。

 

そういえば、病院ツアーのときに、出産後のお迎えは、車で来るようにと言われた。ウーバーやタクシーはダメということだった。車を運転して来い、と言われてもボストンで車を運転したことがない。僕の運転が一番危ないんじゃないかと思ったので、看護師さんに自分で運転してくるのは怖いみたいなことを言った。病院としては車で迎えに来てください、としか言えないが、実際に、あなたがどうしたのか確認する術はない、というようなことが言われた。つまり、病院の公式見解が車でお迎えということになっているが、実際にどうしたかは知らない、というか、他の方法でお迎えを行って何か事故があったとしても病院としては知らない、ということなのだろう。前後するけれど、実際には、徒歩でお迎えに行った。

 

出産の日、不安になる長女は友人宅に預けて、僕と妻でウーバーに乗って病院に行った。手術などをするときに着るような不織布でできた白い割烹着みたいなモノを被らされて、帝王切開の予定時刻まで待つことになった。通訳サービスの機械が運ばれてきたけれども、配線の問題か何か分からないが、やはり使えないということだった。お腹が痛くなっている妻が看護師さんたちの言う言葉で僕が理解できないところを通訳してくれた。

 

「急なお産がはじまっちゃったから、私の出産は後回しになるみたい」

 

帝王切開はなかなかはじまらなかった。看護師さんたちが次々に僕らの様子を見に来ては、なんかいろいろと話していた。子供につける名前はどうするのか、とかそんなことを聞かれていた。僕が座っていた場所は壁を一枚隔てて、ナースステーションみたいなところがある。ドアの外には差し入れだろうか、ドーナツの詰め合わせがあって、看護師さんたちはドーナツを食べていた。僕らが子供につける名前とその意味が話題になっているようで、僕に名前を聞いてきた看護師さんが子供たちの名前を大きな声で言って、他の看護師さんたちから歓声が沸いたのを覚えている。規則性があまりない日本人の名付けが面白かったのかもしれない。

 

双子出産に困る!<5>(ボストン篇)に続きます。