いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

銀行に困る!(ボストン篇)<大きな銀行もゆるい感じの仕事ぶり>

アメリカでの口座はどこで開いた方がいいのだろう?」(長女2歳)

 

困ったことがあった。

 

日本からアメリカで暮らすことになったときにまず困るのは、銀行だ。そんなこともあまり考えないままアメリカに行ってしまったので、アメリカに着いてから銀行のことを考えた。用意しなさすぎた。

 

妻の職場はなんだか手広いので、職場でやっている銀行みたいなものがあった。ちゃんとした銀行ではないのだけれども、カードも作れるし、給料の支払いもそこでできたし、そのとき一番欲しかった小切手も作れた。こういうものかと思っていた。

 

ボストンで会った日本人の多くは、バンク・オブ・アメリカで口座を開設していた。大きな銀行で、話を聞くと、どう考えても妻の職場の銀行よりも便利だった。やっちまった。でも、面倒なのでバンク・オブ・アメリカで口座を作ることはしなかった。知ったのが遅かったからだった。

 

ボストンに慣れてからいろいろと調べてみると、日本にいながらにして、バンク・オブ・アメリカの口座も開設することができたみたいだった。口座開設の代理をしてくれるところとかもあるらしい。

 

企業の関係で来ている人たちは、バンク・オブ・アメリカの口座開設から、アパートの手配まで日本からやっていたらしい。日本の賃貸業の会社がボストンに合ったから、それを使うようだ。相場よりも高いけど、安心だし、綺麗な状態の物件ばかりだ。トラブルもないだろうし、入居も退去もスムーズだろう。ただ高いというだけだ。

 

僕らはお金をケチらなくてはならなかった。銀行口座の代行や、日本の賃貸会社に任せるお金などはない。自分たちで歩いて、交渉して、代行手数料を0にしていかないとすぐに赤字だ。

 

それが理由になるか分からないけど、不便なところで口座を作ってしまった。家に関してはボロくて汚かったけれども、ボストンにしては安い賃料で最後までいけた。遊びに来たアメリカ人も家賃の安さにびっくりしてた。相場より500ドル近く安いらしかった。

 

ボストンの生活にも慣れて、不便な口座もそんなに不便だと思わなくなってきた頃に、双子が生まれるということになった。

 

双子はアメリカで生まれる。それはアメリカ人になるということだ。

 

アメリカ人になるということは、アメリカの税金を払うことになるということだ。子供のうちは払わないだろうけれど。

 

そしてアメリカ人であるということは、何かの手続きの際にはアメリカの何かでやらなきゃならないし、支払いなどもアメリカになる。

 

そんなことを妻の友人の旦那から聞かされた。彼はとある大学の投資部門で働いている人だった。

 

「双子のことを考えると、きちんとしたアメリカの銀行に口座を作っておいた方がいいね。バンク・オブ・アメリカとかでもいいんだよ」

 

ということだった。いまさら口座開設だ。

 

日本の銀行のこともよく知らないけれど、アメリカの銀行の場合は、何ドル以上預金していないと何ドルが手数料として毎年とか半年とかに引かれるらしい。他にもなんか条件があったりもする。

 

いろいろと考えて、TDバンクで作ることにした。カナダの銀行だと思う。違うかもしれない。

 

TDバンクに口座を作りに行った。妊娠中の妻とうろちょろする長女と僕の3人。僕らの事情を話して、帰国予定であることなども相談した。帰国しても大丈夫だし、その後の住所変更も簡単にできるということだった。簡単にはできなかった。

 

TDバンクで口座を開くことになって、妻と僕のカードを作ることになった。二週間ほどして妻のカードが届いたけれども、僕のカードは1ヶ月待っても来なかった。

 

TDバンクの窓口に行ってみた。

 

僕の名前はどこにも登録されていないということだった。このあとうんざりするやりとりがいくつかあって、なんだかんだと揉めていたけれども、僕が書いた書類を見なければ分からないような情報を受付の人がポツリと話した。

 

「だから、その情報を知っているということは、僕の情報がそちらに入力されていることなので、僕の手続きもされているはずだ。僕が知りたいのは、僕のカードがいつ届くのか、それともカードが送れられない理由があるのかなんだ」

 

受付の人もようやく事情が飲み込めた。時間がかかってしまったのは、僕の英語力の拙さもあったからだろう。すると、マネージャーが出てきた。1ヶ月前とは違う人だった。

 

「前に話した人と違うけれども」

 

「彼女は辞めた」

 

アメリカってこういうことがよくある。本当に辞めたのか、ただいないのか分からないけれど、責任者みたいな人が突然辞めていたりする。

 

「彼女の処理にはいくつかの問題があった。あなたの情報は完全には入力されていない。ただ、あなたを含めた何人かの書類が入っている場所には鍵がかかっていて、彼女がその鍵を持っている。彼女に鍵を返してもらわないと私は開けることができない。もう少し時間をもらえるか」

 

日本でなら驚いてしまうだろう。でも、こんなこともよくある。日本の銀行であれば考えられないだろうけど、小さなお店で起こるような問題がTDバンクで起こる。これがアメリカ。カナダの銀行だけれども。

 

僕もアメリカ生活で用心深くなっていたので、進捗をすぐに知らせるようにということと、新しくマネージャーになった人の連絡先を書いてもらった。数日中に連絡がなければ僕から連絡すると念を押した。きちんと連絡がされるなら、TDバンクに苦情のメールはしないが、放置するなら、苦情のメールを送るとも言った。

 

次の日、新しいマネージャーから連絡があった。僕の書類が見つかって、無事に処理されたということだった。本来であれば二週間かかると言われていたカードは一週間もせずに届いた。僕の銀行のカードは、管理人さんが持っていた。

 

思い出すと面白いことでも、窓口の僕はちょっと焦っていた。