いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

小便器に困る!<四>(新築篇)<最後は妻が助けてくれた>

小便器に困る!<三>(新築篇)の続きです。

 

なぜだか長くなってしまった小便器設置の言い訳。立ちションも座りションもトイレは汚れる。そして、我が家ではトイレ掃除は僕の仕事なのだから、そう考えてみたら、別に小便器を設置しなくても、僕が普通のトイレで立ちションしたり座りションしたりすればいいだけの話だった。考えてみれば見るほど、小便器をつける必要はないように思ってしまう。それでも、という感じにもなれなくなってきた。しかし、それでも、とモゴモゴとしてみる。

 

困ったことがあった。

 

小便器設置は揉めた。

 

最初の反対者は、設計の人だった。小便器の位置が難しいということだった。小便器がなければ、間取りの可能性がもう少し広がるということだった。それはそうだと思った。いろいろと工夫してくれたけれども、小便器があることで収納が減ったり、玄関が狭くなったりする。狭い場所とはいえトイレなのだから、それなりの場所が必要になってしまう。普通のトイレが1階と2階にある上に、小便器もつけるとなると、トイレだけで3個。過剰に思える。しかし、設計士さんには、譲れない設備として設計プランにねじ込んでもらった。

 

三井ホームさんは、何人かの設計士さんがいる。最初の設計士さんは、僕らの要望を営業さんに聞いて契約までに図面にしていく。で、契約後はさらに細かく僕らのライフスタイルを反映した間取りへと変更していく、もちろん、予算の兼ね合いで増やしたり削ったりもする。その段階で、小便器が必要か不要かという話が何度も出た。しかし、どうにか小便器は確保できた。

 

次の反対者も設計士さん。この方は、主に配管やダクトの位置、天井の高さや使う資材などを担当する設計士さん。もちろん、間取りの細かな変更もしてくれる。二人目の設計士さんからも、小便器廃止案が出てしまった。配管が難しいとのことだった。

 

配管が難しいという現実的な問題は、僕が小便器を必要とする非現実的な要望よりも重視しなければいけないような気がした。迷い始めた。

 

小便器があることで、配管が難しくなり、間取りも制限される。それに小便器があったところで、5人家族の僕しか使わない。小便器で立ち小便をするにしても、飛沫は飛ぶし、粗相がないわけでもない。それに、小便器もただじゃない。また占有するスペースを考えれば、無駄でしかない。第一、小便器がなくても困らない。逆に言えば、小便器を設置するという僕の要望のせいで、少なくとも、おじさん二人が困っている。おじさんのための小便器がおじさんを困らせているのであれば本末顛倒じゃないか。

 

僕のぐにゃぐにゃな意志は、もう小便器廃止論に傾きはじめていた。とどめのようにインテリアコーディネーターさんからも、小便器のスペースがなければ、玄関の見せ方が変わることなど素敵な提案もあった。これは、もう小便器はいらない。我が家が素敵になるには、良い間取りに、そして合理的な配管のために、小便器はいらないのでは? と僕も思い始めた。

 

すると妻が、「小便器はつけてください」と言ってくれた。妻としては、妻の要望がどんどん取り入れられていく中で、僕の要望が取り下げられるのが気の毒になったらしい。そう、今回、家を建てるにあたって、僕の要望は次々と覆された。2階リビングにしても、風呂やトイレの窓にしても、ベランダにしても、家を建てることを妻と話し合った当初に、僕がはじめて家を建てたときに後悔したポイントだったという理由で反対した仕様でもある。もちろん、これらの仕様は好みやライフスタイルによって要不要の意見は分かれるけれども、極力合理的に家を作りたい場合には、いらないものだとされる仕様だと思う。しかし、三井さんのちょっとした工夫や提案によって、僕が危惧した部分が解消されていって、結果、妻の要望が次々に叶えられていった。勾配天井や妻の部屋の板張りの壁、備え付けのカウンターなど妻の憧れが実現していく。その中で、たった一つ残された僕の要望が小便器だった。

 

小便器に困る!<五>(新築篇)に続きます。感動のラスト?です。