いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

天気予報に困る!<下>(ボストン篇)<アキュウェザーに見入ってしまう>

天気予報に困る!<上>(ボストン篇)の続きです。

 

ゲリラ豪雨という言葉はすっかり定着した。昔は驟雨と言ったらしいけれど、少なくとも僕の世代で驟雨という言葉を使う人はあまりいない。本が好きだったということもあって、驟雨という言葉を覚えたというか、もともと僕は物を知らない人間だということで、子供の頃からよく人にバカにされていたものだから、驟雨という言葉を僕が知らなかっただけだと思って、突然の激しい雨に降られたときに、「驟雨」と言ったら、今度は「変な言葉」を知っている人としてからかわれた。どうやら、何をしても僕は少しバカにされるらしい。そんな言葉はいくつかある。友人からは「学校や親から言葉を教わらなかった人みたい」と真顔で言われたことがある。

 

驟雨と言わず、夕立といえば良かったのかもしれないけれど、夕方でもないのに夕立というのはなんだか気が引けた。「驟雨」のことをなんていえばいいのかと思っていたら、「ゲリラ豪雨」という言葉が出てきたので、とても助かった。ゲリラ豪雨だけでは、どうにも表現が難しいことがあったとしても、「篠突く雨」とか妙なことを言わないようにしようと思っています。

 

困ったことがあった。

 

子連れに雨は大敵だ。荷物は多いし、子どもを雨から守らなくてはならない。ベビーカーならレインカバーをつける。たまに子連れあるあるだけれども、出がけの準備にバタバタとして、急なオムツ交換やら、子供のオムツの替えを忘れたとか、主にオムツ関係のバタバタが続いたりして、天気予報の確認を怠って、レインカバーを持たずに外に出て、子供を連れたまま雨に降られてしまうと、罪悪感やら無力感やらに苛まれてしまう。

 

ボストンは突然の大雨で知られている。最近話題になった「地球の歩き方」にも書いてあった。天気が良かったのに、突然に大雨が降り出す物だから、「ボストンの大雨」とそのまま呼ばれている現象だ。

 

長女をベビーカーに乗せて買い物に行っていると、天気予報は晴れだったはずが、急に大雨になった。家まで歩いて20分くらいかかるところだった。仕方ないので、お店の中で雨宿りした。

 

お店の人も、子連れで雨に降られてしまったことが分かったみたいで、嫌な顔ひとつせずにお店で雨宿りさせてくれた。長女をあやしてくれたりした。しかし、30分経っても雨がやまない。さてどうしよう。

 

そんなときに限ってレインカバーもない。妻に連絡すると、家にいたらしく、レインカバーを持ってきてくれるということだった。案の定というか、僕はだいたいそういう運が悪いというかタイミングが悪いタイプなので、妻が来る頃には、雨は止んでいた。

 

それからは、ボストンの大雨に備えるように、晴れていてもレインカバーを持ち歩くようになった。ベビーカーの荷物置きのところにずっとあるものだから、ゴミなどで汚れていった。そんなレインカバーの出番が来た。

 

妻の仕事の関係の集まりがあって、僕も子連れで誘われて出掛けていった。アメリカの職場は家族同伴みたいなイベントがたまにある。イベントの終わりに急に暗くなって、大雨になった。どうしよう、困ったみたいな人を見ながら、僕はベビーカーにレインカバーをつけた。

 

「ちゃんと用意しているんですね!」

 

と褒めてもらったけれど、考えてみたら、僕の傘や雨具はなかった。

 

その方は傘を2本持っていたので、一本を貸してくれた。妻は職場から一本借りていた。

 

「アキュウェザーいれてます?」

 

アキュウェザーは、ウェザーニュースみたいな天気予報アプリで、ボストンで暮らすなら必須のアプリらしい。その方は、数年前に学生としてボストンに住んで、そして今度は、仕事でボストンに来たという人だった。

 

「テレビの天気予報や、スマホの初期設定の天気予報はあてにならないから、アキュウェザーにしておいた方がいいですよ」

 

ダウンロードしてみると、これがまた面白い。いつ降るのか、そしていつ頃、この雨が止むのかと教えてくれる。雨が長引きそうなときには更新されるし、細かい時間を見るのが好きな僕にはうってつけのアプリだった。

 

ボストンでの天気予報が楽になった。アキュウェザーが助けてくれる。ボストンの大雨もなんだか楽しみになっていった。家の近所なら、「あと30分で雨が降るからそれまで下で遊ぼう」とか言って、長女を連れて行ったりした。

 

僕も長女も雨が降って、水たまりができていくのを見るのが好きだ。長女は今でも雨の日に、窓から水たまりを見ていることがある。ボストンでも雨が降ると、一階まで降りて、入り口から水たまりを2人で見ていた。アキュウェザーの使い方としてどうかとは思うけれど、雨が来るのを楽しみにしていた。それもこれも、アキュウェザーの精度の高さがあったからかもしれない。

 

日本に帰ってきてから、僕はアキュウェザーを使っていない。妻は使っているみたいだけれど、僕にとってアキュウェザーはボストン用だ。では、ウェザーニュースかと言われると、なぜだかこれも使っていない。水たまりを見てゆっくりする余裕がなくなっているのかもしれない。今度、子どもたちと水たまり観察をする時間を作ろうと思う。