いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

家事動線に困る!<下>(新築編)<親の顔を見ない場所が欲しかった>

家事動線に困る!<上>(新築編)の続きです。

 

子供の頃、自分の部屋はおろか子供部屋もなく、寝るときは、一家4人が縦になって寝るような家だった。いつも親と一緒の部屋で18歳まで過ごしたのはそれなりにつらくて、僕も弟も中学生くらいになると外泊ばかりしていた。そんなこともあって、家を建てるなら、家族のコミュニケーションが減るとかどうとかそんなことよりも、子供たちの部屋を作るべきだと思っている。狭小住宅で育った僕ら兄弟は、結果的には、逞しく育ったのかもしれないけれども、危ないことも多かったし、人には言えないような経験もした。でも、ふと思うことがある。子供部屋があれば、もっと違ったことができたんじゃないだろうか。

 

弟は服が好きだった。僕は本が好きだった。子供部屋があれば、弟はデザインなどの勉強を子供部屋でして、服を作っていたかもしれない。僕は僕でまた別の道を歩んでいたかもしれない。2人とも今の道を悔いてはいないけれども、子供部屋がないということは、選択肢や可能性が減ることだとも思ってはいる。ちなみに、弟も家を建てるときに、子供部屋を作るというのが最大の目的だったという。弟も子供が3人いる。

 

子供部屋を作ろう。そして子供たちの動線を作ろう。そう思った。

 

困ったことがあった。

 

子供部屋の近くに、トイレや洗面台となると、必然的に風呂場や脱衣所も子供部屋の近くになる。そうなると、ここで家事動線だ。

 

洗濯の家事動線というのがある。それは衣類の家事動線だ。外出時に着る服があり、家に帰ってくると服を脱ぐ。当たり前だ。脱いだ服は洗濯する。洗濯した服は、ファミリークローゼットに運ばれる。これが2階になってしまうと大変だ。

 

以前建てた家も2階リビングだった。買い物や食事、ゴミ捨ても2階にいちいち上がらないといけないものだから、ちょっとは不便を感じたけれども、2階リビングで最も不便だったのは、キッチン周りではなく、洗濯と衣類だった。

 

当時、2階に洗濯場を用意するのは流行りだったと思う。2階のベランダで干すというのが主流だったということもあって、2階に洗濯場があって、クローゼットもあるというのが家事動線としてもいいとされたからだと思う。しかし、外出は1階だ。2階で着替えて、1階の玄関を出る。ちょっと寒いと思って、上着を取りにまた2階に行く。または財布などの小物もクローゼット周辺にあったりするものだから、忘れたときにはまた2階。洗濯だけを見れば2階で洗濯も悪くないけれど、帰宅や外出を考えると、2階に洗濯場やクローゼットがあるのは不便で仕方ない。案の定、1階の玄関の周辺に上着やらベルトやらシャツやらが脱ぎ捨てられることが増えた。来客がないときの1階玄関は散らかる一方だった。

 

三井さんの提案は、1階に風呂場洗濯場をつけるというものだった。もちろん、クローゼットも。考えればすぐ分かることなんだろうけど、こういう単純なことに気がつけないのが家を建てるときの妙なところだ。

 

で、1階に洗濯物がくるということで、子供たちも親を見ずに好きに出入りできるようになる。中学生いや、小学校高学年から外や人の家に入り浸っていた僕でも、風呂はさすがに自分の家で入っていた。着替えもそうだった。食い物はどうにかなっても、風呂や着替えはどうにもならないものだ。子供動線のためには風呂と着替えが独立していた方がいい。と、何やら、家出前提で間取りを気にしているような気もしなくはないけれど、独立心を守りたいという気持ちが僕にはある。将来、子供部屋の住民や引きこもりになってもいい、というか、僕はできることなら、こどおじになりたかったし、引きこもってみたかったというものあるから、そんな世間からは否定的に思われている夢を託すということになる。引きこもりやこどおじが、そんなに悪いことに思えない。僕には贅沢な、そして叶わぬ夢だったというのがあるからだろうけど。

 

子供動線と家事動線の一致がそこにはある。

 

今もそうだけれど、子供の衣類、タオル関係などの洗濯物はとても多い。これをいちいち、2階に持って行ってやるよりも、帰宅したら玄関からスーッと脱衣所に行って衣類を放り込んで着替えて欲しい。で、僕はその衣類を洗濯をしてクローゼットにしまいたい。

 

そんなこんなで、我が家では、2階リビングとキッチン、1階に風呂場とランドリールームという配置になった。老後を考えると、1階キッチンの方がいいという話もある。それはそう思う。そんなこともあろうかと、子供部屋の一つは、キッチンの配管が近くなっている。もし、僕も妻も動けなくなってどうにもできなくなって、子供たちが巣立っていたら、1階に簡易的なキッチンくらいはリフォームしてつければいいと思っている。

 

子供たちが大きくなるまでのことを中心に家づくりを考えたいと思った。もちろん、僕や妻の仕事部屋もある。小さいけれども、これはこれで僕らには重要な場所だ。ここも子供たちに邪魔されないようにちょっと奥まったところに、秘密基地のように作った。我が家のテーマは、一緒にいるけれども独立しているということになるのだろう。プライベート動線という言葉があるかは知らないけれど、そういう動線も必要なような気もしている。きっと、僕の子供時代にはそういうプライベートな感じがなかったから欲しいと思っているのだろうし、子供時代に子供部屋があった人はその逆を望むのかもしれない。

 

プライベート動線は、シェアハウスとかできる家になりそうなテーマの間取りかもしれない。老後はそれもいい。魚と客は三日もすれば臭くなるみたいな言葉があるけど、臭くならない工夫も必要だ。