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家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

続・クレーマーに困る!<1>(自閉症児篇)<クレーマーあるいはモンスター誕生>

「市役所はどうしてもクレーマーにしたい」(長女6歳、双子4歳11ヶ月)

 

困ったことがあった。

 

市役所からクレーマー扱いされるに至ったことはすでに書いたけれども、なぜクレーマー扱いされているのかはよく分からない。難しい言い方をすれば、市役所は僕が、いわゆる市民的不服従というのをやっているということなのだろう。市民的不服従といっても、僕はずっと市役所のルールに従っている。何一つ法律違反などをしているわけでもない。市役所のルールに従いながら、そのルールがおかしいのではないか、と指摘し、説明を求めているということになる。

 

市役所が僕をクレーマー扱いしてくる理由として、「何度も同質問を繰り返して、通常業務に支障をきたさせている」というものと、「特定の個人に優位になるように強要している」というのがある。もし、この2点がその通りであるのなら、僕はちょっとやばい奴だと思う。しかし、クレーマーの多くがそうであるように、僕は僕で、上記の2点は事実と異なっているという認識でいる。

 

最初に、区役所から「同質問を繰り返し、通常業務に支障をきたしている」というようなことを言われたときに、ちょっと待って、と思った。なぜ、僕が同質問を繰り返しているかというと、これは単純な話で、僕の質問に対して市役所が答えてくれないからだ。しかし、市役所に、僕の質問にきちんと答えてくれてくれれば、同質問はしないと言っても、市役所は「すでにお答えしている」という答えを繰り返す。揚げ足を取るようなことを言えば、すでに「お答えしている」内容を繰り返すのであれば、通常業務に支障をきたすということもないだろう。実際に、市役所の回答は2週間くらい待たされ、「市の裁量権にある施策内容であるため、貴殿の指摘によって訂正されるものではない。また説明をする必要もない。」とう内容だ。市の裁量権であれば、何をしてもいい、と言っているのと変わらない。

 

ちなみに、市役所に、「市の裁量権であれば、何をしてもいいということなんですか?」と口頭で聞いてみたところ、「何をしてもいいというわけではありません」という答えがあった。「しかし、政府通知や政府方針等にあるものを拒絶して、市が行っている施策内容であり、施策の妥当性を市の裁量権にあるものだということしか示せていないのであれば、事実上、市の裁量権にあるものは何をしてもいい、とお考えになられているということになりませんか?」と指摘すると、沈黙してしまう。県庁の方に言わせれば、僕のこのような指摘は、「痛いところを突いている」そうだ。

 

質問、指摘を繰り返すことによって、通常業務に支障をきたすという市の言い分について調べてみた。ちなみに、僕は情報公開請求の手続きを行ったのでもないし、市の条例に基づいて施策に対する説明を求めたにすぎない。通常業務に支障をきたすほどの質問や指摘というのがあるのかとネットで調べていると、過度な情報公開請求をする市民に対して役所が訴えをおこしたという判例も出てきた。判例は大きくわけて二つあった。一つは、過度な情報公開請求をする市民が悪い、というもの。もう一つは、情報公開を非開示にしようする役所が悪いというものだった。悪いという書き方はちょっとわかりやすくするためにしている。過度な情報公開請求をする市民が悪いのか、市民の情報公開請求に応じない役所が悪いのか。両方とも、役所の主張は「市民の情報公開請求によって、通常業務に支障をきたす」というものだ。

 

市民の情報公開請求が過度であり、よろしくないと判決されたものは、要約すると、「情報公開請求の公開範囲が大きく、個別具体が絞れない。また、情報公開請求だけが目的になっており、使用意図が不明である」など、情報公開請求の意味が不明であるという理由が挙げられていた。これが裁判にまでなったのは、原則として、役所は市民の情報公開請求に対して不開示ということが行えないため、不開示にしたいということから裁判を行ったということになる。情報公開請求は市民の権利ではあるが、その権利を拒絶する妥当性を役所が示すために裁判になっているということだろう。

 

同様の理由で役所が不開示の妥当性を示そうと裁判を行いながら、不開示の妥当性が認められなかったという判例もある。市民の情報公開請求が、具体的であり、公開範囲も限定されている、情報公開を求める理由もはっきりしている、という場合だ。このような妥当性がある情報公開請求を拒絶する役所というのがあるということに驚く人もいるかもしれないけど、判例にあるのだから、実際にあるとしか言いようがない。役所は、市民の情報公開請求によって通常業務に支障をきたした、と主張しているが、裁判官は役所の主張を否定した。これも要約すると「市民からなされた情報公開請求は、具体的であり、公開範囲も限定され、目的もはっきりとしている。そのため、普段から施策等における文書の作成、管理を正常に行っていれば情報公開をすることは通常業務に支障をきたすことにはならない」というものだった。

 

この二つの判例を見ると、クレーマーの市民とクレーマーではない市民がいることが分かる。もちろん、役所からすれば、どちらもクレーマーだった。

 

続・クレーマーに困る!<2>(自閉症児篇)に続きます。